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【キャラ分析】ユーシャの「圧倒的主人公感」の源泉を探る|『えんどろ~!』(2)

 本記事は、アニメ「えんどろ~!」を徹底分析する特集の……第2回である★


第1回:エンド・ロール!!つまり「役割を終わらせる物語」

第2回(本記事):【キャラ分析】ユーシャの「圧倒的主人公感」の源泉を探る

第3回:ダメダメっぷりがかわいいセイラは、なぜ影が薄いのだろうか?

第4回:ファイ、この王道的萌えキャラを見よ!

第5回:属性山盛りのメイは、私たちを2度裏切る

第6回:キャラ立ちした「体型」に注目!

第1回からご覧になることをオススメします!


キャラを分析しよう★


 前回は、本作のテーマ「end role = 役割を終わらせる」について詳しくご説明した。


 さてここからは、主要4人の人となりを見ていこう!

 今後、クリエイターのみなさんがキャラを創作・制作する時のヒントになるように、具体的なエピソードを交えつつ、1人ずつチェックしていく。

 ……が、先にざっくり結論をご紹介しておこう★


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※左から、ファイ(黄)、セイラ(紫)、ユーシャ(桃)、メイ(青)。



 ユーシャを除く3人に、「一見○○だが、じつは□□」というギャップがある点は注目に値する★


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 それでは、各キャラを詳しく見ていこう!

 まずは……主人公・ユ-シャ★


「ユーシャ」はどのようなキャラなのか?



※著作権者によるキャラ紹介動画(ユーシャ編)です。


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 上述の通り、主要4人の中で唯一「一見○○だが、じつは□□」というギャップのないキャラである。

 ……主人公らしい主人公!

 ……勇者らしい勇者!


 なお、ギャップがないため、「他のキャラと比べて面白味がない」「キャラに奥行きがない」なんて感じる人もいるかもしれない。


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 そんな彼女を表すキーワードは、以下の5つである。

【1】明るく元気でポジティブ

【2】直感力・幸運に恵まれている

【3】友情に厚い/仲間想い

【4】「みんなの笑顔」のために戦う

【5】しかしどこか抜けている


※あなたがクリエイターで、「主人公らしい主人公」「勇者らしい勇者」を作りたいと思った時には、この5つの条件を満たすキャラを考えてみるとよいかもしれません★


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「直感力・幸運に恵まれている」とは?


 例えばこんなエピソードがある。


 冒険者学校の宝箱を開ける実習(第2話)。

 ご存知の通り、RPG風の世界では、宝箱にはトラップが仕掛けられているものであり、安易に開けると噛みつかれたり、ガスで眠らされたりする危険がある。

 案の定、多くの生徒がトラップに引っ掛かる中……ユーシャだけは次々と当たりを引いていく!

 何らかの方法でトラップを回避しているのだろうか?

 違う!そうではない!ユーシャは何も考えていない。

 そう、直感力・幸運に恵まれているのだ!


 また、授業中、偶然にも「勇者の剣」を発見してあっさり引き抜いたり(第1話)、クエスト中に何気なく壁に触れると、目的地への近道を発見したり(第2話)……。


 ご都合主義がすぎるとも言えるだろう。

 だが、彼女は主人公だ。勇者だ。こうした「神に愛されている」感は不可欠だと思われる。


 なお、公式サイトでは、ユーシャは「直感力と幸運に恵まれた生まれついての勇者体質」と紹介されている。

 なるほど。これを「勇者体質」と呼ぶのか。


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友情に厚い/仲間想い」とは?


