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たまにオリジナルの書き物をしていきます。小説だったり報告だったり。とてつもない遅筆です…

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たまにオリジナルの書き物をしていきます。小説だったり報告だったり。とてつもない遅筆ですが、何卒よろしくお願いします。

マガジン

  • 【小説】ロックバンドが止まらない

    オリジナル小説です。 とあるバンドの話です。 何卒よろしくお願いします。

  • スポットライトが見えずとも~上総台高校アクター部がいる!~

    全201回にわたるオリジナル小説です。アクター部という実在しない部活のことを書きました。ポップに読めるものを目指したので、何卒よろしくお願いします。

  • 【小説】白い手

    全5回のオリジナル短編小説です。 男性身体障害者への射精介助サービスの話です。 note創作大賞2023への応募作でもあります。 何卒よろしくお願いします。

  • 【小説】本当に死ねるその日まで

    全11回のオリジナル小説です。 死ねない体質の主人公たちが活躍するお悩み解決ものです。 ジャンププラス原作大賞に応募したシナリオを小説の形に再編集しました。 何卒よろしくお願いします。

  • 【小説】30-2

    オリジナルの短編小説です。 Youtubeにオリジナルの動画を投稿している28歳が主人公です。 小さいけれど、重大な出来事が数々起こります。 何卒よろしくお願いします。

最近の記事

  • 固定された記事

5/19(日)文学フリマ東京38@東京流通センターに出店します。

 こんにちは。これです。  めっきり暖かくなってきたどころか暑くなってさえきた今日この頃、皆さんいかがお過ごしでしょうか。私はGWも相変わらずスタジアムや映画館、駅前のスタバなどを転々としています。もはや家にいる時間よりも外にいる時間が長い感じですね。まあ家にいたら寝てしまいますからね。なるべくそれは避けたいなと思っています。まあ代わりに映画館で寝てしまうことが最近は多くなってきたのですが。どうにかしたいです。 それはさておき、本題です。タイトル通り、私これは5/19に東

    • 【小説】ロックバンドが止まらない(113)

      前回:【小説】ロックバンドが止まらない(112)  神原たちが機材車から降りると、東の空に浮かぶ太陽が熱烈な日差しを浴びせかけてきた。まだ午前一〇時を回らない段階から、ただ立っているだけで汗をかいてしまいそうなほど暑く、昼間にはどれだけ気温が上がっているのだろうかと思うと、神原は途方もない思いさえ抱いてしまう。  風がほとんど吹いていないなかでも、かすかに潮の香りが漂ってくるのは、ここが海岸から歩いて数分とかからない場所にあるからか。  遠目には、今日のために建てられた

      • 【小説】ロックバンドが止まらない(112)

        前回:【小説】ロックバンドが止まらない(111) 「いや、お前なんで来てんだよ」 「えっ、瀬奈ちゃん、私が行くこと神原君に言ってなかったの?」 「あっ、そういえば言いそびれてた」 「何それ酷いー。まあ別にいいんだけど」  平井は頬を緩めていた。「ここ座っていい?」と訊かれれば、神原も拒絶するわけにはいかない。平井は神原たちのテーブルに座ると、やってきた店員に生ビールの中ジョッキを頼んでいた。  ビールが届く前に少し話した限りでは、やはり平井はここに来る前に、夕食を

        • 【小説】ロックバンドが止まらない(111)

          前回:【小説】ロックバンドが止まらない(110)  突然知らされたショートランチの武道館公演に神原が悶々とした気持ちを抱えていても、スタジオでバンド練習をしていると時間はあっという間に過ぎ、ワンマンライブ当日を迎えていた。  朝目を覚ましても、正直なところ神原の気分はあまり良いとは言えなかった。ワンマンライブに意気込んでいる部分は確かにあるものの、それでもショートランチに先を越されたという思いは棘のように刺さって、神原の心からは未だに抜けてはいなかった。  家を出る前に

        • 固定された記事

        5/19(日)文学フリマ東京38@東京流通センターに出店します。

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        • 【小説】ロックバンドが止まらない
          113本
        • スポットライトが見えずとも~上総台高校アクター部がいる!~
          201本
        • 【小説】白い手
          5本
        • 【小説】本当に死ねるその日まで
          11本
        • 【小説】30-2
          10本
        • 【小説】sakekotoba
          6本

