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グルコーストランスポーター1欠損症

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グルコーストランスポーター1欠損症&知的障害の子との生活。体調を保つために、糖質制限(ケトン食、修正アトキンス食)を続けています。てんかんもありましたが、発作消失から3年経ち、減…
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#障害児育児

医者が女優だったら最強だ

医者が女優だったら最強だ

2番目の子、ニンタが1歳で発作を起こしたとき、近所の総合病院で、てんかんが見つかった。担当してくれたのは、天海祐希のようなはっきりした目鼻立ちで、柔和な先生だった。仮に、天海先生と呼ばせてもらう。

天海先生は、「うちの病院には専門医が常勤していないから」と転院先を紹介してくれ、「大丈夫ですよ、お母さん心配しないで」となぐさめてくれた。初めて会った先生なのに、まるで長年通院した患者を見送るような、

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こどもを手放せ

こどもを手放せ

ニンタの小学校で給食が始まる。コロナで学校の再開自体がおっかなびっくりなのに、こんどは給食だ。学校はどれだけ大変だろうか。先生たちの心労を思うと、頭が下がる。

ニンタは食事療法をしているが、保育園でも給食を食べていたし、小学校でも提供してもらえることになった。もちろん食べられるものと食べられないものがあるので、それは私が指示をだし、足りない時には持参する。

前にも書いたが、これは当たり前ではな

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避難したくなる避難所

避難したくなる避難所

大雨の災害が続いている。私も去年、これは避難しなければいけないのではないか?という大雨を経験した。結果的に無事だったのだが、近所では念の為、避難所で過ごしたという人も居て、また次も同じような災害があったらどうしようかと、今から頭を悩ませている。

1番ひっかかるのは、2番目の子、ニンタの食事だ。ニンタは持病があり、食事療法をしているので、炭水化物系をほとんど食べることができない。そのため、鯖缶やツ

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世間のスピードについていけない

世間のスピードについていけない

知的障害のある2番目の子、ニンタの学校ことでモヤモヤとしている。

小学校が始まることになり、私は不安でいっぱいだった。勉強についていけないことは、もうよくわかっているが、その他の生活がどうなるのか、全く想像がつかなかった。

先生たちは皆、熱心である。ニンタがやりたくない、と言ったことは無理にさせないし、出来ることはなるべく手を貸さずに見守ってくれる。

ニンタに学校で何をさせるか、ということは

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食べたい気持ち

食べたい気持ち

ニンタ6歳。グルコーストランスポーター1欠損症と診断され、現在、唯一の治療法とされている食事療法を開始して2年半ほど経つ。糖質をギリギリまで減らす食事療法で、主食、菓子類、果物、芋類が食べられないのはもちろん、揚げ物の衣やとろみづけの片栗粉まで気を使う。大変な食事療法だが、ニンタの体調はとても良くなった。

ニンタが食事療法を始めるときに、まず菓子類を目につかないところへ移動した。当時8歳だったい

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お菓子もらって嬉しかったです。

お菓子もらって嬉しかったです。

先日、ニンタと夫が外出する前に、玄関前で遊んでいると、ご近所さんが話しかけてきた。私の母親くらいのその女性は、いつもニコニコと、うちのこどもたちを「かわいいわねえ」「大きくなったわねえ」と愛でてくれている人だ。

ニンタが夫と出かけた後、そのご近所さんは家に訪ねてきた。ジュースとお菓子を持って。

「これ、お中元でたくさんもらって、余っちゃったんだけど、お子さん食べるかしら?」
「ありがとうござい

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初めての減薬

初めての減薬

ニンタの検査入院に、半年ぶりに行ってきた。

ニンタが4歳でグルコーストランスポーター1欠損症と診断されてから、だいたい3ヶ月おきに検査入院してきた。しかし、食事療法がなんとか続いていることと、容態が安定していること、さらに小学校入学ということで、そんなに頻繁に休むのもよろしくないかも、などの理由で、今回は初めて半年あけたのだ。

