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糸を手にしてから織物ができるまで。

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日々の仕事風景をすこしづつ切り取って、つづっています。 下絵→図案→紋意匠図→紋図→糸を選ぶ配色→機場で製織→完成! これらの工程で込められている思いや祈りなどに触れてもらえる機… もっと読む
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#西陣織

伝統的工芸品と、時代の間に思うこと

伝統的工芸品と、時代の間に思うこと

めずらしく、自分の中でもやもやと考え続けていることがある。
いわゆる、「持続可能性」ということばを反すうしているこの頃。

私は京都の地場産業のひとつでもある、西陣織に携わって数年経つ。
2016年から父の下でこの仕事をはじめたので、今年で8年目くらい経つのかしら。

西陣織ははっきり言って斜陽産業となりつつあって、その拠点である京都の西陣エリアでもその機音が少しづつ聞こえなくなっている。

産業

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ポラリスに込めた思い、と御朱印帳。

ポラリスに込めた思い、と御朱印帳。

最近はつぶやきが多かったnoteの投稿ですが、もうすぐ春分を迎えようとしている今、少しづつスタートダッシュを切れそうな予感がしてきています。

以前から作ってはいたものの、きちんとご紹介していなかった”ポラリス”(北極星)柄についてやっと記せるまでに自分の内面が整ってきたようですw

京都のことをご存知の方でしたらご周知のことかと思いますが、京都市内は北、東、西側の三方は山に囲まれている盆地という

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面白い、西陣織②

面白い、西陣織②

前回書いておりました、以下の記事。

https://note.com/a_butterfly_way/n/ne531aad6fe23

引き続きその「面白さ」をお伝えしていきたいと思います。

②「伝統」と言いながら続けたことで、生まれた工夫の数々がある

日本の伝統的工芸品の一つでもある西陣織ですが、西陣織として名乗るのには、西陣織工業組合に所属してそこで定められた規定を満たす必要があります。

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面白い、西陣織。①

面白い、西陣織。①

ちょっとタイトルからして盛ってみました。

私が西陣織に携わるようになったのは、実家の家業が西陣織のデザイン製造卸業をやっているから、
地場産業でもあるので親戚筋に関係者がとても多いからなのですが、
ではなぜ、斜陽産業にもかかわらず、「続けている(続けようとしている)の?」と聞かれたら、それはもう、
「面白いから」
と言う返答が私的に的を得ている気がします。

では、どこが面白いのか、と言うことを

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藍生かし直しプロジェクト②

藍生かし直しプロジェクト②

藍生かし直しプロジェクト過程

👇こちらの記事からの続きです。

本藍染め作家・京都芸術大学で教鞭を取られている梅崎由起子先生と、京都芸術大学の学生さんらと私たち西陣織とのコラボ企画・藍生かし直しプロジェクトを進めてきた過程をこちらでは綴りたいと思います。

図案と組織(おり工夫)を考える

2021年11月ごろに学生さんの代表の方が私たちの工房(実家ですがw)にお越しくださいました。

あらか

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藍生かし直しプロジェクト①

藍生かし直しプロジェクト①

① プロジェクト概要

②  プロジェクト過程

③ プロジェクト成果発表

① 〜③部構成 となります。3/5日現在、プロジェクト成果発表をされていますので、ご興味ある方は記事末のご案内をご覧ください。

藍生かし直しプロジェクト概要

”藍生かし直しプロジェクト”のお話をいただいたのが、去年の夏頃のことでした。

👇以前書いていた、こちらの記事で帯の制作をさせていたただいた、本藍染め作

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工芸品セレクトショップ”&Hmuseum"京都にお越しの際にはぜひお立ち寄りください♪

