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産後うつだった私が自分の人生を取り戻すまで。


「産後鬱でしょうね、薬を処方するので服用してください。」 こう医師から告げられた。


まさか、私が鬱になるなんて想像していなかった。

上司に「お前バカじゃないの?」と言われ、

「バカって言うの、やめてもらえませんか?それでスタッフが気に病んで死んだら後悔しますよね。だから相手が本当にバカだとしても、バカとは言わないで下さい」


と、言うような女だぞ?

私のメンタルは鉄のように固いと自負していたけど違ったようである。 

*

実家にて新生児の息子に授乳中、涙がポロポロ勝手に流れてきた。何が悲しいか分からない、勝手に涙が出てくるのだ。その姿を見て母はメンタルクリニックに行った方がいいと私に話をした。

当時の私は慣れない育児とまとまった睡眠を取れずとにかく思考力が落ちていた。そして「私はこれから子の為に生きていくから自分の人生終了したんだなぁ」と常に思っていた。

そして、とにかく自己肯定感が落ちていた。

例えば息子がポジティブなことをすると「お母さん凄いですね!」と褒められる。逆に息子がネガティブなことをすると「お母さんなんで〜なんですか?もっと〜したらどうでしょう」とアドバイスをされ勝手に追い込まれる。これは当たり前なことだ、子の親なのだから。

ある程度大きくなるまでは母と子はニコイチの1セットであるし、息子がする行動は全てにおいて親の責任なのだ。

だけど、息子が褒められても、それは彼を褒めてるのであり、私ももちろん嬉しいのだけど、全力で喜べるかというとなんか違った。私が喜ぶのはなんかむず痒い気持ちになった。私と息子は別の人間でなるべく子の人生を自分の人生に投影させたくない。

子の人生を自分の人生に投影させると、子の人生が想定外の方向になった場合、かなり辛くなると思ったから。だから早いうちから心構えしていた。

「この子と私は違う人間だ、私は私の人生を生きなきゃ。」

ただ、こんな屁理屈を考えず

「うちの子可愛い、うちの子が1番可愛い、うちの子って天才」

そんな風にひたすら愛でたかった。

仕事より子育てをしていて、幸せ。仕事復帰したくない、辞めたいなぁ。


当たり前にそう思うと思ったし、妊娠中はそんな未来を想像した。せめて、心の中では専業主婦を望むそんなママになりたかった。


我が子を生きる希望にしたかった。

いつかこの乳幼児の貴重な瞬間を、憂鬱な気分で過ごしたことに後悔する日が来ると思う。

そう思ったけどできなかった。 できなかったんだ… 

そして母になると当たり前だが、私の名字や名前で呼ばれるのではなく、「〜君のママ。」それも自分のアイデンティティを失ったみたいで、悲しかった。

本当の私はどこに行ったのだろうか?どこに置いてきたのだろう?

だけど母になったのだから仕方ない、と自分自身に納得させた。

*

そんな私のメンタルが劇的に回復して自分自身を取り戻した出来事が仕事の復帰宮古島のひとり旅である。エピソードを紹介したい。

ある日の事、ヤマザキマリさんの漫画テルマエ・ロマエを読みながら夫に言った。

「古代ローマ人が日本の銭湯にタイムスリップを思いつくなんて、ヤマザキさんは天才だよね!!私も子育て終わったらイタリア行きたいなぁ~。」

 「子育て終わってからじゃなくて、今行けば?イタリア良かったよ~、秋に長期休み取れるから子供は俺見れるしさ。てかまずは近場の宮古島に1人旅すれば?」  

「え、でも私これでも母親だし!子供残して1人で海外旅行って普通はありえないでしょ!」

「はるちゃんは、普通のお母さんになりたいの?ちょっと下品な所あるし、最初から普通じゃないよ」と、夫はケラケラ笑いながら話をする。

うむ、確かに。私は一般的ではない。いわゆる変人だ。

夫の言葉に甘えて、私は仕事の復帰直後、週末を利用して宮古島へ1人旅してきた。宿泊先はお気に入りのゲストハウスへ。(夫よ、ありがとう)

宮古島は海が美しい。
ゲストハウスは3回目の滞在、子供はお断りとの事
建物はオーナーこだわりのモロッコ建築
彼はインドに長く滞在していたらしく、様々な所にこだわり見られる。根は優しいが癖が強め(笑)
個室一泊7000円、滞在日は私しか宿泊者がいなくて貸し切りだった為ツインにしてくれた(笑)
ここで本を読みながらゆっくり過ごした
部屋のテラスにて。

この宮古島1人旅と仕事の復帰により私のメンタルは劇的に回復し、徐々に本来の自分を取り戻していったのだ。

職場では息子のいない世界が不思議に感じた。

当たり前だが、〜くんのママではなく私の名前で呼んでくれる。自分が頑張って成果を出せば感謝されたり評価される。

仕事に、我が子は関係ない、それがシンプルに嬉しかった。育児は母が頑張ってもどうしようもできない不可抗力があるが仕事や趣味など大人の世界はそうではない自分の頑張りが比例する。

これにより、私のアイデンティティーは徐々に取り戻して、我が子の事を可愛いと思えるようになった。

ちなみに、兼業と専業どっちが大変かよく無謀な議論されるが、これは母の性格や様々なバックボーンと子の個体差があるので結論は出せない。そして兼業といってもフルタイムとパートでは話が変わってくる。

私の場合だが、我が子と1日ずっと向き合う事は本当に大変だった。他者に育児を託す事により、仕事であっても我が子と離れ私個人の時間が確保でき、産後うつの症状も大分解決された。

だけどね、兼業も、専業もどっちも大変なんだよ!命と向き合い続けるって時には苦しいんだよ!!

産後うつの症状は誰でも、いつでも、起こり得る。


もし、何かあったらいつでも駆け込めるようにメンタルクリニックは目星をつけてると心の保険ができるかもしれない。

そして、毎日ワンオペだったり、完全母乳だと子と離れるのは不可能だ。この辺りのバックボーンは人により違う。

ただ、20分でもいい。誰かに子を見てもらい、自分の好きな時間を過ごしたり、外を少し散歩したりして、子供をシャットアウトする時間が産後うつの予防になると思った。

私の好きな事はなんだろう?

あの時ワクワクしたものはなんだろう?

まぁ、この時間があれば寝たいのが本音だけど、方手に好きなドリンクを入れた水筒をもって、近所を少し、20分だけでも散歩という旅をするだけで、母としてのあらゆる思考がシャットダウンされリフレッシュされると思うんだ。

そして自治体の支援や、他者に育児を委託できる制度を調べてフル活用してほしい。(自治体によっては産後ケアやシッターの助成がある)

最後に、私は処方された薬を飲まず結局ぶっ倒れ救急搬送された(笑)なのでもし、診断され処方されたらきちんと飲んでほしい。

1人旅をする私はかなりイレギュラーなのでこの話は参考にならないと思うが、


1人でも産後うつで悩む人が減りますようにと願っている。

いやはや、世の母は凄い。ひたすら敬意だ。

ではでは失礼。

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