対照的なエグゼクティブとの食事会で感じた、挫折と幸せ、強さについて

先日ある食事会に呼ばれ、つい最近まで某有名大手企業の理事をされていたAさんと、元々は数年前経営危機に陥って外国企業と合併した某有名大手企業にいて、その後様々な企業を派遣として転々とされている中、今年雇い止めに遭い、3日後には面接だと言うBさんと食事を共にすることになった。

✳︎Aさんとのコミュニケーション✳︎

2人とも初対面だったものの、Aさんは毎日のジム通いとゴルフ?で真っ黒。そして自己紹介を順番にする事になっても「Facebookで俺を検索して申請してくれれば俺の事は分かるから」と言うだけでろくに紹介もせず、紅一点の私がすぐ隣に座り、飲み物の量や料理、空いた皿の管理をする事が当然、という振る舞い。あまりにも接待されることに慣れている印象を受けた。(実際「せっかくなんだから、もっと近くに座りなよ」を連発。)

そして何より話題が自慢話95%、どうにか面白い話を聞き出そうと攻め込んでみた結果も本音の乗らない綺麗事5%なので、こちらも盛り上げようにも「凄いですね✨」「さすが✨」「へぇーー、全然知らなかったです💕」「その話めっちゃ面白いですね✨✨」「それで、それで??💕」「Aさんからお聞きするとまた一層重みが違いますね😍」など、持ち上げる以外相槌の打ちようがなく、正直話も全く面白くない。

しかも挙げ句の果てには、「今度、中国語の通訳として中国内陸部(私も行った事がないし、興味も無い。)へ付いておいで。俺、中国内陸部は昔からずっと行ってみたいんやけど英語が通じひんねん😆」などと言い出す始末。内心「なんでやねん!」とツッコミたい気持ちになりつつ、さすがに口には出せないので、こちらも苦笑いしながら「まぁ、いつコロナがおさまって実現するかは分からないですけどその時は是非」としか言いようがない。

✳︎Bさんとのコミニュケーション✳︎

一方Bさんは控えめでおとなしそうな印象。しかしBさんは誰もが知っているある製品を手掛け、一時は時代の最先端を走っていたこともある超有能なエンジニアでもあるにもかかかわらず、こちらが頑張らなくても、いざ話をふるとポツポツと言葉が出てきて、そこから次第にお互い自分の失敗話や将来の夢を語り合えたり、プログラミングの面白さ、駐在員時代の話、異文化の事など話題も自然に広がり、盛り上げようとしなくても話が勝手にどんどん弾む。

✳︎対照的な2人✳︎

同じ超有名な大企業出身で日本の技術の最先端を走ってきた人でも、こんなにもキャラクターに差が出てしまうのか・・・。当たり前の事だけど正直驚いた。

思い返してみるとAさんと話している時、私は在職中に自分の会社の役員と接していた時と全く感覚で、「同席する以上、お酌などの接待や万が一の多少のセクハラがあっても折込み済み。相手が私に期待するホステス役を2時間限定で可能な限り演じてやろう」「ただしその間、自分を軽く扱われる代わりに、話をよく聞き、そこから得られるモノはちゃんと漏らさず得てやろう」というマインドで接していた。

一方Bさんとは、全く気を遣わないかと言えば嘘になるが、お互いある程度腹を割って本音で話していた感覚も得られたし、損得というの感覚は無く、シンプルに「楽しい」と思い、お互いの心理的な距離が縮まるのを感じた。そして何より相手から軽く扱われている感覚がないので、私としても一緒にいてストレスが格段に少なかった。

✳︎挫折と幸せ、そして強さ✳︎

社会的な成功や会社の肩書から離れた時。それぞれのコミュニケーションの違いが積み重なる事で、どちらの生き方がより幸せに近づくか。その答えは明白だと思う。

短期的にみるとBさんの状況はしんどいと思うし、Bさんがかつて勤めていた会社がこんな事になるとは誰もが予測もしていなかった。しかも更にコロナで雇い止めというまさかの展開。あまりにも泣きっ面に蜂状態で、誰もが「嘘でしょ?!」としか言いようがなく、私もとっさに言葉が出なかった。

けれどAさん・Bさんと話して感じたことは、「一度大きく何かを失う事は、同時に大きな何かを得るチャンスなのかもしれないし、弱さや不安を話せる事は強さで、自慢しか話せないのはもしかしたらある意味弱さなのかもしれない。」ということだった。

対照的な2人との出会い。
それはとても示唆に富んだ時間だった。

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