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たまにオリジナルの書き物をしていきます。小説だったり報告だったり。とてつもない遅筆です…

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たまにオリジナルの書き物をしていきます。小説だったり報告だったり。とてつもない遅筆ですが、何卒よろしくお願いします。

マガジン

  • スポットライトが見えずとも~上総台高校アクター部がいる!~

    全103回にわたるオリジナル小説です。アクター部という実在しない部活のことを書きました。ポップに読めるものを目指したので、何卒よろしくお願いします。

  • 【小説】ロックバンドが止まらない

    オリジナル小説です。 とあるバンドの話です。 何卒よろしくお願いします。

  • 【小説】白い手

    全5回のオリジナル短編小説です。 男性身体障害者への射精介助サービスの話です。 note創作大賞2023への応募作でもあります。 何卒よろしくお願いします。

  • 【小説】本当に死ねるその日まで

    全11回のオリジナル小説です。 死ねない体質の主人公たちが活躍するお悩み解決ものです。 ジャンププラス原作大賞に応募したシナリオを小説の形に再編集しました。 何卒よろしくお願いします。

  • 【小説】30-2

    オリジナルの短編小説です。 Youtubeにオリジナルの動画を投稿している28歳が主人公です。 小さいけれど、重大な出来事が数々起こります。 何卒よろしくお願いします。

最近の記事

  • 固定された記事

5/19(日)文学フリマ東京38@東京流通センターに出店します。

 こんにちは。これです。  めっきり暖かくなってきたどころか暑くなってさえきた今日この頃、皆さんいかがお過ごしでしょうか。私はGWも相変わらずスタジアムや映画館、駅前のスタバなどを転々としています。もはや家にいる時間よりも外にいる時間が長い感じですね。まあ家にいたら寝てしまいますからね。なるべくそれは避けたいなと思っています。まあ代わりに映画館で寝てしまうことが最近は多くなってきたのですが。どうにかしたいです。 それはさておき、本題です。タイトル通り、私これは5/19に東

    • スポットライトが見えずとも~上総台高校アクター部がいる!~(163)

      前回:スポットライトが見えずとも~上総台高校アクター部がいる!~(162) 「似鳥くん、今日も学校お疲れ様でした。勉強に練習に忙しいなか、先週に続いて来てくれてありがとうございます」  丁寧に話し始めた波多野に、晴明もおずおずと頷いた。波多野の横に立つ上條が柔らかな表情を向けてきたけれど、晴明に微笑むほどの余裕はない。  波多野は先々週入院してから、まだ病院での生活を続けていた。当然気を揉むし、晴明にとっては全く歓迎できる状況ではない。 「確か先週は学校のテストがあっ

      • スポットライトが見えずとも~上総台高校アクター部がいる!~(162)

        前回:スポットライトが見えずとも~上総台高校アクター部がいる!~(161) 「では、八月一七日に予定されている千葉県民文化会館でのコンサート、引き受けていただけるということでよろしいですね?」  灰色のスーツを着た男性の確認に、晴明は「はい。喜んでお受けします」と頷いた。隣に座る冬樹も、満足そうな表情を見せている。安堵したように、息を吐く男性。  入賞者記念コンサートが終わってからというもの、晴明のもとにはいくつか公演のオファーが届くようになっていた。いずれも東京近辺か

        • スポットライトが見えずとも~上総台高校アクター部がいる!~(161)

          前回:スポットライトが見えずとも~上総台高校アクター部がいる!~(160)  拍手に包まれる大ホール。それは天ヶ瀬の演奏が成功に終わったことを示していた。  深く頭を下げている天ヶ瀬を、晴明は舞台袖から眺める。天ヶ瀬の演奏は憔悴していた楽屋の様子からは想像もできないほど、時に落ち着き、時に瑞々しく、ミスタッチがないのはもちろん曲の解釈を一箇所たりとも外さない、完璧に近い演奏だった。  天ヶ瀬の前の出演者も合わせて、二人続けて素晴らしいピアノが披露されたからか、会場の雰囲

        • 固定された記事

        5/19(日)文学フリマ東京38@東京流通センターに出店します。

        • スポットライトが見えずとも~上総台高校アクター部がいる!~(163)

