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属性山盛りのメイは、私たちを2度裏切る|『えんどろ~!』(5)

 本記事は、アニメ「えんどろ~!」を徹底分析する特集の……第5回である★


第1回:エンド・ロール!!つまり「役割を終わらせる物語」

第2回:【キャラ分析】ユーシャの「圧倒的主人公感」の源泉を探る

第3回:ダメダメっぷりがかわいいセイラは、なぜ影が薄いのだろうか?

第4回:ファイ、この王道的萌えキャラを見よ!

第5回(本記事):属性山盛りのメイは、私たちを2度裏切る

第6回:キャラ立ちした「体型」に注目!

第1回からご覧になることをオススメします!


「メイ」を分析しよう★


 第2回ではユーシャ第3回ではセイラ第4回ではファイを分析した。

 そして今回は……メイ

 彼女の人となりを詳しく見ていこう!



※著作権者によるキャラ紹介動画(メイ編)です。


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 メイの性質を表すキーワードは、以下の8つである。

【1】一見するとクールで知的

【2】感情表現が乏しい

【3】コミュニケーションが苦手

【4】オタク

【5】中二病

【6】いつも意味不明なダジャレやオヤジギャグを考えている

【7】女子力が高い

【8】乙女っぽいところもある


※あなたがクリエイターで、「メイのようなキャラ」を作りたいとお考えの時には、この8つの条件を満たすとよいと思います★

※他の3人と比べてキーワードが多いのは、メイがそれだけ多くの属性を負っていることを意味する。端的に言って、彼女は「属性山盛り!!」のキャラだ。


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「一見するとクールで知的」とは?


 メイはクールで知的に見える。

 「ダウナーな雰囲気が漂っている」と言ってもよい。


 例えば……やや眠そうな目

 サブカル女子っぽい帽子

 どこか上品な声色

 そして、テーマカラーは青


 これらが相まって、「クールで知的な有能女子」に見えるのだ


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「感情表現が乏しい」とは?


 彼女が、「感情表現が苦手なタイプ」であることを伝えるエピソードをご紹介しよう。

 4人が、「タルカ族」という異民族の住む村を訪問する時のことだ(第9話)。

 道案内役・ドードーが、巨大な縦穴に飛び込むよう指示する。

 ユーシャとファイは躊躇なく飛び込む。

 次いで、メイ。

 そして、最後にセイラ。

 セイラは落下しながら、叫ぶ。

セイラ「なっ、なんでみんなはためらいなく飛び降りられるの!?私が騒ぎすぎなの!?」

メイ「ユーシャさんとファイさんは特別っすよ……」

セイラ「でも、メイも慌ててないじゃない!」

メイ「自分も結構パニックっす」

セイラ「……全然そう見えないけど」

メイ「川とかで人知れず溺死するタイプっすね」


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「コミュニケーションが苦手」とは?


 メイはコミュニケーションが苦手だ。

 「コミュニケーションが苦手」と言っても様々なタイプがあるが……彼女は、「一度仲よくなれば親密に付き合えるが、仲よくなるまでに時間がかかる」タイプ


 ただし、本作は基本的に主要4人(+マオ、ローナ姫)だけの「狭い世界」を描いた物語で、それ以外のキャラはほとんど登場しない。

 したがって、メイが人と上手く話せず苦心する姿はほとんどまったく描かれていない。


 唯一の例外は……上述の道案内役・ドードーである。

 メイは、ドードーと親しくなるのに数か月かかったという(第9話)。

 その結果、「タルカ村」(タルカ族の住む幻の村)へ招待されたわけだが……一方、他の3人は出会って数秒でドードーと親しくなる

 ……メイが嘆く。

メイ「みなさん……あっという間に仲良しっすね。自分は……何か月もかかったっすよ……」


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「オタク」とは?


 彼女はオタクである。

 カルタードを愛している


 はて。

 「カルタード」とは何か?


