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松下幸之助と『経営の技法』#48

4/3の金言
 会社や社会は、人生について教わる学校。その学校では、学ぶべきことが無限にある。

4/3の概要
 松下幸之助氏は、以下のように話しています。
 新社会人は、与えられた仕事をしているだけでは、楽しくないし、視野も限られる。
 会社や社会は、人間・人生を学ぶ学校と考えると良い。いろいろな人間、さまざまな人生模様、学ぶべきことは無限にあり、何にでも進んで取組み、吸収していこう、という意欲がわき、日々楽しさも生まれてくる。

1.内部統制(下の正三角形)の問題
 まず、社長が率いる会社の内部の問題から考えましょう。
 松下幸之助氏は、新社会人に向けた話をしています。氏は、会社や社会での心構えを説いていますが、これを、内部統制=経営の観点から、従業員のあるべき姿を説いている、という前提で考えてみましょう。
 するとこれはまず、人材教育の重要性を示しています。
 リスク管理面でも、経営面でも、ただ言われたことしかしない従業員では、会社の競争力を落としてしまいます。リスク状況の変化や競争環境の変化に対し、経営者が孤軍奮闘するのではなく、会社組織が全体として変化し、対応できなければならないからです。
 次にこれは、意欲の重要性を示しています。
 リスク管理面でも、経営面でも、ただ言われたことしかしない従業員で終わるのではなく、リーダーとして他のメンバーをリードし、変化に対応して組織自体も変えていくためには、他人に影響を与えられるだけのリーダーシップが必要であり、会社としてはそのために必要な意欲を削いでしまうのではなく、むしろ積極的に育てていく必要があります。松下幸之助氏は、折に触れて若手社員や新入社員に檄を飛ばしますが、そこには組織の活性化と、リーダーの育成の意図があるようです。
 最後に、自己実現の重要性を示しています。
 これは、仕事に積極的に取り組み、十分その実力を発揮してもらうためには、従業員一人ひとりが充実している必要があります。仕事で充実するのか、私生活で充実するのか、様々でしょうが、充実した人は仕事でも充実し、期待以上の成果を上げてくれます。松下幸之助氏が、仕事だけでなく社会からも学ぶことが多い、と話しているのは、公私を問わず充実すべきである、という意識に基づいていると思われます。

2.ガバナンス(上の逆三角形)の問題
 次に、ガバナンス上の問題を検討しましょう。
 投資家である株主と経営者の関係で見た場合、若手の教育に取り組む意欲のある経営者が好ましい、ということになります。短期的な成果だけを求め、人材を育てるのではなく、人材を使い切ることだけを考える様な経営者では、いわゆる「ブラック企業」ができあがってしまいます。永続的に収益を上げ、社会の一員として受け入れられる会社を作り上げるためには、組織の成長に投資する必要があるのです。

3.おわりに
 若い従業員が、いろいろなことに興味を持って仕事に取り組んでいる職場は、活気があるものです。活気はコミュニケーションの良さに繋がり、積極的に変化してリスクにチャレンジできる環境を作ります。その意味でも、松下幸之助氏が若手社員を鼓舞することには、理由があります。
 どう思いますか?

※ 「法と経営学」の観点から、松下幸之助を読み解いてみます。
 テキストは、「運命を生かす」(PHP研究所)。日めくりカレンダーのように、一日一言紹介されています。その一言ずつを、該当する日付ごとに、読み解いていきます。


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