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        • スポットライトが見えずとも~上総台高校アクター部がいる!~
          163本
        • 【小説】ロックバンドが止まらない
          87本
        • 【小説】白い手
          5本
        • 【小説】本当に死ねるその日まで
          11本
        • 【小説】30-2
          10本
        • 【小説】sakekotoba
          6本

        記事

          スポットライトが見えずとも~上総台高校アクター部がいる!~(160)

          前回:スポットライトが見えずとも~上総台高校アクター部がいる!~(159)  入賞者記念コンサートが二週間後に近づいた、ある日の夕方。晴明は程よく暖房の効いた地下室で、ピアノを前にウォーミングアップを続けていた。  指を慣らすための練習曲を、さまざまなテンポで弾いていく。音の粒が立っていて、今日も調子に問題はなさそうだ。  それでも晴明は、度々壁時計に目をやらずにはいられない。波多野との練習開始時間はもう一五分後に迫っていた。  波多野は忙しく、到着はいつも時間間際に

          スポットライトが見えずとも~上総台高校アクター部がいる!~(160)

          スポットライトが見えずとも~上総台高校アクター部がいる!~(159)

          前回:スポットライトが見えずとも~上総台高校アクター部がいる!~(158)  エレベーターのドアが開く。すると、晴明は千葉の街を一望することができた。市街地の隣にくっきりとした海岸線が続いている。  自分の家はどの辺だろうと目星をつけながらも、晴明はめったに見られない景色に竦んでしまっていた。ただでさえ来ることがない千葉県庁の最上階にいるという現実が、にわかには信じられない。職員の後をついていく自分が、雛鳥のようにも思えてしまう。  仕事を休んでくれた冬樹がついていてく

          スポットライトが見えずとも~上総台高校アクター部がいる!~(159)

          スポットライトが見えずとも~上総台高校アクター部がいる!~(158)

          前回:スポットライトが見えずとも~上総台高校アクター部がいる!~(157)  体育館は日の光が差し込んでいても、二台のストーブが焚かれていても、歯を鳴らしたくなるほど寒かった。全校生徒が集まっていても、熱気は少しも生まれていない。  壇上では、校長が講話を述べている。小さなことにも感謝できる心を持ちなさいという話は、晴明から見れば、誰の胸にも届いているようには思えなかった。  晴明は担任の先生の横で、壇上に立つ準備をしていたから、全校生徒の様子がおおまかに観察できる。体

          スポットライトが見えずとも~上総台高校アクター部がいる!~(158)

          スポットライトが見えずとも~上総台高校アクター部がいる!~(157)

          前回:スポットライトが見えずとも~上総台高校アクター部がいる!~(156)~  お辞儀から顔を上げると、客席が改めて目に入る。東京大会よりも大きな会場が、ほとんど満席と言っていいほど埋まっている。  落ち着いていたり、険しかったり、期待していたり。十人十色の表情を見せながら拍手を送る観客に、晴明は今一度背筋が伸びた。  一角には波多野と両親が並んで座っている。軽く目を向けると、波多野は微笑んでくれていて、晴明から余計な緊張を取り去っていた。  椅子に座って、ピアノに向

          スポットライトが見えずとも~上総台高校アクター部がいる!~(157)

          スポットライトが見えずとも~上総台高校アクター部がいる!~(156)

          前回:スポットライトが見えずとも~上総台高校アクター部がいる!~(155) 「お疲れー、ハル。昨日は大変だったでしょ?」  晴明が教室に入って自分の席に座ると、後ろの席に座る桜子が話しかけてきた。陽気な声が、晴明に日常に戻ってきたことを印象づける。  教室はざわざわとしていて喧騒そのもので、開いた窓から十月特有の涼しい風がかすかに吹きこんでいた。 「別にそこまでもなかったぜ。もう何百回も練習した曲だったからな。特別意識せず、普段通り弾けたと思う」 「さっすが、ハル。

          スポットライトが見えずとも~上総台高校アクター部がいる!~(156)

          スポットライトが見えずとも~上総台高校アクター部がいる!~(155)

          前回:スポットライトが見えずとも~上総台高校アクター部がいる!~(154)  軽やかな音色が部屋を駆け巡る。ワイシャツの裾が手の動きに合わせて縦横にはためき、視界には白と黒の小宇宙しか入らない。跳ねるような響きは晴明の耳を伝って、鼓舞する。  地下に作られた防音室には、ピアノの音以外はせず、また地上からの生活音を完全に遮断していた。適温に保たれた環境のもとで、晴明は夢中で、それでも冷静さを失うことなく、指を動かし続けた。一時間ずっとピアノに向かっていても、集中は少しも切れ

