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「ゴミ客」宣言

新年をめどに時間の使い方を考え直すつもりだ。先日の記事でそう書いた。

あのときは、「映画を見るのを止める」だとか「ゲームを止める」だとか「プロ野球観戦を止める」といった、なにか一つ「好きなことを断つ」的な方向で考えていたんだけど数日たって考えが変わった。好きなものを完全に断つのは体によくない。

好きなことをぜんぶ捨てるのではなく、新しいものだけを捨てる方向で考えようと思う。

たとえば、ぼくは『タッチ』や『めぞん一刻』などの昭和マンガをいまだに繰り返し読んでいる。マンガ界にとってはありがたくない客だ。こういう客ばかりでは業界が成り立たない。せっせと雑誌を買い、単行本が出たら買いそろえるような人がたくさんいなければいけない。しかし、さいわいそういう人はたくさんいるみたいなので、ぼくがマンガ界に貢献しなくても大丈夫である。

おなじことはビデオゲームについてもいえる。ぼくは、いまだにNintendo DSやプレイステーション2で遊ぶんだけど、これで十分に楽しい。

ただし、ゲーム業界としてはそういう人ばかりでは困る。バシバシ新しいゲーム機を買ってバシバシ新しいソフトで遊んでもらわなければ業界が成り立たない。そういう意味で、ぼくはゲーム業界にとっては上客ではない、というか金にならない客だ。まあゴミのような客である。しかし、Switchも、PS5も売れすぎて品薄になっているくらいなので、ぼくが買わなくても業界は大丈夫である。

以上のような、マンガやゲームに対する「ゴミ客的なスタンス」を他の分野にも広げていこうと思う。エンターテイメント業界全体に対してゴミ客化し、新しい動きを追うのを止める。たくさんの人がこういうことをすれば各業界は困るわけだけど、そんなヘンな奴はぼくひとりなので大丈夫だ。そうやって時間を捻出することに決めた。

たとえば、映画はスキなほうだけど、今年の話題作だとか、オスカー受賞作だとか、世間で流行っているものを追いかけるのは止める。

映画業界にとって新作は大事だし、業界を元気にしようと思えば積極的に新しいものを応援しなければならないが、「鬼滅」がこれだけヒットしているのだからぼくがあわてなくても大丈夫だ。ぼくはゴミ客としてたまにアマゾンプライムで白黒映画でも見ることにする。

また、ぼくは音楽も好きだけど、よく聴くのはむかしのジャズである。これまでは、「新しい音楽にも接しなければならない」と思って義務的にいろいろ調べたり聞いたりしてきたけど、そういうのは止める。

音楽業界としては、ニューアルバムを買ってもらったり、コンサートに来てもらわなければ困るのだろうが、僕一人くらい抜けても大丈夫である。もともと大した客ではなかったけど、これからは一層のゴミ客をめざず。

というわけで、エンターテイメント業界の新たな動向を追っかけたり応援したりするのを止めて時間を作ろうと思っている。

こういうことをしていると、時代に遅れるかもしれないし、アタマが硬くなるかもしれないけど、それはもう仕方がない。あきらめる。

ただし、新しい情報をまったくシャットアウトするわけではない。むしろ逆だ。

国内外の政治・社会・経済のうごきや、環境問題や、テクノロジーや、さまざまな学問や思想など、ぼくらがいまどういう未来へ向かっているのかをさぐるために必要な情報は、エンタメで削った時間を投入して、これまで以上に熱心に仕入れていく。

そういう作業に疲れたら、『めぞん一刻』を読み、DSで遊び、白黒映画を観て、50年代のジャズを聴こうと思う。

来年はとりあえずこれで行くつもり。うまくいくかどうかわからないけど、とりあえずやってみるということで「ゴミ客宣言」でした~。

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