芦原一郎
YouTubeで3分解説! https://www.youtube.com/playlist?list=PLsAuRitDGNWOhcCh7b7yyWMDxV1_H0iiK労働判例のツール化を目指します。書籍にもなりました! https://www.e-sanro.net/books/books_jinji/rodoho/86326-294.html
ビジネスの現場と法令との間で葛藤&奮闘する企業法務の「中の人」たちが書くnoteを集めたマガジン。「中の人」の定義は広めで。
社労士の皆さんと、労働判例を学びます。継続は力なり、毎月労働判例を丁寧に読むことで、着実に労働法の実力が付きます。頑張りましょう!
東京(原則、最終木曜日。例外、12月) 4/22, 5/27, 6/24, 7/29, 8/26, 9/30, 10/28, 11/25, 12/23, 1/27, 2/24, 3/31 大阪(原則、第2木曜日。例外、8・10・12・2月) 4/8, 5/13, 6/10, 7/8, 8/19, 9/9, 10/7, 11/11, 12/2, 1/13, 2/17, 3/10
実際に会社法務部で頑張っている皆さんと、「会社の歩き方」を研鑽します。いろいろな会社の法務部員と研鑽し、活躍しましょう!
(2022.7.12) ※ 2020.11.7 週刊東洋経済「依頼したい弁護士25人」に選ばれました! 1.略歴〔学歴〕 1991年3月 早稲田大学法学部 卒業 1995年4月 最高裁判所司法研修所 修了(47期) 2003年5月 米国ボストン大学ロースクール(LL.M) 卒業 〔弁護士資格〕 1992年11月 日本 司法試験 合格 1995年4月 東京弁護士会 弁護士登録(~現在、24071) 2004年2月 米ニューヨーク州 司法試験 合格 2006年5月 米ニューヨ
※ 司法試験考査委員(労働法) 【エヌアイケイほか事件】(大阪高判R5.1.19労判1289.10) この事案は、銀行口座が差し押さえられるなどのトラブルによって、別法人Y2に経営を移した会社Y1やその経営者ら(Y3~Y5)に対して、従業員Xが給与等が未払になっているとして、その支払いを求めた事案です。1審は、会社に対する請求は一部認容しましたが、Yらに対する請求は否定しました。Xだけが控訴したため、2審では、Y3~5に対する請求だけが問題とされましたが、2審は、Yらに
※ 司法試験考査委員(労働法) 【セルトリオン・ヘルスケア・ジャパン事件】(東京高判R4.11.16労判1288.81) この事案は、医薬品会社Yで、いわゆるMR(医療情報担当者)と言われる営業業務を担当していた従業員Xが、みなし労働時間制を口実に給与(残業代など)が一部不払であると主張し、未払分の支払いなどを求めた事案です。 1審は、みなし労働時間の適用を認め、Xの請求をすべて否定しました。2審は、みなし労働時間の適用を一部否定しましたが、結果的に1審を維持しました
※ 司法試験考査委員(労働法) 【学校法人横浜山手中華学園事件】(横浜地判R5.1.17労判1288.62) この事案は、小学校教諭Xが、(平成28年ころ)第5子の出産に伴う産休・育休の取得・延長、(令和2年ころ)第6子の妊娠に伴う勤務軽減措置や、母性健康保護措置に伴う休業、等を取得したが、学校Yは、Xが、①休業申請や②休業延長、③軽減措置、④看護休暇の申請が不当であり、⑤育休中に別の学校で働き(懲戒処分された)、同僚や上司を非難するなど「教師に必要な総合的な人間力が欠
※ 司法試験考査委員(労働法) 【JR東海(年休)事件】(東京地判R5.3.27労判1288.18) この事案は、東海道新幹線の乗務員(運転手、車掌)達Xらが、年休を思い通りに取得できなかったことが違法であるとして、JR東海Yを相手に争った事案で、裁判所は、Xらの請求の一部を認容し、Xら個別事情に応じて3万円~20万円の損害賠償を命じました。 1.年休決定のプロセスと、担当者のミス 東海道新幹線は、臨時列車なども含め一日約300本~約430本運行され、意外と変動が大
※ 司法試験考査委員(労働法) 【大陽液送事件】(大阪地堺支判R4.7.12労判1287.62) この事案は、運送トラックの運転手Xらが、勤務する会社Bに運送業務を依頼している発注会社Yに対し、直接、雇用関係にあることの確認等を求めた事案です。裁判所は、Xの請求を否定しました。 1.派遣法40条の6 ここでXらが、なぜ、直接の雇用主であるBを飛び越えて、Yとの間の雇用契約を主張できるのか、という点ですが、これは、派遣法40条の6の1項5号を根拠にします。 これは、
※ 司法試験考査委員(労働法) 【アイ・ディ・エイチ事件】(東京地判R4.11.16労判1287.52) この事案は、在宅勤務をしていた従業員Xが、他の従業員とのチャットで会社Yの社長の悪口を書き込んだことが引き金となって、それをモニターしていた社長から懲戒処分を受け(但し、Xの反論を受けて撤回されました)、(在宅ではなく)出社命令を受け、減給処分を受け、解雇された事案です。訴訟では、Xに対して給与が支払われるべきだったのか、逆にXは給与を返還すべきだったのか、が議論さ
