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マザリング.サンデー
先日、観た「帰らない日曜日」の映画が好きだったので原作も読んでみた。 グレアム・スウィフト著『マザリング・サンデー』 かなり小説とは違ったように感じた。 逆に映画ってこういう風に作るのか、とも思った。 1924年春、メイドの里帰りの日、その1日を今は作家となったジェーンが振り返る。 イギリスの春の光の描写がとても美しい。 孤児だったジェーンは帰る家はないが、ポールとの忘れられない時間を共有する。
もっとみるテヘランでロリータを読む
テヘランで最もリベラルな大学で英文学を教えていたが、スカーフを拒否したことでトラブルになり、結局退職。しかし、大変な社会中で数人の教え子と小さな読書会という形で文学を読み続ける。取り上げてる文学はロリータ、ギャツビー、ジェイムス、オースティンなど。文学者の視点とジャーナリズムの視点が交差する。やがて小説の中に民主主義的構造を見、個人の夢や才能が体制に潰されていく現実を激しい怒りで書きしるしている。
もっとみるトルコ・コーヒーの沸かしかた
長田弘詩集『食卓一期一会』はめちゃくちゃ好きな本。
食事と言葉、人生と時間、夢と失意のマリアージュって感じの一冊で、
私は、おいしい林檎とこの詩集があればなんとかなるな、っていつも思う。
そして『トルコ・コーヒーの沸かしかた』
コーヒーは強く炒って
できるだけ細かくくだいて・・・・
と丁寧にコーヒーのいれ方が詩われていて、
砂漠の革命家の言葉が胸にせまる。
砂漠で飲むコーヒーっ
愛してるって言っておくね
心の奥底が揺さぶられる、12分のアニメーション。
夫婦が食事をしている。グレイでガランとした空間。
二人の心だろうか、影が怒ったように絡み合う。
洗濯物の中に水色のTシャツを見つけて泣き崩れるお母さん。
壁に水色のボールの跡。じっと見つめるお父さん。
元気なサッカー女子がボールを蹴る。
幸せな、ありふれた時間が思い出が描かれる。
星条旗がアップされ、停止する。
銃の音。携帯に流れる
世界でただ一つの読書
三宮麻由子
エッセイは主に2つの点にスポットが当てられいる。
1つは信仰。夏目漱石「坊っちゃん」に現れる西洋的な愛、ペルシャの説話集「アラビアンナイト」で語られる「容赦ない光と闇」のなかで守る信仰、与謝蕪村の宇宙観、「南の島ティオ」に描かれる島の神々との対話など。
もう一つは音。幼くしてシーンレスになった著者に「麻由にも読んで欲しい本があるんだ」と言ってカセットテープに吹