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たまにオリジナルの書き物をしていきます。小説だったり報告だったり。とてつもない遅筆です…

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たまにオリジナルの書き物をしていきます。小説だったり報告だったり。とてつもない遅筆ですが、何卒よろしくお願いします。

マガジン

  • 【小説】ロックバンドが止まらない

    オリジナル小説です。 とあるバンドの話です。 何卒よろしくお願いします。

  • スポットライトが見えずとも~上総台高校アクター部がいる!~

    全103回にわたるオリジナル小説です。アクター部という実在しない部活のことを書きました。ポップに読めるものを目指したので、何卒よろしくお願いします。

  • 【小説】白い手

    全5回のオリジナル短編小説です。 男性身体障害者への射精介助サービスの話です。 note創作大賞2023への応募作でもあります。 何卒よろしくお願いします。

  • 【小説】本当に死ねるその日まで

    全11回のオリジナル小説です。 死ねない体質の主人公たちが活躍するお悩み解決ものです。 ジャンププラス原作大賞に応募したシナリオを小説の形に再編集しました。 何卒よろしくお願いします。

  • 【小説】30-2

    オリジナルの短編小説です。 Youtubeにオリジナルの動画を投稿している28歳が主人公です。 小さいけれど、重大な出来事が数々起こります。 何卒よろしくお願いします。

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固定された記事

5/19(日)文学フリマ東京38@東京流通センターに出店します。

 こんにちは。これです。  めっきり暖かくなってきたどころか暑くなってさえきた今日この頃、皆さんいかがお過ごしでしょうか。私はGWも相変わらずスタジアムや映画館、…

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【小説】ロックバンドが止まらない(76)

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【小説】ロックバンドが止まらない(75)

前回:【小説】ロックバンドが止まらない(74)  ライブは神原たちが期待していた以上の熱量を保ったまま終わっていた。  七曲目にバラード調の曲を演奏したときは、当…

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【小説】ロックバンドが止まらない(65)

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5/19(日)文学フリマ東京38@東京流通センターに出店します。

5/19(日)文学フリマ東京38@東京流通センターに出店します。

 こんにちは。これです。

 めっきり暖かくなってきたどころか暑くなってさえきた今日この頃、皆さんいかがお過ごしでしょうか。私はGWも相変わらずスタジアムや映画館、駅前のスタバなどを転々としています。もはや家にいる時間よりも外にいる時間が長い感じですね。まあ家にいたら寝てしまいますからね。なるべくそれは避けたいなと思っています。まあ代わりに映画館で寝てしまうことが最近は多くなってきたのですが。どう

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【小説】ロックバンドが止まらない(76)

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前回:【小説】ロックバンドが止まらない(75)

 午後から始まったロングインタビューは、神原たちが一息ついた頃には、窓から西日が差しこむくらいになっていた。予定していた時間をサニーミュージックに所属するまでで使いきってしまったため、インタビューの続きはまた後日になる。

「今日はインタビューに応じてくださりありがとうございました」と番場が言い、神原も「いえ、またよろしくお願いします」と応える。

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【小説】ロックバンドが止まらない(75)

【小説】ロックバンドが止まらない(75)

前回:【小説】ロックバンドが止まらない(74)

 ライブは神原たちが期待していた以上の熱量を保ったまま終わっていた。

 七曲目にバラード調の曲を演奏したときは、当然観客の熱も落ち着いたけれど、それでも多くの人が自分たちの曲を集中して聴いてくれていることが神原には分かって、自分たちは観客を曲の世界に引き込めていたのかもしれないと思えた。

 そして、最後の八曲目として神原たちが演奏したのは、現時

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【小説】ロックバンドが止まらない(74)

【小説】ロックバンドが止まらない(74)

前回:【小説】ロックバンドが止まらない(73)

 ステージでの転換作業が終わると、間もなくしてフロアに流れていたBGMは止み、照明も落とされる。青く照らされるステージを全員が見つめる中で鳴り出したのは、神原たちの登場SEだった。

 その瞬間小さくても確かな歓声が上がり、神原たちの心の火を煽る。自分たちも楽しみにやってきた観客がいるという事実は、ステージに向かう神原たちの足取りを軽やかにさせた。

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【小説】ロックバンドが止まらない(73)

【小説】ロックバンドが止まらない(73)

前回:【小説】ロックバンドが止まらない(72)

「じゃあ、契約終了の手続きは以上で、あとは俺たちの方でやっとくから。皆、ひとまず今までお疲れ様」

 改めて神原たちを労ってくる吉間の声は、今まで聞いたことがないほど優しかった。その声色に、神原は自分たちが成し遂げようとしていることの大きさを再認識する。

 レコード会社との契約、メジャーデビューは誰でもできるわけではない。そんな当たり前のことを今

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【小説】ロックバンドが止まらない(72)

【小説】ロックバンドが止まらない(72)

前回:【小説】ロックバンドが止まらない(71)

 手ごたえがあったライブを終え、自分たちの後のバンドのライブも見て、物販の時間も終えると、打ち上げに行く前に神原たちは吉間に改めて集合をかけられていた。

 もう自分たちとスタッフ以外は誰もいないフロアに、改めて一人の男性が入ってくる。薄手のカーディガンを羽織っているその男性に、神原は確かに見覚えがあった。自分たちのライブをフロアの後方で見ていた人

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【小説】ロックバンドが止まらない(71)

【小説】ロックバンドが止まらない(71)

前回:【小説】ロックバンドが止まらない(70)