 見た目は、トランプサイズのカードである。

 武器や道具に変化させたり、魔法を発動させたり……「えんどろ~!」の世界では必携のアイテムだ。

※補足:「HUNTER×HUNTER」をご存知の方は、「グリードアイランド(G.I)編」に登場したカードをご想像ください。よく似たものである。


 カルタードは単機能(カード1枚に1つの機能)で、かつ、使用可能回数は1回限り。したがって、複数のカードを常備する必要がある。

 また、カードにはランクがあり、市場に流通している枚数に応じて「レア度」が設定されている様子。

 さらに、複数のカードを組み合わせることで、特別な能力を発動することができる。メイ曰く、「ノーマルカルタードも使いようっす」。例えば第11話では、ノーマル「そよ風」を3枚組み合わせることで、「竜巻」を発生させている。また、魔王との最終決戦では、レアを5枚組み合わせ、魔法使い・メイの最終奥義と思われる大技「ジャッジメント・ストライク」を放っている(第1話)。

 さらに、「えんどろ~!」の世界には専門店が存在し、カルタードが売買されている。

 

 ……で、だ。

 メイは、このカルタードのオタクである。

 休日にはカルタードショップを巡り(第7話)、レアカードを仕入れるためなら徹夜で列をなすこともある(第2話)。

 カルタードの生産地・タルカ村を訪問する時には、歓喜していた(第9話)。

 そしてなにより……カルタードの話になると、オタク特有の饒舌が止まらなくなる!周りの反応を無視して、早口で喋りまくる!


 例えば第1話の冒頭を見てみよう。

 登校時の会話だ。

 メイは徹夜したと言う。

ユーシャ「え?どうして?」

セイラ「昨夜は一晩中カルタードの研究をしてたの、メイは」

ファイ「カルタードの?」

メイ「カルタードこそまさに世界の神秘の結晶にして、人類の英知の行きつく先に間違いはなく、カードに秘められた力はあくまで有限であるものの、組み合わせによっては想像を超えるような効果を発揮し、それはまさに無限の可能性と言えるものであって、たとえば昨夜自分が編み出したコンボであれば……」

セイラ「はいはい。さっさと歩く」


 ちなみに……彼女のカルタード愛は一方通行のものではなく、しっかりカルタードからも愛されているようだ。

 マオ曰く「カルタードの才能に恵まれたメイザ・エンダスト」(第2話)。


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 また、自身を「自分」と呼んだり、語尾にいちいち「っす」と付けたりするのも、彼女がオタクだからだと考えられる(=制作者が「メイはオタクである」と視聴者に伝えようとしているのだと解釈できる)。


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「中二病」とは?


 メイには、中二病っぽいところがある。

 例えば、「4人の内、一体誰がパーティのリーダーなのか?」を巡ってひと騒動起こるエピソードがある(第2話)。

 最終的には、「4人全員がリーダーになればよい」という訳のわからない結果に落ち着くのだが……その時の各人のセリフが面白い。

ユーシャ「そういうわけで……あたしが勇者リーダー!」

セイラ「わっ、私は麗しきリーダー!」

ファイ「ファイは野生のリーダー!」

メイ「自分は闇のリーダーっす!」

ユーシャ「リーダーが4人集まって……」

4人「勇者パーティ、誕生!!」


 正義の味方のはずが、「闇のリーダー」と名乗ってしまう中二病感!


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「いつも意味不明なダジャレやオヤジギャグを考えている」とは?


 とにかく、くだらない発言が多い……それがメイ!

 そして、それが最高にかわいい……これぞメイ!


 ちなみに公式サイトでは、「基本的に無表情だが、その裏では渾身のオヤジギャグなど、頭の悪いことを真剣に考えていたりする」と紹介されている。「頭の悪いこと」って……。


 例えば第1話。

 新任教師(マオ)に自己紹介するシーンで

セイラ「セイラン家は代々聖者の家系なので、私も回復を司る聖者をやっています」

ファイ「ファイは戦士!ガンガン叩くよぉ!」

メイ「ひよこのオスメス鑑定士って一度は憧れたりするっすよねぇ」

セイラ「こいつは魔法使いです!」


 しょっぱなから意味不明なこと甚だしいが……いや、このシーンはまだ生ぬるいのである

 なぜなら、セイラがしっかりツッコんでくれているのだから。


 ……そう!これ以降、メイのボケは完全にスルーされるのが定番となる。

 誰もツッコんでくれない。

 場が白けることすらない。

 無視だ!ガン無視ってヤツである!


