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10月22日

 カタストロフ なんのこと?
何の予備知識もなく読み始めた『カタストロフ前夜 パリで3・11を経験すること』関口涼子著

⚪︎これは偶然ではない
パリで文学的な創作活動を続けている作家の3月10日から4月30日までの日記
家族、友人そして、故郷への思いが切実に響いてくる。
それが世界全体の有り様と、過去の歴史的な出来事などに時々広がっていくのは(自然災と人災は別であるけれど)ヨーロッパという地に住んでいるからかも知れない、と思う。
ユダヤ人の事、広島の事、アフガニスタンの事等。

 やがては、終わりは存在しない。
固有名詞、個々の命の重さへと、フランスと日本という国で活動するという自分の道へと辿り着く。

⚪︎声は現れる
 声を通して存在、不在、消滅を考える、詩のような一章。
 親密だった祖父の死へのレクイエムのような。

 最後に会えなかった父のこと、ふと思い出した。
 もしかして私の中にも、彼の声の温かさは残っているのだろうか。

⚪︎亡霊食-はかない食べものについての実践的マニュアル
 食べものの話はいつだって興味深い。
 しかし、しかし、土地を食べるという部分でうっとなった。
 そうだったのだ。

 カタストロフ前、カタストロフ後、そんな時代に私は今、生きていた。

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