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#詩

灼熱

灼熱

空気は歪み

骨が硬さをなくしていく

全てが焼かれていく

熱狂するのか

それとも

狂気すら焼かれるのか

きっとその方がいい

言葉は声になる前に焼かれる

残るのは

ビート

ダンス

砂漠色の光

灼熱に焼かれて

焼き尽くされて

熱なきトランスへ

Drive to the sea

Drive to the sea

車の窓から風船を飛ばしてみた。空に吸い込まれる前に、点になって消えてしまった。海に着いたとき、その風船が遠い空に見えるか確かめたい。車は僕の人格を増幅する。次々と現れる景色を目が全部食べてしまう前に、一つ一つ言葉にしてみる。何もなく、ひたすら真っ直ぐなアメリカ西部の砂漠を走っていても、あのサボテンの形が面白いとか、あの岩に力強さを感じるとか言ってしまうだろう。
海が待ち遠しい。きっと車はタイヤだけ

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夜と反復

夜と反復

夜が反復して朝になるまで

あなたの思考がまわり続ける

明日の心配が点滅を繰り返す

今までの楽しかったことが

瞬く、瞬く、瞬く

四季が駆け巡る

沈丁花と金木犀の香りが

両耳に降り注ぎ、囁く

雪が夏の暑さで雨になる

ターンテーブルの上を

馬が駆ける

音楽はいつまでも、いつまでも

私たちの間に

私たちの中に

まわるものは素敵だ

地球、月、レコード、観覧車、メリーゴーランド、

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カモメみたいな色

カモメみたいな色

5月にはみ出した初夏の日差しが

白い壁を光らして

それをカモメみたいな色だと思うのは

海が落書きされている

踵の裏に

そういうことだろう

黄色い嘴

皺だらけの朝刊

水曜日

まだ長い袖

もう緩い雨

パーキングエリアにて

パーキングエリアにて

月と朝焼けが向かい合っている

パーキングエリアは真っ二つになっていた

僕はきっとその継ぎ目に立っている

そういえば冷たさが肌を包んでいた

静けさは

無音の上に立っていた

世界はパノラマに囲まれている

こちらからあちらへ

たぶん

あと一時間

僕は眠れるだろうか

どちらとも言えないところで

つみき

つみき

木のテーブルの上で

積み木遊びをする子供

緊張という言葉が似合わない緊張感

そんなことはおかまいなしに

バス、家、ケーキ

名前を与えられていない何かが建てられては

崩れていく

木のテーブルを

積み木が叩く音は

ほどける緊張感もないのに

なぜか心地よい

Wet Soul & Cold Soul

Wet Soul & Cold Soul

Cold Soul

魂という言葉はいつも熱っぽい

寝るとき

月を見るのが好きだった

閉店後のクリーニング屋から

ラクダの形をしたシミが砂漠に帰っていく

冷たい魂はあるのだろうか

おやすみなさい

好きな人たちが

よく眠れますように

おやすみなさい

Wet Soul

燃えていない、燃えていない

白い朝



空は低く

鳥のおしゃべりは

ここには届かない

それは低く

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ミッドナイト・チャイニーズレストラン

ミッドナイト・チャイニーズレストラン

深夜の中華

夜に火を吐く

不思議と眠そうな人はいない

このまちで赤いのはここだけ

闇に囲まれている

泡、声、鉄の音、煙、炎

こんな静かなまちで

ここだけに世界があるみたいだ

闇からやってきた

プリっとしたエビも

プニっとした点心も

窓の向こうで車が現れては

音もなく消えていく

パラパラと炒飯が降る

ビールで世界に馴染む

払うものを払って帰ろう

テーブルの上で野口が呆

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梅とミント

梅とミント

枝の先で梅の花がポンとしている

膨らみと線と膨らみのリズム

ミント色のミキサー車が

通りに停泊中

だらだらと回転している

白い犬が僕を見ている

僕も白い犬を見ている

春にはまだ届かない

郷愁の灯

郷愁の灯

小さな祈りを運ぶ

それが狂気に映っても

孤独でも

根拠がなくても

なにも変えることはなくとも

祈りを包むその手は

頼りを探していて

祈りを見つめるその目は

希望をつなぎとめる

祈りはゆらめきながら

消えそうになりがなら続く

私が消えても

その祈りは残るのだろうか

どこかに

誰かの残した孤独な祈りは

灯っているのだろうか

 砂漠、運命が降りそそぐ場所

砂漠、運命が降りそそぐ場所

砂漠とは、運命が降りそそぐ場所

砂漠には方向がない

もし砂漠で誰かと出会ったら、何を話せばいいのか

砂漠には、運命が降りそそいでいる

何かを選択することは無に委ねること

無に動かされること

運命は無から降りそそぐ

砂漠とは、無から運命が降りそそぐ場所

砂漠には、生の潤いがある

粒子

粒子

高解像度は、一つの画でしかない

一つの画になる前の、粒子に出会いたい

風景になる前の

顔になる前の

一つ一つの粒子に

星空のための星ではなく

一つ一つの星のために

何かの出来事のための出来事ではなく

一つ一つの出来事のために

もしまた画をつくるのなら

一つの画ではなく、複数の画をつくろう

星と星の間には闇がある

粒は質的に異なり

闇の量によって隔たる

星と闇と星と

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他者のスマホ

他者のスマホ

朝5時半ぐらいだろうか
じっとパソコンの画面に向き合う
傍にあるスマホの画面が光る
何かの通知だ
当たり前だけど、この通知は僕に宛てたものだ

その通知を見ながら、
ふと友達のスマホが通知で光ったときのことを思い出した
当たり前だけど、その通知は僕に宛てたものではない
その光は僕にとって
いや、その友達以外の人にとっては闇である
友達の手に収まっているスマホ
それは友達ではなく他者
他者という存在

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反復が終わり、始まる度に-Salamanda『Sing Together』

反復が終わり、始まる度に-Salamanda『Sing Together』

夜明け

東の空に赤い線が伸びていく

反復するベースのメロディー

空の星の灯りを一つずつ消していく

空は徐々に明るくなる

反復が終わり、始まる度に

夕方

西の空で赤い光が蒸発していく

反復するベースのメロディー

空の星の灯りを一つずつ灯していく

空は徐々に暗くなる

反復が終わり、始まる度に