芦原一郎
YouTubeで3分解説! https://youtube.com/playlist?list=PLY9leABBYFXKgrYSomPbulS7hcvM3BOtz&si=lRlzAXr9IvfzY9H1 労働判例のツール化を目指します。 書籍にもなりました! https://www.e-sanro.net/books/books_jinji/rodoho/86326-376.html
ビジネスの現場と法令との間で葛藤&奮闘する企業法務の「中の人」たちが書くnoteを集めたマガジン。「中の人」の定義は広めで。
Case law is very important in Japanese HR law area. I show each points from business view point.
「法と経営学」の観点から、「経営組織論」を勉強します。テキストは、鈴木竜太教授の名著、「初めての経営学 経営組織論」(東洋経済)です。教授にご了解いただき、同書で示された経営組織論が、『経営の技法』『法務の技法』にも該当することを確認しながら、リスクマネージメントの体系的な理解を目指します。
「法と経営学」の観点から、松下幸之助の金言を読み解きます!
今日の労働判例 【シーエーシー事件】(東京高判R4.1.27労判1307.51) この事案は、1か月の間を置くだけで、2度立て続けに降格・減給された従業員Xが、会社Yによる…
今日の労働判例 【大阪府(府立高校教員)事件】(大阪地判R4.6.28労判1307.17) この事案は、教員Xが仕事のストレスでメンタル状の問題(適応障害)を発症したとして、…
今日の労働判例 【国・渋谷労基署長(カスタマーズディライト)事件】(東京地判R5.1.26労判1307.5) この事案は、レストランなどを経営する会社Kで、調理やマネジメン…
今日の労働判例 【F-LINE事件】(東京地判R3.2.17労判1306.87) この事案は、特殊なトラックの運転を担当していた運転手Xが、会社Yから受けた懲戒解雇処分を違法と主張…
今日の労働判例 【エイチピーデイコーポレーション事件】(那覇地沖縄支判R4.4.21労判1306.69) この事案は、ホテルなどを経営する会社Yの従業員Xが、固定残業代や変形…
今日の労働判例 【司法書士法人はたの法務事務所事件】(東京高判R4.9.12労判1306.52) この事案は、正社員の募集に応じて入社したが、事務所Yから、雇用期間1か月の有…
今日の労働判例 【日本HP事件】(東京地判R5.6.9労判1306.42) この事案は、管理職としての能力がないなどの理由で、管理職内でのレベルが下げられ、減給された従業員X…
今日の労働判例 【JR東日本(組合脱退勧奨)事件】(東京地判R5.8.10労判1306.5) この事案は、労働組合Kの組合員らX1~X4が、会社Yにより、組織的・個別に、Kを脱退す…
今日の労働判例 【食肉加工業A社ほか事件】(東京地判R4.4.8労判1305.68) この事案は、女性従業員Xが、正社員Y1に対価型セクハラを受けたとして、Y1と会社Y2に損害賠償…
今日の労働判例 【三多摩合同労働組合元組合員事件】(東京高判R4.5.18労判1305.58) この事案は、会社と争っていた元労働組合員Yに対し、会社との交渉や訴訟に協力した…
今日の労働判例 【大和高田市事件】(奈良地葛城支判R4.7.15労判1305.47) この事案は、交通事故により右足関節に「下肢肢体不自由5級」の後遺障害を負う公務員Xが、ケ…
今日の労働判例 【アメリカン・エアラインズ事件】(東京地判R5.6.29労判1305.29) この事案は、アメリカの航空会社の日本支社Yで雇われていた従業員Xが、コロナ禍で…
今日の労働判例 【サカイ引越センター事件】(東京地立川支判R5.8.9労判1305.5) この事案は、引っ越し業務を担当する運転手Xらが、会社Yに対して、未払の賃金・残業代…
(動画準備中) 今日の労働判例 【セントラルインターナショナル事件】(東京高判R4.9.22労判1304.52) この事案は、正社員Xが、会社Yに対し、①降格処分などの有効性…
今日の労働判例 【北九州市(嘱託職員自殺)事件】(福岡地判R5.1.20労判1304.33) この事案は、市役所Yの嘱託職員だったKが業務によってうつ病になり、Y退職後、他の職…