 「主人公らしい主人公」「勇者らしい勇者」は、総じて友情に厚く、仲間を大切にするものだ。

 異論はないだろう。


 そして、ユーシャもまた友情に厚く、仲間想いのキャラである


 例えば、ローナ姫が魔王にさらわれた時のことだ(第8話。なお、実際はローナ姫とマオの芝居だが、ユーシャは本当にさらわれたと思っている)。

 ユーシャと魔王が対峙する。

魔王「そなたに問う!なぜ姫を求める?富か?地位か?名声か?」

ユーシャ「違う!」

魔王「では、勇者だからか?魔王を倒すのは勇者の運命だからな!」

ユーシャ「全部違う!お姫様だからとか、勇者だからとか、そんなの関係ない!ローナちゃんは……ローナちゃんは私たちの大切な友だちだから!だから助けるんだ!」


 あるいは、最終決戦(第12話)。

 マオの正体が魔王だと判明する。

 ……そして、ユーシャは勇者である。勇者である以上、魔王を討たねばならぬが……あの大切なマオを殺す?

 無論、彼女にはそんなことはできない。

ユーシャ「私は、かっこいい勇者になりたかった。悪い魔王をやっつけるかっこいい勇者に……。私が勇者になりたかったもう1つの理由は、みんな楽しく笑っていてほしいからなんだよ。……そこには当然マオちゃんの笑顔も入ってるんだよ。マオちゃんを泣かせるぐらいだったら、私は勇者でなくたっていい!」

 そして勇者の証である「勇者の剣」をあっさり放棄してしまう。


 ユーシャは、友や仲間のためならば、すべてを擲つことすら厭わないのだ。


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「『みんなの笑顔』のために戦う」とは?


 これは、「人のために戦う」という意味で、上述の「友情に厚い/仲間想い」の発展形である。

 「主人公らしい主人公」は、友だちや仲間に限らず、より大きなもの・抽象的なもの(「みんな」「世界」「人類」「世の中」「地球」etc.)のために戦うものだ


 例えば、魔王と対峙した時(第1話)。

魔王「その力、余のために使うなら世界の半分を与えてもよいぞ、勇者よ」

ユーシャ「いらない!私がほしいのは世界中のみんなが笑ってる世界だけ!」


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「しかしどこか抜けている」とは?


 明るく元気でポジティブで、直感力・幸運に恵まれている。さらに友情に厚くて、仲間想いで、みんなのために戦う……って完璧すぎない?


 そう。まるで神か仏である。

 そして一般論として、私たちは完全無欠なキャラにはあまり惹かれないものだ。っていうか鼻持ちならない。


 ……だからこそ、この「しかしどこか抜けている」が重要になってくる★

 何でもできるのに、ドジ。

 じつにチャーミングである。


 本作最大の「ユーシャのドジ」は、第1話に登場する。

 魔王を前に、禁断の大魔法を放たんとするユーシャら。

 ユーシャが詠唱する。

ユーシャ「天地の狭間、あまねく満ちる精霊よ!幼き我らことほぎし理の番人に乞い願う!開きたまえ!開きたまえ!世界を隔てし時の一矢!勇者ユーリア・シャルデットの名の下に!心を1つに!」


 ……が、彼女はあろうことか途中で噛んでしまう!

ユーシャ「天地の狭間!あまねく満ちる精霊よ!おちゃなき我……あ。ごめーん。呪文噛んじゃった!」

 そして大魔法は暴走する……!


 ほとんど大罪人レベルのドジである。


まとめ


 以上、「ユーシャ」というキャラの特徴をご紹介してきた。

【1】明るく元気でポジティブ

【2】直感力・幸運に恵まれている

【3】友情に厚い/仲間想い

【4】「みんなの笑顔」のために戦う

【5】しかしどこか抜けている


 繰り返しになるが……【1~4】だけを見るとほとんど完璧超人である。なるほど。主人公、そして勇者だ。超人に決まっている。


 ……が、それでは視聴者に愛されない

 かといって、【1~4】を薄めたり、削ってしまっては、「主人公」感、「勇者」感がなくなってしまう。

 そこで【5】だ。これでバランスが取れていると思うのだ★


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 以上、ユーシャについてご説明したが……これは、多くの「主人公らしい主人公」「勇者らしい勇者」に共通した性質と言えるだろう★



続きはこちら★

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 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(担当:三葉)

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