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エッセイ

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今までの日々や、ささやかな僕の奮闘を書いていければと思います。
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#怖い話

「漫才みたいな」

「漫才みたいな」

夜中に通った事のない道を一人で散歩をしていると、角を曲がった所で少し広めの公園が現れた。樹木に覆われた公園のフェンスに沿って歩くと、公園内からサッカーボールでドリブルをする音が聞こえてきた。

小気味いいドリブル音からは、中々のテクニシャン振りがうかがえる。
昔は自分もこうして夜中に一人公園でドリブルの練習をしていたものだと、懐かしい気持ちで入り口から公園を覗いてみた。
しかし公園にはドリ

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エッセイ 「真夜中の怪談」

エッセイ 「真夜中の怪談」

夏の気配を感じる蒸し暑い夜に、飲みながら怖い話を聞く機会があった。
話してくれたのはTVやライブなどでも怪談話を披露したことのある人で、子供の頃から霊感のある自身の体験談を中心にいくつか聞かせてもらったのだが、話を聞いているうちにどんどんと引き込まれていく臨場感や、おどろおどろしいだけではない妙なリアリティーがあり、大人になってから怪談話で寒気がするほど怖いと思ったのは初めてだった。
「やはり

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「怪談みたいな・・」

「怪談みたいな・・」

僕がバーテンとして立つ店までは家から電車で二駅分あるのだが、雨が降ってるとか荷物が多いなど、特別な理由がない限りはなるべく歩いて行くように心掛けている。徒歩で四十分以上かかるが運動を目的とした場合はそれぐらいが丁度いい。

先日いつものように家を出発し、BARの最寄にあたる二つ目の駅近くの横断歩道を渡っていると、向かって来る人波の中から「難波さん!」と声をかけられた。顔を上げると昔ライブで一緒

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