今日の労働判例 【ふたば産業事件】(大阪地判R5.1.26労判1304.18) この事案は、中国の工場の品質検査を担当していた中国人の業務委託先Xが、会社Y(契約したのは、Yの…
今日の労働判例 【シーエーシー事件】(東京高判R4.1.27労判1307.51) この事案は、1か月の間を置くだけで、2度立て続けに降格・減給された従業員Xが、会社Yによるこれら処分等の合理性を争った事案です。 裁判所は、これら降格を無効としました。 1.降格の有効性 特に注目されるのは、降格の可否に関するルールです。 すなわち、降格のうちでも「職位の引き下げ」としての降格であれば、就業規則にその旨の規定がなくても降格が可能である、としつつ、本事案では、それが「人
今日の労働判例 【大阪府(府立高校教員)事件】(大阪地判R4.6.28労判1307.17) この事案は、教員Xが仕事のストレスでメンタル状の問題(適応障害)を発症したとして、勤務先の学校Kを運営する大阪府Yに対し、損害賠償を請求した事案です。 裁判所はXの請求を認めました。 1.請求認容のポイント 判決では、残業時間の長さ(例えば、週末の部活顧問としてのサポート業務など)、業務上のストレス(例えば、学校が運営する交換留学のためのオーストラリアの高校との打ち合わせや、
今日の労働判例 【国・渋谷労基署長(カスタマーズディライト)事件】(東京地判R5.1.26労判1307.5) この事案は、レストランなどを経営する会社Kで、調理やマネジメントを担当していた従業員Xが、業務上のストレスによってメンタルを病み、労災認定されましたが、労基署Yの認定した補償金額が小さいとして訴訟を提起したものです。 裁判所は、Xの主張を認めて、労基署の処分を取り消しました。これを受けて、Yは補償金の支給決定をやり直すことになります。 1.固定残業代制度の有効
今日の労働判例 【F-LINE事件】(東京地判R3.2.17労判1306.87) この事案は、特殊なトラックの運転を担当していた運転手Xが、会社Yから受けた懲戒解雇処分を違法と主張し、争った事案です。 この懲戒解雇処分は、3つの懲戒理由を根拠としますが、裁判所はそのうちの2つの懲戒理由は存在しないとして否定しつつ、3つ目の懲戒理由は合理性を認め、懲戒解雇処分自体、有効と判断しました。 1.他社の運転手へのハラスメント 裁判所が否定した2つの懲戒理由は、Xが、集配所で
今日の労働判例 【エイチピーデイコーポレーション事件】(那覇地沖縄支判R4.4.21労判1306.69) この事案は、ホテルなどを経営する会社Yの従業員Xが、固定残業代や変形労働時間制のルールが無効であり、実際には、出勤簿記載の時間以上に働いていたとして、未払残業代の支払いを求めた事案です。 裁判所は、その一部を認めました。 1.固定残業代 固定残業代について、裁判所はYの主張を認め、Xの請求を否定しました。 固定残業代として認められるためには、何が固定残業代であ
今日の労働判例 【司法書士法人はたの法務事務所事件】(東京高判R4.9.12労判1306.52) この事案は、正社員の募集に応じて入社したが、事務所Yから、雇用期間1か月の有期契約の雇用契約書を提示され、それにサインした従業員Xが、(1回は更新されたものの、2回目について)期間満了を理由に更新拒絶された(退職願いへのサインを強要された)事案です。 裁判所は、Xの主張を大幅に認めました。 1.契約内容 形式だけ見れば、募集資料は契約に関係なく、契約内容は契約書に示され
今日の労働判例 【日本HP事件】(東京地判R5.6.9労判1306.42) この事案は、管理職としての能力がないなどの理由で、管理職内でのレベルが下げられ、減給された従業員Xが、会社Yに対して、処分の無効を争った事案です。 裁判所は、Xの主張を概ね認めました。 1.Yの規定 ここでYは、Yの能力不足に関し、上司の評価や、能力開発プログラムの適用の提案など、合理性や適切なプロセスを経ていることを、強調しています。 しかし裁判所は、規定上の根拠が不十分であることを主な
今日の労働判例 【JR東日本(組合脱退勧奨)事件】(東京地判R5.8.10労判1306.5) この事案は、労働組合Kの組合員らX1~X4が、会社Yにより、組織的・個別に、Kを脱退するように不当な干渉を受けたとして争った事案です。 裁判所は、請求の一部を認めました。 1.組織的な組合脱退勧奨 Xらは、例えば、Kとの交渉事項に関するYの見解をたびたび社内に掲示したり、Yの社長が全国の各拠点(250か所)を訪問して、経営の考え方を伝えたりしたことなどが、組織的な退職勧奨で
