マガジンのカバー画像

歌詞和訳

40
運営しているクリエイター

#JAZZVOCAL

思いやりを、少しでも 〜 try a little tenderness 〜

思いやりを、少しでも 〜 try a little tenderness 〜

Otis Redding のソウルフルな歌唱で知られるこの曲、私はてっきり、彼 Otis がオリジナルだと思っていました。が、ある時 Sinatra のヴァース(言わば "語り")付きのバラード•ヴァージョンを聴いてびっくり。Otis を遡ること20年前、1946年の Sinatra のデビューアルバムでも、この "Try a little tenderness" は歌われていたのでした。最初の楽

もっとみる

この愛売ります 〜 love for sale 〜

これもまたあのコール・ポーターが、1930年に初演されたブロードウエイ・ミュージカルのために書いた曲。タイトルからして、あまり好きな歌ではありませんでした。だって、ねぇ。そもそも、売ったり買ったりするようなものじゃ無いじゃないですか、愛って。それを "love for sale" だなんて。実際この曲は、公序良俗に反するとのことで、放送禁止になったりもしたそうです。ですが、だからこそ面白いとも言え

もっとみる

さびしんぼうの女の子 〜 little girl blue

私がとても若かったころ、世界が私より若かったころ 
世界は 回転木馬みたいに楽しくて
サーカスのテントは 空いっぱいの星たちに吊られて
くぐり輪の上に そこは私の大好きな場所

でもそんな世界は もうすっかり古びてしまって
ピカピカもきらきらも どこかへ行ってしまった

そこへ座って 指折り数えて
「私に 何ができるんだろう?」って
もう若くはない女の子 これで終わり 
そこへ座って 小さな指を 

もっとみる
昼も夜も 〜 night and day 〜

昼も夜も 〜 night and day 〜

朝ドラにこんなにハマったのは初めてです。そもそも朝ドラをみる習慣も無かったのに、実家に帰省したとき、居間でつきっぱなしのNHKをみるともなくみていて(あら、オダギリジョーと深津ちゃんが!)と思ったのがきっかけ。カムカムエヴリバディ。ふたりの娘であるひなたちゃんは、私よりほんのちょっぴりお姉さん。私も子どもの頃プラスチックの刀を持っていたし(← モモケン❤︎)ドーナツ盤の『およげ!たいやきくん』を聴

もっとみる

水玉模様と月のひかり 〜 polka dots and moonbeams

久しぶりに書いてみます。先日、おそらく通りすがりの方から、過去記事に思いがけずポチっと "❤︎" を頂き、嬉しかったこともあって。

私がスタンダードナンバーを好きな理由のひとつに、多くは8×4=32小節のワンコーラスの中に "ちいさな物語の断片が綴じ込まれている" ことが挙げられます。バラード "Polka dots and moonbeams" もそんな曲のひとつ。"A-A-B-A" のシンプ

もっとみる
なんて素晴らしいんだろうこの世界は 〜 what a wonderful world 〜

なんて素晴らしいんだろうこの世界は 〜 what a wonderful world 〜

素敵な姉妹が切り盛りするそのケーキ屋さんには、いつも Stacey Kent のやさしい歌声が流れていて。甘いケーキと共に、今日はこの曲が私に沁み込んできた。

たぶん誰もが聴いたことのある、いかにも善良な美しい世界を描き、ぬくもりを感じさせるこの曲。しかし私はこの曲を、故 Robin Williams が主演した87年の映画『Good Morning, Vietnam』の挿入歌として聴いたとき、

もっとみる
あなたを想うとゾクゾクするの 〜 i've got you under my skin 〜

あなたを想うとゾクゾクするの 〜 i've got you under my skin 〜

昨夜遅く湯船に浸かって、リアルでは聴き逃した DJ Akko さんのインスタライブをアーカイブで聴いていて、流れてきたのがこの曲でした。(わー!ナニコレ?好き〜!!)歌っているのは、70年代のディスコ・クイーン Gloria Gaynor。言わずと知れた Cole Porter の名曲ジャズ・スタンダードの、funk/soul いやむしろ、disco アレンジです。私には見えました。キラキラと七色

