若返ったのか?

歳を取るとあちこちの関節にガタがきます。

腰はもちろんのこと、膝や肩など動かすと激痛が走ることもしばしば。

痛み止めの湿布や軟膏などは必需品。

毎日同じ所に使っています。


Tさんは80代半ばのおじいさん。

頭はしっかりとしていて会話好き。

肩や膝の痛みにより歩くのが億劫となり車椅子を使用。

痛みに対して湿布や軟膏、痛み止めを内服していますが効果がありません。

今一番辛いのは肩。

痛み止めを飲んでも効果が得られないTさんは受診を希望しています。

薬飲んでも効かないから病院へ行くと訴えてステーションから離れようとしません。

施設にある薬ではTさんの痛みを和らげることができないため施設長は病院の整形外科宛に紹介状を作成し、受診をすることとなりました。

送迎車に乗ったTさんは念願の受診ができることに大喜び。

痛みがあることなど忘れて病院まで俺はこの辺の道詳しいんだよ。

若い頃はあそこのホテルでよく遊んだもんだ。

あっちにもあるけどこっちのが良く行ったな。と昔話を始めました。

あ、そうなのですか。
へー。
それはすごい。

とりあえずテキトーに相槌を打ちながら病院に到着。

受付を済ませて整形外科外来前で呼ばれるのを待ちます。

待っている間もこの病院は若い頃から良く来てた。何十年も世話になってたんだと語っているため、院内では静かにしましょうかと制止します。

しばらくすると名前を呼ばれ、診察室へ

「 骨折とかは無さそうだけど加齢によるものなのでしょう。一応レントゲンだけ撮らせて下さい 」

レントゲン室を案内されて肩の写真を撮り、再度診察室へ

「 痛み止めが効かないようなので注射しましょう 」

何の注射ですか?

「 ヒアルロン酸の注射です。関節にヒアルロン酸を入れて動きを良くすれば痛みは取れます 」

施設ではできない対応のため注射をしてもらい、カルテに受診内容を記録するために診断名を伺うと

「 これは50肩ですね 」

『 ・・・50肩?』

俺80代なんだけど50肩なんかい?

「 50肩です 」

やったよ!若返ったよ!痛みも良くなった感じがするし、若返ったし最高だ!

大喜びをするTさん。

『 若返ったのか? 』

疑問に思う私。

とりあえず施設に帰って施設長に若返ったことを報告するか。

診察室を後にし、会計を待ちながら若返ったことを繰り返し喜ぶ姿に「 若返ったのか? 」と首を傾げ続け、頭の中では?マークがいくつも浮かんでいます。

まぁ、痛みが取れたから良しとするか。

若返ったかどうかは深く考えないようにしました。


施設に戻ったTさんは職員や利用者達に若返ったことを嬉しそうに話しています。

施設長には私から若返った話・・・受診内容を報告。

痛みが落ち着いたので一安心となりました。

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