工芸品セレクトショップ”&Hmuseum"京都にお越しの際にはぜひお立ち寄りください♪

工芸品セレクトショップ”&Hmuseum"オープン

私は京都市生まれ京都市育ちなのですが、京都にはものづくりを生業にしている各種の”職人さん”がとてもたくさんいます。

私自身も地場産業のひとつ、西陣織の仕事に携わっています。

身近な人にも、染色家や竹細工や銀細工や陶芸家や箔押し職人や漆芸家や悉皆屋やなど等。

親戚にも表具師、和裁、京繍、染めや、機屋などがおります。

ちょっと周辺の方のお知

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月で読書

月で読書

今回ご紹介する図柄は、ウサギさんとかえるさんが二人仲良く肩を並べて三日月の上で読書をしているものです。

ウサギさんは月に暮らしているという噂を時々耳にします。

満月の日などに煌々と夜道を照らすまあるい月をみあげてみたら、たしかにウサギが餅つきをしているように見えることもありますね。

キモノや帯などの図案や図柄などにも、ウサギと月とはよく一緒に描かれてきているようにも思えます。

そんなことか

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スミ濃淡を織物でつくる

スミ濃淡を織物でつくる

和紙に墨汁と筆とで描かれる濃淡には、独特の面白さがあるように感じています。

ちまたにはたくさんの画材がありますが、アクリルガッシュやポスターカラーや油絵具などのように、何度も上から色を塗り重ねられる画材とはその質感が全く違います。

”画材”として同じ目的のために存在しているにもかかわらず、その材質の違いが絵そのものの描き方も変えるし、同じような構図で同じような色味をえらんだとしても、全く異なる

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期間限定・おもいで織り受注いたします!

期間限定・おもいで織り受注いたします!

以前より記事にもかかせていただいておりました、京都精華大学×和工房明月のコラボ企画で誕生しました”おもいで織り”の受注を期間限定で承ることといたしました!

”おもいで織り”とは思い出の写真をA4サイズの額にはまるよう引き伸ばして、緯糸になるように細く裁断したものを織物として「織り込む」ものです。

※以下の記事を参考にご覧ください。

こちらのお写真は、春の受注会で承ったねこちゃんのお写真を引き

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『月で読書』試作の配色。

『月で読書』試作の配色。

ありがたいことに、詰まりすぎていた機場のお仕事に、すこしだけ余裕が出てきたみたいです。

ずっと以前から温めていた図案のひとつ。

ウサギさんとかえるさんとが月に仲良く座って、星を見ながら読書をしている図案があります。

今日は緯糸(よこいと)を選んで、ようやく、試作の製織へとまわせる段取りができました。

さて、こちらは紋意匠図といって、織物を織るときの設計図のようなものです。

↓↓↓

よく

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本藍染作家さんとのコラボ帯

本藍染作家さんとのコラボ帯

本藍染めの作家、梅崎由起子さんの帯を二種制作させていただきました。

本日ご紹介するのは、レース風柄の帯です。

本藍染めは、藍の葉を発酵させた汁に繊維をつけては乾かしを繰り返してその濃度や色味をだす染め方です。

梅崎先生のページ ↓

2月の半ばころに打ち合わせをさせていただいた時の様子もブログに書いてくださっています。

「藍を建てる」と先生がおっしゃっていたのですが、糸や布を染めるまえに、

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北極星を加えた北斗七星の帯

北極星を加えた北斗七星の帯

以前より制作していたもののなかに北斗七星の帯があります。

ドットの中に北斗七星が隠れていて、見る角度をかえることで、その星たちが姿を現す仕掛けをしています。

上の写真の中にある北斗七星を探してくださいね。この写真は、帯のお太鼓部分です。

私が締めているこちらの帯は、お太鼓と同様腹部分にも北斗七星の一部が見え隠れするようになっているのですが、以前よりずっと改良を加えたくて、今回ようやくそれがか

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京都精華大学×和工房明月コラボ企画 続編

京都精華大学×和工房明月コラボ企画 続編

今年の三月に、京都精華大学の学生さんとのコラボ企画のご案内をさせていただきました。

それは、都精華大学の学生さんが私たちの『西陣織の技術を用いた商品開発をする』講義の成果発表&商品受注会のご案内でした。

一週間ほど前にご案内させていただいて、あわただしく当日の2021年3月13日(土)を迎えました。

十分な宣伝などは出来なかったのですが、会場の京都市岡崎(平安神宮近く)のみやこめっせ内、京都

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