        記事

          【小説】ロックバンドが止まらない(110)

          前回:【小説】ロックバンドが止まらない(109)  マスタリング作業が終わった「メイクドラマ」の音源が神原たちのもとに届いたのは、ニューシングル「口づけしたい」の発売を三日後に控えた日のことだった。  何回か聴いてみても、しっかりとイメージした通りの音源になっていて、神原は早くも感慨に包まれる。微調整が必要な個所すら見当たらないほどだ。  それは園田たちも同じようだったようで、全員からの承認を受けて、八千代から完成した「メイクドラマ」の音源が六平や光本のもとに送られる。

          【小説】ロックバンドが止まらない(110)

          【小説】ロックバンドが止まらない(109)

          前回:【小説】ロックバンドが止まらない(108) 「どうだったよ、神原。実際に練習試合とはいえ、高校野球を見てみた感想は」  試合が終わり、球児たちがグラウンドの整備を始める頃になって、神原たちは練習場を後にしていた。帰りのバス停に向かう間に、久倉がふと訊いてくる。日は高く上がって、照り付けてくる日差しが夏のようだ。 「そうだな。『全振り』を読んで分かったような気になってたけど、実際に見てみると当たり前だけど、リアリティが段違いだったな。『全振り』もかなり細かく描写して

          【小説】ロックバンドが止まらない(109)

          【小説】ロックバンドが止まらない(108)

          前回:【小説】ロックバンドが止まらない(107) 「『全力で振りきって』のオープニングって、今どれくらい進んでんだよ?」  そう訊いてきた久倉に、神原は思わず笑みを漏らす。思えば久倉は、待ち時間もタイアップ曲については訊いてこなかった。おそらくずっと気になっていたのだろう。  アニメ制作会社での顔合わせがあったのは、まだ一昨日のことだ。どう答えればいいか、神原は迷わない。  久倉ならありのままの状況を伝えても、難なく受け入れてくれる気がした。 「まあ、正直に言うとあ

          【小説】ロックバンドが止まらない(108)

          【小説】ロックバンドが止まらない(107)

          前回:【小説】ロックバンドが止まらない(106) 「どの作品にも力強いギターロックが貫かれていて、針生先生が皆さんの曲が好きだと言った理由も分かる気がしました。聴いていてエネルギーを貰うような、思わず走り出したくなるような思いに年甲斐もなく駆られて、このバンドに大切な第一期のオープニング曲を任せてみたいと、自然と思いましたよ」 「ありがとうございます」そう答え、胸の中では確かに感謝をしていながらも、神原の意識は自然と六平に向いてしまう。六平の自分たちへの評価が、どうしても

          【小説】ロックバンドが止まらない(107)

          【小説】ロックバンドが止まらない(106)

          前回:【小説】ロックバンドが止まらない(105)  一〇分ほど歩いた神原は、最寄りの書店に辿り着く。漫画コーナーに行くと、『全力で振りきって』は棚の側面の、一番目立つ場所に平積みされていた。「アニメ化決定!」と書かれたポップが躍っていて、人気のほどを神原に思わせる。神原が現時点の最新巻までを手に取ってみても、まだ残り冊数には余裕があった。  まっすぐにレジへと向かい、全巻を購入して家に帰ると、神原は真っ先に第一巻を読んでみた。爽やかな絵柄ながら試合描写には迫力があり、主人

          【小説】ロックバンドが止まらない(106)

          【小説】ロックバンドが止まらない(105)

          前回:【小説】ロックバンドが止まらない(104)  新しいシングルのレコーディングは、神原たちがスプリットツアーを終えて少し身体を休めた、翌週に行われた。  たった一週間会っていなかっただけなのに、レコーディングスタジオに集合した園田たちの顔を見ると、ずいぶんと久しぶりな感覚が神原にはする。きっとそれだけ先のスプリットツアーが、濃密な時間だったのだろう。会わなかった間に軽くリフレッシュができたのか、全員の表情に気力が漲っている。  そして、それは演奏も同様だった。しっか

