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バリキャリ女性が、夫から愛想を尽かされる物語!!|『クレイマー、クレイマー』(3)

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テーマ発表!!


 第1回第2回に引き続き、映画「クレイマー、クレイマー」をベースに新しい物語を妄想します。

※「クレイマー、クレイマー」のストーリーなどについては、第1回の記事をご参照ください。


妄想開始!


嘉村 「クレイマー、クレイマー」は、妻に愛想を尽かされ見捨てられた男が、家事や育児に奮闘する中で「人の気持ちを思いやれる人間」に生まれ変わる成長譚ですが、「設定を思いっきり変えても面白くなるのでは?」ということで……前回に引き続き、一体どんな物語にするといいかディスカッションしてまいりましょう!

三葉 承知しました。

嘉村 前回ご紹介したのは、「『クレイマー、クレイマー』 ~『子どもが引きニート』編」、「『クレイマー、クレイマー』 ~『ペット』編」の2案でした。


案③


嘉村 「案③」にまいりましょう!

三葉 「案③」は、「『クレイマー、クレイマー』 ~『男女逆転』編」です。


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嘉村 男女逆転!

三葉 ええ。詳細をご説明する前に、「クレイマー、クレイマー」風の物語を作る時に注意すべきポイントを振り返っておきましょう。


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三葉 ……となります(より詳しくは第1回の記事で)。

嘉村 ふむふむ。

三葉 さて、以上の通り……「クレイマー、クレイマー」は、「仕事熱心で、家庭をないがしろにしてきた夫」と「そんな夫に愛想を尽かし、家を出る妻」の物語です。主人公は夫で、彼の人間的な成長が描かれるわけですが……。


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嘉村 ええ。

三葉 これ、男女を逆転させても面白いと思うんですよね!

嘉村 ほぉ。

三葉 ホラ、バリバリ仕事で活躍する女性が珍しくない時代ですし。

嘉村 確かに。

三葉 なお、「逆転」には2つの方法が考えられます。第1に「男性を専業主夫にする」パターン。第2に「共働きにする」パターン。どちらでもいいのですが……ここでは後者を採用しましょう。

嘉村 ふむ。

三葉 すなわち……主人公は既婚女性で、家族は夫と息子。共働き。彼女は仕事熱心で、収入は夫を上回っている。その分、家事や育児は夫に任せきりになっていた。夫にはまだ話していないが、「夫が専業主夫になってくれたらいいな」と思っている。「そうすればもっと仕事に没頭できるのに……」

嘉村 なるほど。

三葉 ところがある日、ふいに夫が家を出る!家庭をないがしろにしてきた主人公は、愛想を尽かされてしまったのです。……かくして「妻の成長譚」が始まります。


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嘉村 ふむふむ。

三葉 あとは、「主人公が女性ならではのエピソード」を盛り込むことで、「クレイマー、クレイマー」とは一風違う物語に仕上げていけばいいでしょう。

嘉村 ふむ。

三葉 例えば……主人公は育児が苦手。長時間子どもと2人きりでいるとイライラしてしまう。そんな彼女に対して、「母親失格よ!」なんて言うキャラが登場する。主人公はムッとして、「私だって子どもを愛しているわよ!でも、愛と育児って別物でしょ?」と反論する。

嘉村 まぁ、「すべての女性が育児を得意としている」なんてのは迷信に過ぎませんからね。育児が得意な女性もいれば、苦手とする女性だっている。

三葉 ええ。しかし、やはり真っ正面から「母親失格よ!」と指摘されるとさすがに堪えるものがある。

嘉村 まぁね……。

三葉 彼女は落ち込む。

嘉村 ふーむ……。

三葉 あるいは、保育所に預けている子供を引き取るために、大切な会議を中座すると……上司が嫌味ったらしく、「仕事に家庭を持ち込むのは感心しないなぁ。きみはもう少し賢いと思っていたのだが……まぁ、きみもやはり女だったわけだ」。

嘉村 いまどき珍しいドストレートのハラスメント発言ですね。

三葉 逆に清々しいですよね。

嘉村 まったくね。

三葉 とまぁ、こんな具合に「女性ならではのエピソード」を盛り込むことで、ユニークな物語になると思うのです。


案④


嘉村 続いて、「案④」にまいりましょう。

三葉 はい。「案④」は、「『クレイマー、クレイマー』 ~『同性愛カップル』編」です。


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嘉村 同性愛カップル!

三葉 「男性同士」でも「女性同士」でもいいのですが……。

嘉村 ええ。

三葉 舞台は、同性婚が認められている国・地域です。カップルの片方が仕事に熱中し、家庭をないがしろにしている。もう片方は家事や育児に奮闘していたが……ある日パートナーに愛想を尽かし、家を出てしまう。

嘉村 なるほど。

三葉 ご覧の通り、基本的なストーリー構造は「クレイマー、クレイマー」や、ここまでにご紹介した「案①②③」と同じです。ただし、主人公を同性愛カップルにすることには、1つ大きなメリットがあります。

嘉村 ほぉ。一体何です?

三葉 すなわち……どうしたって男性は男性キャラに、女性は女性キャラに感情移入しやすいものです。その結果、男性が「クレイマー、クレイマー」を見れば、主人公に共感して「夫にも問題はあるが……むしろ妻が身勝手だ!女はアホ!」という感想を持つかもしれない。一方、鑑賞者が女性であれば「家庭をないがしろにする夫が悪い!男はクソ!」と感じやすいはずです。

嘉村 なるほど。

三葉 それでは、主人公を同性愛カップルにするとどうなるか?……おそらく、こうした「男が悪い/女が悪い」式の不毛な議論を回避することができるでしょう。そしてその分、作品をしっかり鑑賞してもらえると思うのです。

嘉村 なるほど!一理ありますね。


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 「クレイマー、クレイマー」の研究はこれで終了です。ありがとうございました。

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 最後までお読みいただきありがとうございました。みなさんの今後の創作・制作のお役に立てば幸いです。

(担当:三葉)

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