今回も、ありがたいことに脳波に異常はなかった。そして、前回の検査入

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続・「食べない子は、どうしたって食べない」。

続・「食べない子は、どうしたって食べない」。

このところ、ニンタの食欲のなさが尋常でない。

見た目は元気そうだし、おやつなどはパクパク食べる。しかし食事どきになると、目が死んだようになり、仕方なく口に運ぶと、モグモグと口を動かしてはいるが、いつまでたっても口の中のブロッコリーがなくならない。

どうした。しっかりしろ。

私は、ニンタの病名がわかって、食事療法を始めたばかりの頃を思い出していた。

食べない子は、どうしたって食べない。それで

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「断られる」というダメージ

「断られる」というダメージ

「断られる」ことが得意な人なんて、いるんだろうか。

私が若い時、就職活動で落ち続けたときはもちろんのこと、会社員となっても、取引先に「高いな~。無理無理」と言われただけでも「泥棒!」と言われたように落ち込んだし、婚活のようなものをしていた時期も、いつも自分が値踏みされているような感覚があって、アリかナシか判定されていることに(そして、たいていナシと判定されて)疲弊していた。

「断られる」たびに

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半沢直樹の脇役のつもりで、校長先生に手紙を書いた。

半沢直樹の脇役のつもりで、校長先生に手紙を書いた。

最近、noteに重量級の話題ばかり書いているので、心配した学生時代の友達数名から連絡がきてしまった。ごめん。心配させて。ありがとう。でもこうやってnoteに書くことが私の生きる支えになっていて、今日も私は生きています。

そのうちの1人が、ニンタの給食について、本当にどうにかならないのかと、我が事のようにイライラとしてくれた。

「私ももう、交渉する元気がないんだけど、次に校長先生に会ったら、何事

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すべて1人芝居

すべて1人芝居

小学校になんとなく行きたくない、登校拒否気味の母である私に、「懇談会に連続3日出席」という試練がやってきた。

なんとなく、などと書いたが、理由はハッキリしている。障害のあるニンタを親としてしっかりサポートすることが出来ていないし、そのくせ校長先生に給食の内容について不服を表明する手紙まで出しているからに決まってる。

行きたくない。ニンタにとても熱心に指導してもらって、感謝しているのに、行きたく

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オール1の成績表にある価値

オール1の成績表にある価値

障害のあるニンタは、公立の学校に通っているが、その半分くらいを障害や苦手なことがある子たちの集まる「支援級」で過ごす。今のところ、国語と算数は支援級。それ以外は普通級。その区分はその子その子で違って、普通級でついていけるようだったら、そっちでやりましょう、という感じ。

先日、諸般の事情で延期になっていた支援級の懇談会で、初めて成績表のことを説明された。
「今までは、支援級に在籍している生徒は、成

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自分で自分を守るのは難しい

自分で自分を守るのは難しい

誰かにカチンとくることを言われた時、その場で言い返せなくて、家に帰ってから「あの時、ああ言い返してやればよかった」とギリギリ悔しい気持ちになる、ということがある。

そういう「攻撃と言う名の防御」を身につけるためには、今度同じようなことがあったら、こう言おう、ああ言おう、とシミュレーションして練習することに効果があって、そうやって悔しい思いをしながら、何度も繰り返しているうちに、少しずつ身につくら

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マイノリティが投げる小石

マイノリティが投げる小石

テレビも宣伝も、配慮が必要な世の中だ。その渦中にいる、作る側の人が「昔は良かった」「いい時代だった」と言うことがある。そうなんだろうな、と思う。自分が面白いと思ったことを何も考えずに作れた方が、楽に決まっている。

私は何か活動したり発言したりして、世の中を変えた側ではない。誰かが汗水流して動いた結果、いつの間にかこういう時代になっていた。あ、そうか、それを嫌だって言っていいんだね、と気付いたら、

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