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Black Bird

世の中には、カラスを専門に研究をしている人がいるということを知る。 そりゃなにかにつけ研究しているひとがいるであろうが、毎日のように目に入ってきて、あまりいい噂…

3lioco
1年前

林さんの家

以前、といってもけっこう前になってしまったが台北に行ったとき、「りんさんの家」というのが紹介されていたので寄ってみた。 かつての台湾の富豪の屋敷と庭園が一般に開…

3lioco
1年前

D1:イカ

右の頬にあるぽつんとしたシミがずっと気になっていた。 昔、なにを思ったかイカの天ぷらを作ろうと思い立ち、家で揚げ物をおっぱじめ、下処理が甘かったのか案の定、油の…

3lioco
1年前

なんでもないフリ

とある日に家の近所を歩いてたら、木の陰から「助けてー助けてー」いわんばかりの猫の鳴き声が聞こえた。 どうした?とおもってその姿を探すと、どうやら調子に乗って木に…

3lioco
1年前

桜の味は

今年の桜は盛り上がりに欠ける。 夜中にトイレに行き、ベッドに戻るときにふとそう思った。 なんだか印象に残ったので、そこらの紙に書きつけて再び眠りにつく。 朝起きる…

3lioco
1年前
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葡萄と檸檬と林檎

フランスのカルカッソンヌ(La cite de Carcassonne)という城壁都市へ行ったときのこと。 2500年の歴史があるというその塀に囲まれた古代都市は、今ではその内部はすっか…

3lioco
1年前
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出た芽のゆくえは?

思えばこの場所が、その後の私の旅の履歴の種であったとおもう。 この絵が胸のどこかにかかえ、しらない景色と空気を求めて、エアチケットの料金とにらめっこして行き先を…

3lioco
1年前

救われる、か?

以前の職場に”趣味で手相をみる”という人がいた。 駅前で見かけるアレや、女性の手を触りたいなど不埒な動機の類ではなく、単に趣味でやりはじめたものらしい。 当たるも…

3lioco
1年前
Black Bird

Black Bird

世の中には、カラスを専門に研究をしている人がいるということを知る。
そりゃなにかにつけ研究しているひとがいるであろうが、毎日のように目に入ってきて、あまりいい噂を聞かない鳥のことを研究しているとは興味深く、話を聞いた。その人が出している本もさっそく読んでみたが、「へー」と感心させられることしきりであった。
ちまたでは「いじわるされた人のことは覚えていてやり返してくる」だの「あの大きなくちばしでつつ

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林さんの家

林さんの家

以前、といってもけっこう前になってしまったが台北に行ったとき、「りんさんの家」というのが紹介されていたので寄ってみた。
かつての台湾の富豪の屋敷と庭園が一般に開放されており、林本源園邸(林家花園)という立派な名前があるらしいのだが、通称「りんさんの家」と呼ばれているらしい。
行き方などはすっかりわすれてしまったが、最寄駅を出てからあまり観光地らしくない街並みをしばらく歩いた記憶がうっすらある。

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D1:イカ

D1:イカ

右の頬にあるぽつんとしたシミがずっと気になっていた。
昔、なにを思ったかイカの天ぷらを作ろうと思い立ち、家で揚げ物をおっぱじめ、下処理が甘かったのか案の定、油の中でイカの水分が爆発して、それが顔に飛んできてできたやけどの跡だ。それほど目立つものでもないが、理由が理由であったり、毎日目にはいるものなのでその存在を忘れることはない。
ちなみにこの件以来、我が家で揚げ物をすることは封印される。

そのや

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なんでもないフリ

なんでもないフリ

とある日に家の近所を歩いてたら、木の陰から「助けてー助けてー」いわんばかりの猫の鳴き声が聞こえた。
どうした?とおもってその姿を探すと、どうやら調子に乗って木に登ったはいいものの、怖くなって足がすくんで降りられなくなってしまったもようの猫を見つけた。
手を伸ばして抱き上げるには微妙な高い位置であり、脚をつかんで支えてあげることくらいはできそうだが、手を伸ばすとおびえて後ずさる。
そのあいだもずっと

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桜の味は

桜の味は

今年の桜は盛り上がりに欠ける。
夜中にトイレに行き、ベッドに戻るときにふとそう思った。
なんだか印象に残ったので、そこらの紙に書きつけて再び眠りにつく。
朝起きると、かろうじて読める殴り書きが残っていたので、どうやら夢ではなかったらしい。
そもそもが「桜が咲いたぞ!花見だ!花見だ!」というタイプではないとしても、このころになると冬の間こわばりがちだった肩の力がゆるみ、そこらにうすく淡い花の色を見か

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葡萄と檸檬と林檎

葡萄と檸檬と林檎

フランスのカルカッソンヌ(La cite de Carcassonne)という城壁都市へ行ったときのこと。
2500年の歴史があるというその塀に囲まれた古代都市は、今ではその内部はすっかり観光向けになっていて、そこにひとつだけあるホステルに泊まった。
レセプションに「日本語を勉強している。難しい漢字を覚えるのが好きだ」という男性スタッフがおり、「日本人か!それならば」とチェックインもそこそこに漢字

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出た芽のゆくえは?

出た芽のゆくえは?

思えばこの場所が、その後の私の旅の履歴の種であったとおもう。
この絵が胸のどこかにかかえ、しらない景色と空気を求めて、エアチケットの料金とにらめっこして行き先を決めるスタイルが決まる。
見るだけでなく知りたくなって、英語をはじめとした語学を学び、その場所に関する資料を読み漁る。
なんといっても、インターネットのない時代からの話である。すべては紙と電話線、または人に聞くしかないのだ。
通じる言語で話

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救われる、か?

以前の職場に”趣味で手相をみる”という人がいた。
駅前で見かけるアレや、女性の手を触りたいなど不埒な動機の類ではなく、単に趣味でやりはじめたものらしい。
当たるも八卦当たらぬも八卦で見てもらう。誰もが気になるであろう、健康、お金、恋愛についてなど、占い結果にありがちな、どうとでもとらえられる「なるほど」な結果なのだが、ためしに「私はこれからなにを選んでいったらいいのか?」と問うてみると、手のひらを

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