          【小説】ロックバンドが止まらない(105)

          【小説】ロックバンドが止まらない(104)

          前回:【小説】ロックバンドが止まらない(103)  スノーモービルは最後に疾走感のあるロックチューンを演奏して、ライブを締めくくった。最後まで気迫が漲るような三人の演奏に、自然とフロアの熱量も引き上げられていく。  花火大会の最後に打ち上げられる盛大な花火のような盛り上がりを見せたライブハウスは、清々しさに包まれていた。スノーモービルの演奏が終わった後の拍手に、ライブが終わった後のフロアの雰囲気に、神原はそれを強く感じる。  実際、神原としても三日間やりきったという思い

          【小説】ロックバンドが止まらない(104)

          【小説】ロックバンドが止まらない(103)

          前回:【小説】ロックバンドが止まらない(102)  神原たちが一息ついたタイミングで、神原たちの次に出番を控えるショートランチの三人が楽屋に戻ってくる。三人ともが上気した様子を見せていて、神原たちに「ライブ良かったよ!」と、高揚感を抑えきれないといった調子で話しかける。  あと十数分後には自分たちのライブが始まっているのに、緊張はないのだろうか。そう感じつつも、神原は声をかけてくる平井たちにも、さほど反感を覚えることなく返事ができていた。  自分たちは今まででも有数のラ

          【小説】ロックバンドが止まらない(103)

          【小説】ロックバンドが止まらない(102)

          前回:【小説】ロックバンドが止まらない(101)  神原が目を覚ましたときには機材車は高速道路を降りて、大阪の街を走っている最中だった。横幅の広い道に路面電車が走っている風景は、神原に東京ではない別の街に来たことを思わせる。  ふと身体を伸ばしてみると、節々が凝っていたり張っていたりして、ここ二日間の疲労を神原は感じた。それは園田たちも同じなのか、車内の雰囲気は昨日ほどには盛り上がってはいない。東名阪だけでもタイトな日程のツアーによる疲労は神原の想像を超えていて、本当は今

          【小説】ロックバンドが止まらない(102)

          【小説】ロックバンドが止まらない(101)

          前回:【小説】ロックバンドが止まらない(100)  ライブが終わって機材を機材車に積みこむと、神原たちはまっすぐこの日宿泊するホテルに向かっていた。自分の部屋に入って荷物を置いた神原は、ベッドに座り込んで深く息を吐く。  今日のライブも、またライブイベント全体も客観的に見れば、成功したと言えるだろう。神原たちの演奏も破綻とは無縁だったし、観客にも曲が受け入れられていたから、手ごたえは確かに得ている。  それでも、神原は満足はいっていなかった。今日のライブはショートランチ

          【小説】ロックバンドが止まらない(101)

          【小説】ロックバンドが止まらない(100)

          前回:【小説】ロックバンドが止まらない(99)  ショートランチのライブが終わってから十数分。フロアの照明は再び落とされた。転換時のBGMの代わってスノーモービルの登場SEが流れる。  それでも曲に合わせて鳴らされる手拍子も、スノーモービルの三人が登場したときの歓声も、明らかにショートランチのときと比べて小さかった。まったくのゼロではないものの、先ほどのショートランチの盛り上がりを見ているから、スノーモービルの三人も少し拍子抜けするような感覚を味わっているのだろう。  

          【小説】ロックバンドが止まらない(100)

          【小説】ロックバンドが止まらない(99)

          前回:【小説】ロックバンドが止まらない(98)  ショートランチやスノーモービルの機材車がやってきたのは、神原たちが自分たちの機材の搬入をあらかた終えた頃だった。神原たちも二組の機材の搬入を軽く手伝いつつ、全ての機材を下ろし終わったタイミングで、プラチナホールのフロアに向かう。  プラチナホールは、渋谷のN―EASTよりは少し規模が小さく、三〇〇人が収容できるライブハウスだった。東京よりもキャパシティは控えめだとしても、三組の人気を思えば、名古屋でも満員近く埋まるだろう。

          【小説】ロックバンドが止まらない(99)