育て直し 1988年 7月4日(月) 2歳9ヶ月 「やりとり」して、情報を集めてから考える態度を育てる
【日記】
今日、今年初めての花火をした。ご飯を食べてから、暗なるのが待ち遠しかった。どうなるのか、心配で楽しみだった。
去年はあんなに恐がって泣いていた花火なのに、なんと、今年は喜んで持って遊んでいる。周りの情報をうまく取り入れることができるので、怖がるものが少なくなったようだ。👨🎓① 特に、今年は怖くないどころか「持たして、持たして」と、逆にうるさいくらいだった。
子どもには「知識や経験を与えるべき、タイミングみたいなものがあるのだ」ということがよく分かる。 子どもができるちょっと先のものを、与えてあげるのがいいようだ。👨🎓② ということは、ひらがなの勉強は、まだいらない。「花火を持たせる」のも、去年ではまだ早かったということだ。去年、無理やり持たせてなかしてしまって、かわいそうなことをした。
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【解説】①
これは「崩れない」「泣かない」「怖がらない」ようになった原因の一つです。今までは、自分の取りたい情報、取れる情報だけしかないために、崩れたり泣いたり怖がったりしていたのです。限られた情報で、自分勝手な間違った判断をしていたのです。
でも、今一番に取るべき情報は何かが分かったり、人から与えられる情報も一応聞いてみる態度が身についてくると、情報がたくさんあるので判断が正確になるのです。だから、崩れたり泣いたり怖がったりしなくなるのです。
「やりとりして、情報を集めてから考えよう」という態度を育てているのが「想像」「共感」「覚えて」です。うまく使ってください。
花火をするときに、情報を与える【セリフ】を書きます。
【セリフ】①
父「もう花火は怖くないと思っているでしょう(「想像」)。」
子「うん。こわくない。」
父「去年より、成長したね(「共感」)。」
子「・・・(それほどでも)。」
父「でもね、今年のこの手持ち花火は大人用なんだよ。だから、よく見て。
これだよ。」
子「おとなよう?」
父「去年のとは違うよ。この花火、ここまでが黒くて太くてここから赤くて
細いでしょう。この黒くて太いとろから火が出んだよ。だから、この赤い
細いところのここを持って下さい(「覚えて」)。分かった?覚えた?」
子「赤いとこ持つ。」
父「そうだね。そうしたら、安全だよ。火が大きいから、びっくりしないよ
うにね。」
子「火が、大きいんだ。」
父「だんだん、花火というものが分かって来たでしょう。」
子「うん、花火大好き。」
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【解説】②
これは、ヴィゴツキーの「最近接領域」といいます。ほんのちょっと先の難しいことをやり遂げたときに子どもは、達成感を感じ自尊感情を上げていくのです。それが、自ら新しいものに取り込んでいく内的動機(モチベーション)になるのです。
だから、4歳児に薔薇の漢字を教えている幼稚園があれば、それは間違っています。4歳児に、薔薇の漢字は難しすぎますし、必要ありません。使う場面は、親戚の集まった宴会のときの余興くらいでしょう。
英語も同様です。「英語で何を話したいか」ということを母語で育てないで、英語を幼児期に教えても、覚えるかも知れませんが使いみちがありません。「話したいことがない、頭のカラポの英語の喋れる子ども」にしかなりません。