※ 司法試験考査委員(労働法) 【ケイ・エル・エム・ローヤルダッチエアーラインズ(雇止め)事件】(東京地判R5.3.27労判1287.17) 本事案は、オランダの航空会社Yに有期契約(5年上限)で雇われた乗務員Xらが、無期契約に転換した、等として雇用契約の存在確認と賃金の支払等を求めて訴訟を提起した事案です。裁判所は、Xらの請求の一部を認めました。 1.更新の上限の有効性 論点の1つが、更新の上限を定めることの有効性です。5年を超えない、という上限は、有期契約を5年
※ 司法試験考査委員(労働法) 【田中酸素(継続雇用)事件】(広島高判R2.12.25労判1286.68) この事案は、会社Yを定年退職した従業員Xが、暫定的な条件下で再雇用され(19万円/月、~H29.2.28)、再雇用の条件を会社と交渉し、さらにこの期間を延長して(~H29.3.31)交渉を継続したものの、合意が成立せず、Yに更新拒絶された事案です。Xは、再雇用期間中の給与が19万円/月よりも多額であること、更新拒絶が無効であること(したがって、雇用関係が継続してい
※ 司法試験考査委員(労働法) 【国・北九州東労基署長(TOTOインフォム)事件】(福岡地判R4.3.18労判1286.38) この事案は、システム開発に関わる従業員Xが、うつ病・不安障害を発病したために休職し、復職後しばらく勤務した後、再度、うつ病・不安障害を発病して休職・退職した事案で、労基署Yが労災に該当しないと認定した事案です。Xは労災に該当するとしてYの判断の取消しを裁判所に求めたところ、裁判所は、Xの主張を認めYの認定を取り消しました。 1.判断枠組み
※ 司法試験考査委員(労働法) 【Ciel Blueほか事件】(東京地判R4.4.22労判1286.26) この事案は、従業員10名程度の輸入事業会社Yに勤務するXが、不当に減給(月給83万円→75万円)された、等として、賃金の差額と、慰謝料(精神的損害の賠償)の支払いを求め、これに対してYがXに対し、経費と称して騙し取った金銭(600万円超)の返還を反訴として求めた事案です。裁判所は、Xの請求を概ね認め、Yの請求を否定しました。 1.就業規則の不存在と減給の可否
【国立大学法人東北大学(雇止め)事件】(仙台高判R5.1.25労判1286.17) この事案は、大学職員の業務を通算8年間行った従業員Xが、大学Yによる更新拒絶を無効として争った事案です。2審も、1審と同様にXの請求を否定しました。 1.実務上のポイント 1審と同様の判断が示されたので、そこで指摘したポイントは同様に維持されています。なので、「国立大学法人東北大学(雇止め)事件」(仙台地判R4.6.27労判1270.14、労働判例読本2023年版161頁)も合わせてご
今日の労働判例 【吉永自動車工業事件】(大阪地判R4.4.28労判1285.93) この事案は、日額6000万円で勤務していた元従業員Xが、最低賃金を下回る給料しかもらっていなかったとして、会社Yに対し、差額の支払いを請求した事案です。裁判所は、Xの請求を概ね認めました。 1.実務上のポイント 実務上、最も重要なポイントは、最低賃金を下回る給与しか支払われていなければ、差額の支払いが命じられる、という点です。この点は、特に問題ではないでしょう。 けれども、この事案で
今日の労働判例 【国・所沢労基署長(埼九運輸)事件】(東京地判R4.1.18労判1285.81) この事案は、運送会社のKの運転手Xが長時間労働によって不安定狭心症を発症し、これが労災に該当すると労基署Yに認定されたものの、その金額・計算方法に不満があるとして、労災の決定の取消しを求めた事案です。 特に問題になったのは、「運行時間外手当」と称する手当です。 裁判所は、①この手当によって時間外手当、深夜勤務手当、休日勤務手当等(「残業代等」)がカバーされていないこと、②
今日の労働判例 【国・渋谷労基署長(山本サービス)事件】(東京地判R4.9.29労判1285.59) 本事案は、介護サービスを提供する会社Kで勤務する介護士L(昭和21年生)が、会社の業務と同時に、個人の業務として、1週間、住み込みの看護をしました。これは、住込みの看護を行っていた者が1週間不在のためにその間の住込み介護をLが依頼されたため、一日のうちの数時間はYの業務として介護を行い、残りは個人の業務として住込みで待機・業務を行う、というものです。ところがLは、この住込
今日の労働判例 【国・札幌中央労基署長(一般財団法人あんしん財団)事件】(東京高判R4.11.29労判1285.30) この事案は、従業員が精神障害を発症させたことが、労災に該当すると労基署Yが判断し、労災支給処分を命じたことに対し、使用者である財団Xが、この労災支給によってXの支払う労災保険料が高くなってしまう、したがって労災支給の命令の取り消しを求める立場にある(当事者適格がある)、という理論を前提に、労災支給処分の取り消しを裁判所に求めた事案です。 1審は、Xには