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  冬

     アリ・スミス

ソフィアは、かつて実業家として成功しだが、今は経済的にはかなり苦労してようだ。
そんな銀行での話から始まる。
…神は死んだ。
 愛は死んだ。

ロンドンに住む息子アートは、クリスマスには恋人「シャーロット」とコーンウォールの母ソフィアの元に帰る約束していた。そして、公園で見つけたもう一人の「シャーロット」と帰ることになる。
…愛は明らかに死んでいた。

今年のクリスマスには、30年間音信不通だった姉アイリスも加わる。
(30年びっくりです)
ソフィアとアイリスは深いところで繋がっていた。チャップリンやエルビスの思い出。
同時代を生きているということかもしれない。生き方が違うだけだから。

読みながら『クリスマス・キャロル』やシェークスピアが頭を過ぎる。

冬のガラス越しの光の中、そんな人たちが囲むクリスマスのランチでの話しが面白い。
皮肉と少しのユーモア。
…みんなに平和を、地上に平和を、どうして、今日だけ、どうして一年中そうしないの?
…ジェスチャーだよ、希望に向けた意思。

様々なエピソードが取り留めもなく流れていく。
それを繋げていくのは読み手の私かな。

アリ・スミスの世界は美しい、と思う。
春になる頃『春』も読みたい。




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