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#マンガ

思い出は同世代で撮った記念写真のようなもの

思い出は同世代で撮った記念写真のようなもの

何事にもガツガツしない世代

昨年の9月にマンガ家の石井いさみさんが亡くなった。享年80。代表作は『750ライダー』(ナナヒャクゴジュウ・ライダーではなく、ナナハン・ライダー)。

かれが活躍したのは1970年代なので知らない人がほとんどだろうが、『タッチ』のあだち充さんもアシスタントをしていたという知る人ぞ知る青春ラブコメの元祖みたいな方である。あだちさんは、単にアシをしていただけではなく相当量

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高校時代に読んだマンガに人生を支配される

高校時代に読んだマンガに人生を支配される

いま読んだ本が、いますぐに身になるということは、ほんとうはない。血肉になるのは10年も20年も経ってからである。

それはわかっているつもりなのだが、そうはいっても、思春期に呼んだマンガにどれほど影響を受けているのかをいまごろになって思い知らされると、おそろしい気がしている。まるで操り人形だ。

高校時代に読んだマンガ

以前にも書いたことがあるが、ぼくが一番影響を受けた漫画家は小学館の「少年サン

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じぶんを許すとはどういうことか

じぶんを許すとはどういうことか

「じぶんを許す」ということについて書いてみる。

最近、ますますそう思うようになったのだが、ぼく自身は映画を見ている時だけ「自分を完全に許している」という気がする。

好きすぎて時間を忘れて熱中するようななにかを持っている人にはこの感覚は伝わるだろう。

たとえば、不倫をする人はそういう自分を許しているのだ。そうでなければやすやすと実行に移すことはできないし、かりにいろんな偶然が重なって1回やっち

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だいじなものが抜けているマンガ

だいじなものが抜けているマンガ

問題解決の思考法には、足し算と引き算がある。たとえば、お金が足りないばあいは、もっと稼ぐ(足し算)か、倹約する(引き算)しかない。

気候変動もそう。温室効果ガスを減らす(引き算)か、冷却材をまいたり、太陽光をふせぐなどハイテクを使う(足し算)か、どちらかだ。

ぼくのすきなマンガ『深夜食堂』には引き算のネタがおおい。というか引き算の料理が多い。さいきん気づいた。

深夜食堂は「客の要望に応じて何

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ある芸人さんがバラエティー番組の中でこういうことを言っていた

ある芸人さんがバラエティー番組の中でこういうことを言っていた

ある芸人さんがバラエティー番組の中でこういうことを言っていた。「テレビを見ているときはつづきが気になって見つづけるんだけど、次の日になったらその内容を忘れている」と。

これはテレビあるあるだ。ぼくもバラエティー番組の結果がどうしても気になりCMをまたいで見てしまうことがある。しかし、あとで考えたらどーでもいい内容なのである。まあ、見せられてしまうわけだ。

ちなみに、だれかが一所懸命につくってい

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「ゴミ客」宣言

「ゴミ客」宣言

新年をめどに時間の使い方を考え直すつもりだ。先日の記事でそう書いた。

あのときは、「映画を見るのを止める」だとか「ゲームを止める」だとか「プロ野球観戦を止める」といった、なにか一つ「好きなことを断つ」的な方向で考えていたんだけど数日たって考えが変わった。好きなものを完全に断つのは体によくない。

好きなことをぜんぶ捨てるのではなく、新しいものだけを捨てる方向で考えようと思う。

たとえば、ぼくは

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思い出はお金では買えない

思い出はお金では買えない

写真は、マンガ本『めぞん一刻』第3巻の裏表紙である。実物は、写真よりもさらに汚い。だが、どうしても捨てられないわけがあるので、そのことについて書きたい。マンガの内容とは関係なくて、だれでもある話だ。

このマンガは、高校2年の時に人からもらったものである。それまでめぞん一刻のことはまったく知らなかった。

当時、少年サンデーがスキで「タッチ」や「うる星やつら」は愛読していたけど、めぞん…はビッグコ

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愛憎のパワーゲーム

愛憎のパワーゲーム

「恋愛マンガや恋愛映画にまったく興味がない」という意見を最近ちらほら耳にした。ぼくじしんは熱心なファンではないが、スキかキライかと言われればスキなほうだ。

で・・・ここ1か月くらい、恋愛ものはどういうところがおもしろいんだろう?とぼんやり考えていたんだけど、ある程度考えがまとまってきたので書いてみる。ただしそんなに詳しくはありません。

***

「興味がない」という人の意見で多いのは、あんなの

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むかし好きだったマンガをあらためて読み直した。

むかし好きだったマンガをあらためて読み直した。

むかし好きだったマンガをあらためて読み直した。

高橋留美子著『めぞん一刻』。

裁断して、スキャンして、資源ごみに出すつもりで読んだ。

うちの中が狭くなってきたので、数年前から少しずつ本のPDF化を進めている。

「裁断するまえにもう一回だけ」と思って読み直したのである。

***

でもやっぱり、、、

最後まで読むと愛着がわいてきて、裁断する気になれない。

じつは去年も裁断しようとして、

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全巻をとおして読んで涙をながす

「ものがたり」って大事だな~ということを書く。

以前、このnoteで、マンガは文章力アップにやくだつというハナシを書いたことがある。

『タッチ』の魅力についても書いた。

***

そうやって、いかにも少年サンデーびいきのようなことを書いてきたけど、じつは秋田書店の「少年チャンピオン」も小学生のころから読んでいた。

その中でも、立原あゆみ『本気!』というマンガがスキである。

全50巻。

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高倉健やブルースリーのように勝つ

ぼくが少年だったころの週刊少年ジャンプは、みんな読んでいるイメージだった。

ぼくも、一時期周囲の雰囲気に押されて読んでいたが、もうひとつ入り込めない。

ジャンプは「友情・努力・勝利」だそうだが、「おれが勝つ!おれが勝つ!」というヤツがどうもしっくりこない。ただし好みの問題であり、けなしているつもりはない。

とはいえ、マガジンにもなじめない。

そういう消去法で週刊少年サンデーに流れついた無気

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宮本武蔵の「助けてくれ」

「助けてくれ」と頭を下げるには勇気がいる。

動物にたとえれば相手に腹を見せて寝転がるようなこと。
ちんけなプライドを捨てなければならない。

本当に困った時、
ぼくはすなおに「助けてくれ」と言えるだろうか。

井上雄彦氏の『バガボンド』というマンガがある。
宮本武蔵の生涯を描いている。

第26巻では、すでに吉岡を打ち滅ぼし、天下無双の呼び声が高まったのちの武蔵が「助けてくれ」と武家に土下座する

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