 ……が、メイはめげない。落ち込まない。

 寧ろ、なぜかしてやったりのドヤ顔をする。

 意味不明である(最高にかわいい!)。


 例えば、「昨夜はパジャマパーティで夜更かしした」とマオに話す中で(第2話)。


メイ「いわゆるパジャマパーティ……そう!冒険者パーティだけに!ドヤァ!!」

 「ドヤァ」ではないのである。


 あるいは、噂話をする中で(第4話)。

メイ「噂を言うわさ……ドヤァ!!」


 さらに、鳥っぽい化け物と戦う中で(第11話)。

メイ「要するにトリモチっすね……相手が鳥だけに。鳥だけにドヤァ!!」


 そして最終話の最後の最後。感動のラストシーンでも(第12話)。

メイ「自分、お供するっす。友だけにドヤァ!!」

 最高である。


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「女子力が高い」とは?


 メイは、料理も掃除も裁縫もできる

 特に料理は得意なようで、以下のようなエピソードがある。


 マオが体調を崩し、寝込んでしまう(第6話)。

 4人はマオの家を訪問し……ユーシャはマオの体を拭いてやり、ファイは山から食材を採ってくる。

 何もできないセイラは邪魔にならぬよう部屋の隅で待機。

 そして……メイ!

 彼女はヒラヒラのエプロンを身につけてウインクする。

メイ「てなわけで、こんな時は……チェーンジ!若奥様モードっす!」

ファイ「メイちゃんは勇者パーティ1の女子力の持ち主なんだよ。お料理もお掃除も裁縫もできちゃうもんねぇ!」


 また、オープニング映像にもご注目いただきたい

 おそらくはクエスト中なのだろう。4人が川岸で野営を張っている。

 ファイがテントを張る。

 セイラが食材を集め、ユーシャが野菜(?)の皮を剥き……そしてメイがフライパンで炒め物を作っている。その見事な腕前!


※補足:このオープニング映像の「セイラが食材を集める」部分……違和感を覚えないだろうか?食材集めは、どう考えても「野性の力」を持つファイ向きの仕事だ。しかし、それではセイラの仕事がなくなってしまう(彼女は何もできないのだから!)。したがって、おそらくは苦肉の策として、制作者は「セイラが食材を集めるシーン」を描いたのだと思われる。


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「乙女っぽいところもある」とは?


 雪山で遭難しかけた4人が、幻を見るエピソードがある(第11話)。

 そこに描かれているのは、各自の「夢」だ。

 例えば、ユーシャは魔王を討伐する幻を見る。

 また、メイが見たのは、レインボーシーラカンスという幻の魚を食べる自分の姿だ。

 そしてメイ!彼女は……カルタードと恋に落ち、やがて結ばれる幻を見る!


 相手がカルタードというところがアレだが……本作唯一の恋愛(的な)シーンである。

 メイの乙女っぽいところが表現されたエピソードと解釈できるだろう。


まとめ


 以上、「メイ」というキャラの特徴をご紹介してきた。

【1】一見するとクールで知的

【2】感情表現が乏しい

【3】コミュニケーションが苦手

【4】オタク

【5】中二病

【6】いつも意味不明なダジャレやオヤジギャグを考えている

【7】女子力が高い

【8】乙女っぽいところもある


 整理しよう。

 まず、彼女は一見するとクールで知的に見える。

 しかし、感情表現が乏しく、コミュニケーションが苦手だからそう見えているだけで、その本性は……オタクで、中二病で、いつも意味不明なダジャレやオヤジギャグを考えている!

 まさにギャップである。


 ……が!

 さらにもう1つ!


 その一方で、女子力が高く、乙女っぽいところもある!

 ここにもギャップ!


 つまり、メイは2重のギャップを持つキャラなのだ!


 そして、前回申し上げた通り、私たちはキャラの「ギャップ」にこそ萌えるものである。

 例えば「ツンデレ」。1人のキャラが「ツン」と「デレ」を持つ……そのギャップの魅力!


 こう考えると……メイがいかに破壊力を持つ「萌えキャラ」か、ご理解いただけると思う★


続きはこちら★

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 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(担当:三葉)

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