          スポットライトが見えずとも~上総台高校アクター部がいる!~(155)

          【小説】ロックバンドが止まらない(87)

          前回:【小説】ロックバンドが止まらない(86)  神原が出演したラジオ番組は、さっそく収録されたその週の土曜日に放送された。  神原もリアルタイムで放送を聴いたが、序盤こそ緊張が見えたものの、自分が思っていたよりも、ラジオの中の自分はスムーズに喋っていた。きっとうまく喋れたところだけを抜粋して、編集しているのだろう。神原は、編集作業が及ぼす影響の大きさを思い知る。  ラジオの中の自分は澱みなく話していて、きっと宣伝効果はあるだろう。この番組を聴いて、自分たちを知ったり興

          【小説】ロックバンドが止まらない(87)

          【小説】ロックバンドが止まらない(86)

          前回:【小説】ロックバンドが止まらない(85)  ライブイベントへの出演を終えると、神原たちは休む間もなく、翌週にはファーストシングルのレコーディングを開始していた。『FIRST FRIEND』を録ったときと同じスタジオ、同じスタッフ陣でのレコーディングだから、一度経験した分神原たちはいくらかやりやすさを感じる。  実際、レコーディングも予定通りに進み、シングルに収録される三曲を神原たちは、きっちり三日で録り終えることができていた。  もちろん拙速に進めたのではない。四

          【小説】ロックバンドが止まらない(86)

          【小説】ロックバンドが止まらない(85)

          前回:【小説】ロックバンドが止まらない(84)  観客の話し声が、かすかなざわめきとなって神原たちの耳に届く。目の前のステージには、既に自分たちの楽器が準備され、演奏されるときを今か今かと待っている。深く息を吸おうとしても、なおやまない緊張。  六月も折り返しを迎えた土曜日。神原たちはメジャーデビューしてから初めてのライブを迎えていた。  とはいってもワンマンライブではなく、三組が出演するライブイベントのトップバッターだ。  ライブハウスに流れている緊張は、きっとライ

          【小説】ロックバンドが止まらない(85)

          【小説】ロックバンドが止まらない(84)

          前回:【小説】ロックバンドが止まらない(83)  月末にメジャーデビューを控えた神原たちには、バンド練習と並行していくつかの取材やインタビューがなされていた。音楽雑誌の取材は先月の時点で終わっていたから、直近はネットメディアの取材だ。四人揃って取材を受けることもあれば、バンドのフロントマンである神原単独でのインタビューもある。 『FIRST FRIEND』だけでなく、音楽を始めた経緯や影響を受けたミュージシャンに至るまで仔細に訊かれて、インディーズのときにはなかった単独イ

          【小説】ロックバンドが止まらない(84)

          【小説】ロックバンドが止まらない(83)

          前回:【小説】ロックバンドが止まらない(82) 「与木、改めて今日はお疲れ」  神原はそう言って、中身が半分ほど入ったビールジョッキを与木に近づけた。与木も「お、おう」と反応していて、二人は改めてビールジョッキを突き合わせる。でも、突き合わせた瞬間に鳴った軽い音は、すぐに店内の喧騒に吸い込まれた。  メジャーデビュー前最後のライブ。それを無事に終えた神原たちは、今こうして打ち上げの席に参加している。  他のバンドのメンバーと話している園田や久倉と違って、与木は自分から

          【小説】ロックバンドが止まらない(83)

          【小説】ロックバンドが止まらない(82)

          前回:【小説】ロックバンドが止まらない(81)  ミュージックビデオの撮影はアー写の撮影の翌週、休館日の図書館で行われた。スケジュールはこの日しか抑えられなかったらしく、一日で撮りきるために神原たちは、朝の七時というかなり早い時間に集合せざるを得なくなる。  それでも、全員が時間通りに集合して図書館に入ると、既に受付の前には今すぐにでも演奏ができるよう、機材がセッティングされていた。撮影スタッフがどれだけ朝早くから準備していたのかを考えると、神原は頭が上がらない思いがする

          【小説】ロックバンドが止まらない(82)