芦原一郎

社外取締役、元司法試験考査委員(労働法)。弁護士法人キャストグローバルのパートナー。日…

芦原一郎

社外取締役、元司法試験考査委員(労働法)。弁護士法人キャストグローバルのパートナー。日米の弁護士、証券アナリスト。約20年の社内弁護士(日米欧企業)経験。会社経営、リスクマネジメント、労働法、保険法。ashihara@castglobal-law.com

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  • 労働判例を読む

    YouTubeで3分解説! https://youtube.com/playlist?list=PLY9leABBYFXKgrYSomPbulS7hcvM3BOtz&si=lRlzAXr9IvfzY9H1 労働判例のツール化を目指します。 書籍にもなりました! https://www.e-sanro.net/books/books_jinji/rodoho/86326-376.html

  • 企業法務insiders

    • 1,057本

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  • Latest HR Case Law, Japan

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  • 鈴木竜太教授の経営組織論を読む

    「法と経営学」の観点から、「経営組織論」を勉強します。テキストは、鈴木竜太教授の名著、「初めての経営学 経営組織論」(東洋経済)です。教授にご了解いただき、同書で示された経営組織論が、『経営の技法』『法務の技法』にも該当することを確認しながら、リスクマネージメントの体系的な理解を目指します。

  • 松下幸之助

    「法と経営学」の観点から、松下幸之助の金言を読み解きます!

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経歴(詳細)

(2024.6.12) 1.略歴〔学歴〕 1991年3月 早稲田大学法学部 卒業 1995年4月 最高裁判所司法研修所 修了(47期) 2003年5月 米国ボストン大学ロースクール(LL.M) 卒業 〔弁護士資格〕 1992年11月 日本 司法試験 合格 1995年4月 東京弁護士会 弁護士登録(~現在、24071) 2004年2月 米ニューヨーク州 司法試験 合格 2006年5月 米ニューヨーク州 弁護士登録(~現在) 〔社外役員等〕 2020年4月 ㈱クラフト 社外

    • 労働判例を読む#579

      今日の労働判例 【大和高田市事件】(奈良地葛城支判R4.7.15労判1305.47)  この事案は、交通事故により右足関節に「下肢肢体不自由5級」の後遺障害を負う公務員Xが、ケースワーカーとして生活保護受給者宅を頻繁に訪問する業務などによって症状が悪化したとして、大和高田市Yに対し、損害賠償(約1000万円)を求めた事案です。  裁判所は、Xの請求の一部(約300万円)を認めました。  なお、公務員災害補償の支給が認められなかったため、その支給を求めた訴訟も別に提起されてい

      • 労働判例を読む#578

        今日の労働判例 【アメリカン・エアラインズ事件】(東京地判R5.6.29労判1305.29)  この事案は、アメリカの航空会社の日本支社Yで雇われていた従業員Xが、コロナ禍での業績悪化などによって、定年後再雇用されなかった事案です。  Xは、これまで数多くの従業員が再雇用されてきたことなどを理由に、従業員の地位にあることの確認などを求めましたが、裁判所はXの請求を否定しました。 1.就業規則  ここで注目されるポイントの1つは、労契法の規定や権利濫用などの議論に先立ち、Y

        • 労働判例を読む#577

          今日の労働判例 【サカイ引越センター事件】(東京地立川支判R5.8.9労判1305.5)  この事案は、引っ越し業務を担当する運転手Xらが、会社Yに対して、未払の賃金・残業代などの支払いを求めた事案です。  裁判所は、Xらの請求の一部を認めました。 1.基礎賃金  もっともページ数を割いて検討しているのが、諸手当の「基礎賃金」該当性です。  すなわち、Yは諸手当を残業代計算の際の基礎金額に含めていなかったのですが(出来高払制賃金、という理由)、問題とされる諸手当それぞれに

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          労働判例を読む#576

          (動画準備中) 今日の労働判例 【セントラルインターナショナル事件】(東京高判R4.9.22労判1304.52)  この事案は、正社員Xが、会社Yに対し、①降格処分などの有効性と、②抑うつ病になったことへの損害賠償などを求めた事案です。  1審は、①は否定したものの、②は肯定しました。2審は、①②いずれも肯定しました。 1.降格処分(①)  Xには、取引先や会社に迷惑をかけるような言動がいくつかあり、1審はその点を指摘して、降格処分などを有効としました。  これに対して

          労働判例を読む#576

          労働判例を読む#575

          今日の労働判例 【北九州市(嘱託職員自殺)事件】(福岡地判R5.1.20労判1304.33)  この事案は、市役所Yの嘱託職員だったKが業務によってうつ病になり、Y退職後、他の職場に勤務していたが、退職後2年超経過したところで自殺した事案です。  Kの遺族である両親Xらが、Yに対して損害賠償を請求しましたが、裁判所はこれを否定しました。 1.因果関係(公務起因性)  因果関係の問題は、2つあり、1つはうつ病の「発症」がYの業務に起因するかどうかという点ですが、この点は問題

          労働判例を読む#575

          労働判例を読む#574

          今日の労働判例 【ふたば産業事件】(大阪地判R5.1.26労判1304.18)  この事案は、中国の工場の品質検査を担当していた中国人の業務委託先Xが、会社Y(契約したのは、Yの中国のA支社)に対し、中国の労働法に基づいて未払賃金などの支払いを求めた事案です。  裁判所は、Xの請求をすべて否定しました。 1.国際私法の構造  事案の検討に入る前に、まず、国際私法の構造を確認しましょう。  近時、国際私法に関する労働判例が増えています。この傾向は、日本の会社が海外に出ていく