 迎えたライブ当日は、朝からどんよりとした曇り空が広がり、寒さを感じる風が吹く日だった。天気が持ってくれるかは半々といったところだが、それでも神原は少しでも多くの観客を呼べるバンドであることを示すために、雨は降ってほしくないと思う。

 この日の会場は、神原たちが何度も出演している下北沢のCLUB ANSWERだった。勝手を知っているライブハウスで

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【小説】ロックバンドが止まらない(70)

【小説】ロックバンドが止まらない(70)

前回:【小説】ロックバンドが止まらない(69)

 神原たちが貸しスタジオに入って新曲をさらに練習し、いくつかのライブイベントにも出演していると、夏はあっという間に過ぎ去った。マスタリングされた音源を確認して、アルバムが完成した頃には、もう九月も半ばを過ぎ、外にも少しずつ涼しい風が吹き始める。

 出来上がったChip Chop Camel初のフルアルバム「バンドCのために」を目の当たりにしたとき

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【小説】ロックバンドが止まらない(69)

【小説】ロックバンドが止まらない(69)

前回:【小説】ロックバンドが止まらない(68)

 レコーディングはさっそく翌日から開始された。

 レコーディングスタジオに入った神原たちは、まず野津田に曲の提出がギリギリになってしまったことを詫びる。でも、野津田は大して気にしていないばかりか、それどころか「自分にも原因の一端はある」と逆に謝ってさえきていた。確かにその側面は否めないものの、それでも野津田が指摘してくれたおかげで、より良い曲を作

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【小説】ロックバンドが止まらない(68)

【小説】ロックバンドが止まらない(68)

前回:【小説】ロックバンドが止まらない(67)

 やるしかない。やらなければならない。いくら神原がそう思っても、現実は甘くなかった。いくらギターを手に取ってみても、曲のアイデアは一向に浮かばず、時間だけが無情に過ぎていく。

 締め切りであるバンド練習まではあと二日しかない。そう思うと神原は焦って、なかなか寝付くこともできなかった。

 隣人には迷惑だろうかと思いながらも、ベッドに横になっていて

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【小説】ロックバンドが止まらない(67)

【小説】ロックバンドが止まらない(67)

前回:【小説】ロックバンドが止まらない(66)

 曲を作り直そう。神原は改めてデモテープを聴いて、そう決めていた。レコーディングまではあと一ヶ月を切っているからさすがに全曲は無理だが、それでも野津田に指摘された三曲はできる限り変更する努力をしたいと思う。

 そのことを電話で三人にも伝える。三人ともすぐには同意してくれなかったが、神原が「少しでも納得がいくものにしたい」と頼み込むと、「できるかど

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【小説】ロックバンドが止まらない(66)

【小説】ロックバンドが止まらない(66)

前回:【小説】ロックバンドが止まらない(65)

 神原たちの新しいアルバムの制作が決定してから、数日の間にその全体像も少しずつ決まっていった。まず発売時期が一〇月に決まり、レコーディングは六月から七月にかけて行われることとなった。

 一〇曲を収録することも決まり、神原たちには三ヶ月ほどの新曲の制作期間が与えられる。現時点でできている曲はそのうち半分ほどで、制作期間中にさらにもう半分新曲を作らな

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【小説】ロックバンドが止まらない(65)

【小説】ロックバンドが止まらない(65)

前回:【小説】ロックバンドが止まらない(64)

 貸しスタジオでの練習が終わって神原が与木に声をかけられたのは、佐川たちの最後のライブが終わって年が明けてから一ヶ月ほどが経った頃だった。普段与木が神原たちに声をかけることはほとんどなく、神原としては応じるほかない。

 園田や久倉と別れて、神原たちは以前と同じラーメン屋に向かった。夕食の時間帯には少し遅くても、店内には多くの人がいてほどほどに騒が

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【小説】ロックバンドが止まらない(64)

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前回:【小説】ロックバンドが止まらない(63)

 佐川たちの最後のワンマンライブは、ダブルアンコールまでを演奏しきって終わった。佐川たちにも観客にも疲れがあるはずなのに、最後のダブルアンコールで演奏された曲はこの日一番の盛り上がりを見せて、ライブは最高潮のまま終わっていた。

 全ての曲を演奏し終えて、佐川たちは最後にマイクを通さない声で「ありがとうございました!」と、三人で手を繋いで観客に感謝

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【小説】ロックバンドが止まらない(63)

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前回:【小説】ロックバンドが止まらない(62)

 ライブの開演時間は予定通り訪れる。午後の六時をほんの少しだけ過ぎた頃、フロアの照明は落とされ、ステージは赤い照明で照らされる。

 その瞬間、フロアからは歓声が上がった。佐川たちの登場SEに合わせて、手拍子が鳴らされる。そして、それは佐川たちが登場すると、より大きな歓声となって弾ける。神原たちも叩く手を止めなかった。

 やはりワンマンライブであ

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【小説】ロックバンドが止まらない(62)

【小説】ロックバンドが止まらない(62)

前回:【小説】ロックバンドが止まらない(61)

「大丈夫だろ」そう神原は断言したかった。けれど、できなかった。

 今の自分たちにメジャーデビューの兆しはまだない。このまま何年もインディーズで活動していたら、それこそ佐川たちのように見切りをつけるタイミングが絶対に来ないとは言いきれない。きっと四人全員がそのことについて、一度は不安に思ったはずだ。だから、強く否定することは神原にはできるはずもなか

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