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【十一章】北海道は土地にステータス振りすぎ。

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次のヒッチハイクはこの道の駅からのスタート。
そこには癖の強い車がいくつかあった。
トランクをあけ、シートや食べ物など、なんやらキャンプのようなスタイル。
今思えば何をしてるのかいろいろ聞けば良かった…
ヒッチハイクを探すので精一杯すぎて"変なの"としか思えなかった 笑
そしてキャンピングカー。
道の駅はそういう車が多いのか。
北海道だからなのか。
結構車もいるから行けそうだと思ったが、
逆に休息中の方が多く、
声をかけられない。カーテンだ。
そんなときに声をかけた一般車のおっちゃんが乗せてくれた

【第十五号車 おもろいおっちゃん】

「どこから来たの?」
「大阪からです」
「大阪か!俺も大阪に知り合いおってな」
どうやら僕と同じ大阪のやんちゃな知り合いがいるらしく、
「大阪の人ってすぐ値切るやろ?すぐ「ねえちゃん、ねえちゃん」って呼ぶやろ?」
「おもしろいのはいいねんけどな、一緒におるときはやめてくれ。って思う。」
「でもやるとこはやる。商売上手で、
最初は文句ばっか言うて、言うだけ言うたら、最後はほめるでしょ?」
「大阪は面白い人多い。でも」
「一緒におるときはやめてくれ。」
さっきまでのどん底が嘘のように楽しかった。
おっちゃんとの話は大阪を思い出させてくれたし、
話も楽しかった。
たしかに全ての大阪人ではないが面白い人は多い。
しれっと大阪人 笑
もしかして僕もそういう大阪人に見られてたのか。
しかしあんまり大阪弁は出てないよなと言われた。
きっといろんなとこを通ったから一番通じやすい標準語
になりがちになったのだろう。
ヒッチハイクに最適な言語なのかもしれない。

そんなこんなでコンビニまできて、ここで下ろしてもらうことになった。
ありがとうおっちゃん。
幸せな気分になったよ。
さすがにもう心が折れそうだったから。
折れても迎えに来てくれる知り合いはここにはいないが。

今では癖でコンビニに来たときは車のナンバープレートを見てしまう。
男が女性の谷間や太ももに目がいくがごとく。
とくに同じ方面のナンバープレートは最高だ。
こういう魅力的なものには目を奪われる。
マイケル・ジャクソンが踊ってるのを見るがごとく。
再びヒッチハイクをしていく。
車に乗ってる人にはスケッチブックを見てもらって、
コンビニから出てきた人には声をかけたり。
ただ今からコンビニに入ろうという人に声をかけるのはあまり
良くないかもしれないと思った。
仮にその人がトイレにいこうとしていたら、それ以前にも今から何かコンビニに用があるわけだから、腹が減って気が立っているかもしれないし、とにかく何かしら用があるわけだ。
そこを遮ってしまうのはどうだろうか、と。
そして声をかけていると、結構背の高い女子学生とそのママさんがいた。そこで声をかけてみると、
ヒッチハイクだ!すごい!
って反応。まるで所さんのダーツの旅気分。
しかも札幌までいくところらしい!
「主人がいるので聞いてみます」
ということなので、厳格な人ではないことを祈りながら
恐る恐る期待を寄せていると
他にも途中で降りて観光もするから長万部(おしゃまんべ)まで
乗せてもらえることに。
たしかに初めて会ったやつと、せっかくの
家族水入らずの時間に割り込むのだから
さすがにずっとは乗せられないよな 笑

【第十六号 The Shiawase Family】


このFamilyということばには
(F)ather
(A)nd
(M)other
(I)
(L)ove
(Y)ou
というすばらしいことば遊びがある。
はたしてそんな家族いるのかね。
いました。北海道にいました。
というわけで乗せてもらったのだが、
ここではじめて「スケッチブック」自体に興味をもってもらった。
いったい何が書いてあるのか。ここまでどんな風に来たのか。
というわけで、乗せてもらう勇気と乗せてくれた善意のリレーをここまで紡いできた542円(スケッチブックを買ったときの価格)をみせる。
「おおー!こんな感じなんだ!すごい!カラフルにしたり、へぇー最初は京都とかだったんだ。」
思い出す。最初のだいすけさん。
あそこから始まったんだって思うと。
今、北海道。俺、やるじゃん。

この家族の話を聞いていたら、次女が吹奏楽をやっているらしく、大会を控えていたそうだ。
ぜひその吹奏楽でうまくいくよう、ポストイットにはそのようなメッセージを書いた。
うまくいったのだろうか。

札幌までのルートが数個ある中、おれは地元民に頼るしかない。
ここでの情報は詳しくないから。
高速に乗るよりも、ここでは下道に出て、札幌方面の多いコンビニというのがいいらしい。
高速を降りるという決断の恐ろしさ。
北海道の日常に非日常が現れる。
周りには誰も知り合いはいない。
己の勇気だけが頼りだ。
札幌まで乗せてほしい。という思いもあった。

そんな家族ともお別れだ。
にしても最初、長万部の読み方がわからなくて困った。
「おしゃまんべまでなら大丈夫です」
もちろん調べていたのでわかったものの、
地図みてもどれがおしゃまんべなのか、長万部はなんと読むのか
という感じだった。
さすが北海道という感じで、北海道と沖縄にはこういうことがよくあるかもしれない。
というか、他県というだけでカルチャーショックがおこる。
なぜなら、その県の常識は常識にないからだ。

さて、次の車を探そう。
ここには札幌方面の車が一時休息に来ることが、
この長万部の常識らしいが、


俺には「ど田舎海岸沿いのコンビニに捨てられた」感覚なんだ。

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