ファミリー・ライフ

         アキール•シャル

1970年代、主に二人の息子たちの将来を考えて、インドからTVと図書館があるアメリカへ移住したラジンダー一家。しかし、2年程過ぎたころ兄のビルジュが大きな事故に遭い脳を損傷するという悲劇に襲われる。

これは、“おぞましい真実”とともに弟のアジェの視点で語られる少年の成長物語。

「悲しいだと?俺は毎日首を吊りたくなる」と怒る父。
「神様はなんだってできるのよ」と言う母。

そんな絶望的な生活の中で少年はヘミングウェイという作家に出会い、彼の生き方に惹かれ成長していく。やがて自分の道を切り開いていく。

決して明るくハッピーな話では無いのに人生は何か大きなものに守られている、と感じる。少年の若さ。家族。コミュニティ。表現すること。なによりも複雑な愛というものに。

私が一番印象に残ったのは、映画について語ってる部分。
『ガンジー』を観るべきよと母はいった。僕はどうしても映画にいけというなら『E.T』が見たかった。母は言った。「月から来た怪物なんて」

E.Tもまた家族の再生の物語だった。

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