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記事一覧

ずっと

ずっと

「あなたの瞳に私が映ってる」

「前にいるからだろ」

「ずっとそうやって私を映しておきたいと思わない?」

「ずっと正面にいたら邪魔だろ」

「そうじゃない…。
ずっとお前の瞳に映っててやろうか」

「なんかどっかの悪魔っぽいな」

つい…

つい…

もう、
飽きるほど見てるのに
いつだって
ついニヤニヤしてしまうの、
なんだろね。

時間

時間

つぼみが開く
空から雨が落ちてくる
今鳴いた鳥が飛び立った
次から次へとスピーカーから
音楽が流れ出す
雲が形を変えてゆく
車は瞬間移動
コツコツ地面を蹴って
ブーツが移動

止まる事を知らずに
流れ続ける時間のスピードは
思っているよりずっと速い。

こころのスピードはお構い無しに。

星

ある日気付いたら、
ポンと新しいものが鎮座している。
昨日まではあったはずのモノの記憶は
まるで月の向こうの暗闇にでも
ほっぽり出してしまったみたいに
すっかり消えてしまった。

いやいやそんなはずはないでしょう。
コツコツコツ ガランゴロン。
それは少しずつ積まれてきてたはず。
ただみんなが、
見ているようで見ていなかっただけ…
って、って、思っているでしょう。
本当は別星からきたヒトたちが、

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雨の日

雨の日

ワクワクするのはいつも
大通りじゃなくて、
すれ違った猫が
スルリと消えていくような
路地裏だった。

ダイヤモンドリリー

ダイヤモンドリリー

まぶたを転がる雫に目を覚ます
だいたいいつも同じ鳥の鳴き声
同じ時間に通り過ぎてく同じ顔

生まれおちてからずっとここに
ときどきちょっと退屈になって、
視力のギリギリまで目をこらす

ひんやり冷えた風をおしのけて
太陽だけが知っているみたいに
まだ誰も知らない朝いちばんに
頭のてっぺんからやがてほほに
あたたかい手のひらを滑らせた

【ダイヤモンドリリー】

いつも通る道からちらりと見える一本入

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夢は途中

夢は途中

夢はいつも、
途中でさめる。

うれしくても、
かなしくても、
叫んでいても、
泣いていても、
飛んでいても、
走っていても、
パン屋さんに行っても、
トイレに辿り着いても、
好きなひとに会えても、
大切なひとと離れても、

夢はいつも、
途中でさめる。

目覚める直前に
コツメカワウソが
目の前を通り過ぎた。
私は思わず、
「コツメカワウソ!」
と叫んで、
ただそれだけで
夢からさめた朝のこと。

図書館とドッヂボール

図書館とドッヂボール

けんかをやめてー ふたりをとめてー
みたいな歌がむかしあったね。
ふたりのひとの心を弄ぶなんて
どうしてそんなことができるの?
なんて思った。

図書館とドッヂボール、 
チョコレートと漬け物、
ひとりが好きなさみしがりや…

どっちも、
どっちも好き。

って、
ぜんぜん弄んでいない。
むしろ私が
弄ばれているんじゃないの?

どっちが好きかを確かめるべく、甘いとピリッと辛いとを試してみました。

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目

生まれてからずっと
ほとんど同じような形をした
粒を持っているのに、
あの人だけが
スッと異次元にでも行ってきたような
世界を作り出す。

それは機能の問題ではなく、
きっと心の違いなのだろう。

あなたがいてくれて良かった。
そうじゃなければ私はずっと
誰にもあこがれられずにいた。

あなたがいてくれて良かった。

今日のおつまみ

今日のおつまみ

きっと、
甘いタイプではない。
それでもなぜだか
奥のほうに隠した
懐かしい匂いにつかまれて
どうしようもなく
また、
私はあなたを好きになる。

今夜のおつまみは、届いたばかりのソール・ライターの写真集です。
ただ好きで、ただただ好きで、撮り続けた風景。
そんなソール・ライターの生き方に、嫉妬と恋心を足してぐるぐると混ぜたあと火にかけて、余計な水分を飛ばしたような気持ちがおなかの真ん中あたりでじ

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窓

いっつも窓の外ばかり
眺めていたよね。

雲? 鳥? 風?
憧れていたのはなんだった?

それで?
中と外、
どっちが自由だったの?

落ちる

落ちる

目だ。
そうだ、目だ。

好きになる時はだいたい、
目だ。

一重だとか二重だとか
奥二重だとかはどうでもよくて、
なぜだかその目から
目が離せなくなるような、
まるで磁力がはたらいているように…

そんな時に
うっかり恋に落ちるのだ。

ひとめぼれ

ひとめぼれ

ヒトに対する一目惚れは
あんがい間違いやすい。

モノに対する一目惚れは
あんがいずっと好き。

同じ目なのに、
見ている何が違うのだろう。

ヒトには勝手に何かを求めて、
モノには何も求めていないのかもしれない。

街

ドカンと置いた大きな箱の中の、
どこかでも見たような風景には
安心して足を踏み入れるけれど、
見慣れない風景は
何がしたいのか理解してもらえるまでには
少し時間がかかる。
義務は果たしたとして、
パチンと泡のように消えないで。