世界でただ一つの読書

           三宮麻由子

エッセイは主に2つの点にスポットが当てられいる。
1つは信仰。夏目漱石「坊っちゃん」に現れる西洋的な愛、ペルシャの説話集「アラビアンナイト」で語られる「容赦ない光と闇」のなかで守る信仰、与謝蕪村の宇宙観、「南の島ティオ」に描かれる島の神々との対話など。

もう一つは音。幼くしてシーンレスになった著者に「麻由にも読んで欲しい本があるんだ」と言ってカセットテープに吹き込んでくれた友と吉本ばなな「TUGUMI」。なんだかちょっといい話だ。小泉八雲ことラフカディオ.ハーンが描く世界は音が重なり合いサウンドスケープのように読んでいる。他にもスウェン.ヘディンの中央アジアの探検記等全部で17編、深い知性と独特の感性で書かれている。

素晴らしく個性的で知的な叙事詩的な一冊だった。


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