          労働判例を読む#574

          労働判例を読む#573

          https://youtu.be/kysffkDSceU 今日の労働判例 【向島運送ほか事件】(横浜地判R5.3.3労判1304.5)  この事案は、運転手Xが、配車係Y1により配車上の不利益を受けた(出張手当や早朝手当がつく配車がなくなった)として、Y1と会社Y2に対して損害賠償を請求した事案です。  裁判所は、Xの主張を概ね認めました。 1.「合理的な裁量の範囲を逸脱した違法」  ここで裁判所は、一方でY1の裁量を広く認めつつ、他方で、その範囲を逸脱したと認定してい

          労働判例を読む#573

          労働判例を読む#572

          今日の労働判例 【エイチ・エス債権回収事件】(東京地裁R3.2.18労判1303.86)  この事案は、大手金融機関(X退職時の社員数1万人弱)で定年退職までの10年間監査業務にかかわっていた従業員Xが、定年退職後に監査業務担当として、債権回収会社Y(X勤務時の従業員数50~60人)に、66歳で雇用されたものの、(70歳以降も勤務していた従業員がいるにもかかわらず)69歳で更新拒絶されたため、更新拒絶が無効であるとして、従業員の地位にあることなどを求めた事案です。  裁判所

          労働判例を読む#572

          労働判例を読む#571

          今日の労働判例 【医療法人社団Bテラスほか事件】(東京高裁R5.10.25労判1303.39)  この事案は、女性歯科医師Y2が経営する歯科医院Y1に勤務する女性歯科医師Xが、産休・育休の前後にパワハラを受けた、などとして損害賠償などを求めた事案です。  1審・2審いずれも、請求の一部を認めました。 1.パワハラ該当性  Xがパワハラと主張するエピソードは、72にも上りますが、裁判所がパワハラ(厳密には、労働施策法30条の2の「業務上の必要」の欠如や、「就業環境を害する」

          労働判例を読む#571

          労働判例を読む#570

          今日の労働判例 【ヤマト運輸(未払割増賃金)事件】(大阪地判R4.2.22労判1302.67)  この事案は、宅配担当者のSD(サービスドライバー)であるXが、会社Yに対して、未払残業代などの支払いを求めた事案です。  裁判所は、Xの請求を全て否定しました。 1.労働時間の確認  特に注目されるのは、Yが、残業代の不払いがないかどうか、全社でSDに対して、それまでの勤務時間について申告漏れがないかどうか、一斉に確認した点です。すなわち、調査自体はH29.2から行われました

          労働判例を読む#570

          労働判例を読む#569

          今日の労働判例 【学校法人A京都校事件】(京都地判R1.6.28労判1302.49)  この事案は、若い女性教員Xが副校長Y1に何度もセクハラを受け、うつ病、PTSD、解離性障害などの症状が発症し、さらに後遺障害が認定され、労災も支給された事案です。Xは、Y1と学校Y2に損害賠償(民事労災)を請求し、裁判所は、その請求の一部を認めました。 1.セクハラの認定  注目される1つ目のポイントは、セクハラの認定です。  ここでは、7つのエピソードについて、一つ一つ、エピソード自

          労働判例を読む#569

          労働判例を読む#568

          今日の労働判例 【国・中央労基署長(JR東海)事件】(東京地判R3.6.28労判1302.30)  この事案は、パワハラ(営業運転中の新幹線内で、客への対応の様子が気に食わない同僚をつま先で複数回蹴った)の加害者である従業員Xが、パワハラに対する会社Kの対応(「日勤教育」など)や処分によってメンタル(適応障害)を発症した、として国Yに対し、労災の支給を求めた事案です。  裁判所は、Xの請求を否定しました。 1.業務起因性  本裁判に先立ち、XはKに対して損害賠償を請求する

          労働判例を読む#568

          労働判例を読む#567

          今日の労働判例 【久日本流通事件】(札幌地判R5.3.31労判1302.5)  この事案は、残業代の支払いを求める運転手Xに対し、売り上げの10%が支払われており、これが残業代に相当する、等と主張する会社Yが争った事案です。  裁判所は、Yの主張の多くを否定しました。 1.残業代かどうか  売り上げの10%、という計算方法であり、金額が固定されていませんので、「固定残業代」とは言えないかもしれませんが、基礎賃金額と残業時間(労基法所定の計算方法)によらずに計算される手当が

          労働判例を読む#567

          労働判例を読む#566

          今日の労働判例 【国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター事件】(東京地立川支判R5.2.1労判1301.31)  この事案は、経営再建に際し、昭和23年ころから国立病院の精神科担当者に支給されてきた「特殊業務手当」(廃止時点での呼称)を病院Yが廃止したところ、それによって不利益を受ける従業員Xらが同手当の支払いなどを求めた事案です。  裁判所は、Xの請求を否定しました。 1.判断枠組み  裁判所は、労契法10条の判断枠組みを少しだけ修正しています。  すなわち、❶

          労働判例を読む#566

          労働判例を読む#565

          今日の労働判例 【日本郵便(寒冷地手当)事件】(東京地判Rt.7.20労判1301.13)  この事案は、有期契約者Xが、無期契約者にだけ寒冷地手当が支払われることを違法として、会社Yに対し賠償を求めた事案です。  裁判所は、Xの請求を否定しました。 1.破断枠組み  この裁判例も、多くの裁判例と同様の判断枠組みで判断しています。  すなわち、支給総額など大雑把な比較ではなく、問題となる手当や条件ごとに個別に合理性を検討すること、手当や条件の趣旨から合理性を検討すること、

          労働判例を読む#565