今日の労働判例 【食肉加工業A社ほか事件】(東京地判R4.4.8労判1305.68) この事案は、女性従業員Xが、正社員Y1に対価型セクハラを受けたとして、Y1と会社Y2に損害賠償を求めた事案です。 裁判所は、Xの請求を否定しました。 1.事実認定 裁判所は、XとY1の不倫関係は対価型セクハラではない、と認定しました。先行する訴訟で、Y1の妻がXに損害賠償を請求し、それが認められていることも1つの事情としていますが、元同僚たちの否定的な証言などを重視し、他方、Xの証
今日の労働判例 【三多摩合同労働組合元組合員事件】(東京高判R4.5.18労判1305.58) この事案は、会社と争っていた元労働組合員Yに対し、会社との交渉や訴訟に協力した労働組合Xが、Yの取得した金額の2割を賦課金として支払うように求めた事案です。 1審(東京地立川支判R3.9.16労判1258.61読本23.120)、2審いずれも、Xの請求を否定しました。 1審の解説動画: 1.事案の概要 YがXを頼ったのは、平成13年でした。Kから退職勧奨されたことがきっか
今日の労働判例 【大和高田市事件】(奈良地葛城支判R4.7.15労判1305.47) この事案は、交通事故により右足関節に「下肢肢体不自由5級」の後遺障害を負う公務員Xが、ケースワーカーとして生活保護受給者宅を頻繁に訪問する業務などによって症状が悪化したとして、大和高田市Yに対し、損害賠償(約1000万円)を求めた事案です。 裁判所は、Xの請求の一部(約300万円)を認めました。 なお、公務員災害補償の支給が認められなかったため、その支給を求めた訴訟も別に提起されてい
今日の労働判例 【アメリカン・エアラインズ事件】(東京地判R5.6.29労判1305.29) この事案は、アメリカの航空会社の日本支社Yで雇われていた従業員Xが、コロナ禍での業績悪化などによって、定年後再雇用されなかった事案です。 Xは、これまで数多くの従業員が再雇用されてきたことなどを理由に、従業員の地位にあることの確認などを求めましたが、裁判所はXの請求を否定しました。 1.就業規則 ここで注目されるポイントの1つは、労契法の規定や権利濫用などの議論に先立ち、Y
今日の労働判例 【サカイ引越センター事件】(東京地立川支判R5.8.9労判1305.5) この事案は、引っ越し業務を担当する運転手Xらが、会社Yに対して、未払の賃金・残業代などの支払いを求めた事案です。 裁判所は、Xらの請求の一部を認めました。 1.基礎賃金 もっともページ数を割いて検討しているのが、諸手当の「基礎賃金」該当性です。 すなわち、Yは諸手当を残業代計算の際の基礎金額に含めていなかったのですが(出来高払制賃金、という理由)、問題とされる諸手当それぞれに
(動画準備中) 今日の労働判例 【セントラルインターナショナル事件】(東京高判R4.9.22労判1304.52) この事案は、正社員Xが、会社Yに対し、①降格処分などの有効性と、②抑うつ病になったことへの損害賠償などを求めた事案です。 1審は、①は否定したものの、②は肯定しました。2審は、①②いずれも肯定しました。 1.降格処分(①) Xには、取引先や会社に迷惑をかけるような言動がいくつかあり、1審はその点を指摘して、降格処分などを有効としました。 これに対して
今日の労働判例 【北九州市(嘱託職員自殺)事件】(福岡地判R5.1.20労判1304.33) この事案は、市役所Yの嘱託職員だったKが業務によってうつ病になり、Y退職後、他の職場に勤務していたが、退職後2年超経過したところで自殺した事案です。 Kの遺族である両親Xらが、Yに対して損害賠償を請求しましたが、裁判所はこれを否定しました。 1.因果関係(公務起因性) 因果関係の問題は、2つあり、1つはうつ病の「発症」がYの業務に起因するかどうかという点ですが、この点は問題
今日の労働判例 【ふたば産業事件】(大阪地判R5.1.26労判1304.18) この事案は、中国の工場の品質検査を担当していた中国人の業務委託先Xが、会社Y(契約したのは、Yの中国のA支社)に対し、中国の労働法に基づいて未払賃金などの支払いを求めた事案です。 裁判所は、Xの請求をすべて否定しました。 1.国際私法の構造 事案の検討に入る前に、まず、国際私法の構造を確認しましょう。 近時、国際私法に関する労働判例が増えています。この傾向は、日本の会社が海外に出ていく