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エッセイ

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#この経験に学べ

半透明の梨と八百屋。

半透明の梨と八百屋。

その実に包丁を入れたとき、あ、やられた、と思わず顔をしかめた。
目の前のまな板の上に転がる梨を恨みがまし気に見つめる。外側からは分からなかったけれど、殆ど半透明になっているではないか。

先程の八百屋さんとのやりとりを思い起こす。
「こちらの商品は、傷んでいるところもあるけど、大丈夫?」
「大丈夫です」
「はい、4つ200円ね」

この八百屋さんは少し足を延ばしたところにあるので、しょっちゅうでは

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茶室で見かけた秋の生き物と許状。

茶室で見かけた秋の生き物と許状。

先日、産前ラストのお稽古に行ってきた。

先月、先々月も体調不良や病院等で参加できなかったので、随分ご無沙汰してしまっていた茶道のお稽古である。

10月も半ばになると、お軸、茶花、お道具、と茶室のあらゆるものが、すっかり秋のしつらえに染まっている。そんな中で今回、特に心に残ったのは二種類の生き物だった。

まず、1つ目は和菓子の兎。
お稽古の翌日が、「十三夜」だったことにちなみ、今回の和菓子は月

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美味しく食べられるクッキーの限界量に挑戦してみた。

美味しく食べられるクッキーの限界量に挑戦してみた。

わたしには、かねてからチャレンジしたいことがあった。
いつか…いつか…と焦がれてはや半年。

店内で食べたり、量り売りで買って帰ったり、そのポスターを目にするたびに、いつか挑戦しようと決意を固めていたのだ。

そう、それは、
ステラおばさんのクッキーバイキング…!

1人で赴き、黙々とクッキーを咀嚼しながら、1枚1枚の感想をメモる孤高のクッキーモンスターになることも考えた。
けれど、店ではみんな誰

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先生が感じる、この10年での運動会の変化と大切なこと。

先生が感じる、この10年での運動会の変化と大切なこと。

「列、見て!」
「隊形移動は、すばやく!」
子どもたち全体に指示を飛ばす先生の声が運動場に響いている。

このシーズン、近所の小学校では運動会の練習真っ盛りだ。団体演技のダンスの練習の様子をちらりと見ると、前よりも子どもたちの動きの完成度が上がっている気がする。

…もう10月も半ばだもんな。この三連休中に運動会を開催した学校や来週あたりに開催する予定のところも多いんだろう。

8月中頃から産休に

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月の裏側、の話。

月の裏側、の話。

月の裏側は、地球側からは決して目にすることはできない。
普段誰にも見せるわけでもないけれど、確かにその人に存在する辛さ、しんどさ、劣等感、孤独、といった負の感情やそれらを感じた過去。
見えないけれど、誰しもに必ず存在するもの。

それらのことを先程挙げた月になぞらえて、わたしは「月の裏側」と呼んでいる。

自分で言うのも手前味噌であれなんだけど、結構この表現を気に入っていて、これまでのエッセイの中

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ありふれたカレーが救った、ある日の夕方。

ありふれたカレーが救った、ある日の夕方。

カレーが好きだ。
まあ一口にカレーと言っても、欧風カレー、インドカレー、キーマカレー、家庭的なカレー、給食のカレーと多種多様であるんだけど、わたしはカレーと名がつくものなら満遍なく愛している。

ある日の仕事帰り、どうしてもカレーの口と化してしまった。

きっかけは、ほんの些細なことだった。
松屋か何かのチェーン店で窓際に座っていたサラリーマンのおじさんがカレーを食べていた。
彼が美味しそうに、と

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子どもを泣かせた、ベテラン先生の一言。

子どもを泣かせた、ベテラン先生の一言。

「すみません、まだ子どもが帰っていなくて・・・。」

ーまた?

電話で保護者からのその知らせを耳にしたとき、正直そう思って心がざらついてしまった自分がいた。

ちらりと職員室前方の時計に目をやる。
時計の針は、16時を過ぎたところ。
1年生の下校時間からは、もうすでに30分以上過ぎている。

クラスのれおくん(仮名)は、少し前にも同じように下校時間を過ぎても帰宅していないということがあった。

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架空の兄が出来た話。

架空の兄が出来た話。

その日は、なんだか気分の良い帰り道だった。

予定以上に仕事は捗ったし、子どもたちのトラブルもなかった。仕事帰りにカフェにだって行くことができた。そして手からぶら下がるのは、先ほどコンビニで買ったばかりの幸せバターのポテチと限定三ツ矢サイダーみかん味。

その上、明日からは週末。しかもずっと楽しみにしている予定があるときた。

傘の上で弾ける雨の音も心なしか、リズミカル。
こんなささやかな幸せが幾

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初釜を終えて

初釜を終えて

年が明けて最初に行われる茶会のことを、初釜と呼ぶ。今の茶道の先生との初釜は、今年が初めてである。

太陽の光がまだか弱い頃、家を出た。
いつもは下ろしている髪をアップにしているため、通り過ぎてゆく風が直に首元に当たるのを感じる。

冷たい風が顔や首に容赦なく当たる。

冷水が細かい粒子となり、顔を洗っているみたいだと思った。
お正月休みで早起きに不慣れになってしまった身体を強制的に目覚めさせてゆく

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2023年を振り返ってみると。

2023年を振り返ってみると。

年が明けて今年の目標やしたいことを考えようとペンを執った。

そして、ふと考える。
わたし、2023年何が出来たんだろう。
何をしたんだろう。

頭の中でふわっと2023年を振り返るだけじゃなくて、はっきり言語化した方が今年を考えるにあたり、スムーズに考られるんじゃないか。

ということで、今更だけど記しておくことにします2023年!!

大きく分けて、

★書くことについて
★今年経験できたこと

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シロップ追加、2ドル?!【グアム旅行記①】

シロップ追加、2ドル?!【グアム旅行記①】

言葉が不自由って何て不便なんだろう。
日本を飛び出して、ただ今グアム。

何度そう思ったか、しれない。

看板やメニューなど書いてあることはまだいい。
大体読み取れるから。あと日本人の観光客が多いせいか、日本語もちょくちょく見かけるので安心。

ホテルのスタッフの方の英語も、まあゆっくりめだし、なんとか聞き取れる。
お店の店員さんの英語は速いから、分かる分からない半々くらい。
そして、最大の問題は

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眉毛の話。

眉毛が美しい人は、美しい。

これは、わたしの中の、揺るがぬ持論である。
いわゆる、美人と言われるような人の条件は、ぱっちり二重、長い睫毛、通った鼻筋、、、など人によって様々であるが、
眉毛が綺麗な人もそこに入っていると個人的に思っている。

眉尻がすっと整えられていると、うわ〜綺麗〜と、惚れ惚れしてしまう。
ほら、美は細部に宿るっていうし。

「あの人、髪の毛艶があるなあ、、」
「肌、めっちゃ綺

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蛍光ピンクと過ごしやすさ。

蛍光ピンクと過ごしやすさ。

わたしには、生理的にどうしようもないくらい苦手なものがいくつかある。

そのうちの一つが、歯医者での歯を削られるガガガガ、あるいはキーーンという音である。

どのくらい苦手かというと、苦痛過ぎてブッチしたことがある。(まあ、正しくは予定をはぐらかして次の予約を取らなかった)

けれど今行っている歯医者には、ちゃんと他に浮気せずに、通い通そうと心に誓っている。

最初の問診で、できる限りの苦痛は取り

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