もっとみる

恋人のように 〜 like a lover 〜

原曲はポルトガル語で書かれた "O Cantador"。ブラジル人ミュージシャン、Dori Caymmi が作曲し、ギター演奏し歌ってもいる曲です。英語詞でも大変愛されている曲 "Like a lover" ですが、ポルトガル語の訳詞ではなく、まったく違う詞がつけられています。私はこの曲を英語詞で最初に知り、英語詞を通して好きになりました。オリジナルと異なるとはいえ、恐らくまずは北米へ向けて編まれ

もっとみる
愛した彼女のためにグラスを(そして、道のりのためにも)〜 one for my baby (and one more for the road)

愛した彼女のためにグラスを(そして、道のりのためにも)〜 one for my baby (and one more for the road)

私の "Lifetime Best Movie" は 1982年に日本でロードショー公開された『Blade Runner/ブレードランナー』。当時、中学生だった私は、このSF映画から強烈な衝撃を受け、以来ずっと "私の一本" であり続けています。それから35年という年月を経て、2017年に続編の『Blade Runner 2049/ブレードランナー2049』が公開されたことはご承知の通り。もちろん

もっとみる

絵葉書愛好家たち 〜 postcard lovers 〜

"サウンド" と "意味" とが一体となってスッと身体に沁み込んできて、一瞬で心を掴まれる…『歌』の素敵さって、まさにそんなところにあるように感じます。

そんな、Stacey Kent の曲をもう一つ。これも、作詞はカズオ・イシグロ、作曲は Stacey のパートナーでもあるサックス奏者のJim Tomlinson。離れた場所にいる恋人たちについてのこの曲、やさしくて、愛らしくて、ホロリと切なく

もっとみる

また旅に行けたらいいのに 〜 i wish i could go travelling again

(歌詞タイトルの "travelling" は英国スペル)

さいきん通うようになった素敵なケーキ屋さんでは、いつも BGM に女性ジャズ・ボーカルが流れていて、そのことがきっかけでお店の方とお話しするようになって。接客を担当なさるお姉さん(パティシェは妹さん)が「大好き!」と仰る Stacey Kent を改めて聴きなおしていたら、この曲と出会いました。

2009年にグラミーの Best Ja

もっとみる

"I loves you, Porgy" from the opera "Porgy and Bess"

"I loves you, Porgy" ー この曲と初めて出会ったのはピアノの演奏で、なんと美しいメロディだろうと思い調べてみたら、ガーシュウィンの歌劇(ミュージカルではなく、"オペラ" と位置付けられている)『ポーギーとベス』からの曲だった。つまり、もともと詞があって、歌うことを前提に書かれた楽曲であると知った。さっそく歌詞を読んでみて、ラブ・ソングであることは間違いないけれど、内容が良くわか

もっとみる

しずかな涙の奥で 〜 inside a silent tear 〜

先日の投稿で Blossom Dearie の歌を紹介しました。彼女の声は、甘くて少女のようで、ちょっと癖になってしまいそうな魅力があります。そんな彼女には、ピアニストあるいは作曲家としての作品もあり、リリースされていることを最近になって知りました。

しずかに、淡々として、さして大きな盛り上がりもなくエンディングへと流れていくようなこの曲『Inside a silent tear』。自身が作曲者

もっとみる

またいつかね。 〜 some other time 〜

私が初めてこの曲を聴いたのは、Bill Evans のピアノトリオで。やさしく静かで、美しくて。この曲、Leonard Bernstein がブロードウェイ・ミュージカル『On the Town』のために書き下ろしたもの。だからもともと歌詞がついている、そのことを後になって知りました。詞の世界もとても素敵なんです。どうぞ、曲と共に味わってください。

Bill Evans のピアノ伴奏で、スウェー

もっとみる