yuki tada

偏愛から博愛へと進化中。歌ったり踊ったり。愛でたり旅したり。 https://yuki…

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偏愛から博愛へと進化中。歌ったり踊ったり。愛でたり旅したり。 https://yukitada.space/

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最近の記事

青きしあわせ すむところ 〜 my blue heaven (邦題: 私の青空) 〜

私のファミリー•ヒストリーにおいていちばん大切なこの曲について、まだ書いていませんでした。あまりにもシンプルでストレートな歌詞だから、あえて書くまでもないかと思っていたけれど、いや、シンプルでストレートだからこそ大切で、書いておくべきことなのかもしれません。 「私の青空」は、うちの父がよく歌っていた曲です。親戚の集まりなんかがあって、少しお酒も入って、さあ盛り上がりましょう、では一曲、と。いわば、父の持ち歌です。朝ドラの「虎に翼」で寅ちゃんが事あるごとに「うちのパパ」を歌う

    • ムーンリバー 〜 moon river 〜

      ヘンリー•マンシーニが作曲し、映画『ティファニーで朝食を(1961年)』のなかで主演のオードリー•ヘプバーンが歌ったこの曲 "moon river"。ジョニー•マーサーによる詞はとてもシンプルで、どこか謎めいています。きっと、そこがいいのです。 以下、【超•ゆき訳】です。 ムーンリバー それは広く遠く いつかきっと 素敵に渡ってゆきたい 夢をみて こころ破れて それでも なお そこへ たどりつきたい さすらいびとがふたり 旅立った 知りたいことでいっぱいの 世界へと

      • 月の下へ出ておいで 〜 get out and get under the moon 〜

        1928年にリリースされた "get out and get under the moon"、日本では「月光値千金」という漢文調のタイトルで良く知られています。アメリカでの発表年にはもう日本語詞が付いていたというし、ちょっと調べただけで4つや5つの異なる日本語詞の音源が見つかるから、当初から、日本でもいかにこの曲が愛されていたか、そして日本の歌謡曲が、いかにアメリカのポピュラーソングの影響を受けているか、うかがい知ることができます。アメリカ生まれの「月光値千金」が、違和感なく

        • ありがとう!わたしがいま、ここに在ることに! 〜 "Allelujah" by Fairground Attraction 〜

          1988年のメジャーデビューから、わずか3年ほどで解散した英国のアコースティックバンド Fairground Attraction。30年超ぶりに再結成して、来日公演も実現したと知り、改めて、当時のアルバム "The first of a million kisses" を聴いた。バンド名が•アルバムタイトルが•詞のフレーズが、縦横にタペストリーのように絡みあう、ここにひとつに完結した世界観… 当時、たった一枚で終わることになったこのアルバム、いやもう、これがその全て… 改め

        青きしあわせ すむところ 〜 my blue heaven (邦題: 私の青空) 〜

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        • 歌詞和訳
          46本
        • 週いち着物
          1本
        • 歌ってます
          6本
        • 読後所感
          2本
        • 映画所感
          1本

        記事

          星屑のメロディ 〜 Stardust 〜

          思えば、私が初めて自分で買ったジャズ•ボーカルのアルバムは、ナット•キング•コールのベスト盤でした。元々はピアニストで、けれどむしろ歌手としての方がよく知られていて。彼のシルキーでヴェルヴェティな歌声は、誰もが癒しを感じる温かさに満ちています。 あまりにも有名なジャズ•スタンダードの名曲 ”Stardust”… ミッチェル•パリッシュの歌詞、改めて(いいなぁ…)と思い、私なりの訳を付してみました。美しいバラードだけれど、実は、なかなかに切ない世界観です。そして "Stard

          星屑のメロディ 〜 Stardust 〜

          月光の恋歌 〜 Moonlight Serenade
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          ハハの好きな映画は『グレン•ミラー物語(1954年)』だと聞いたことがあります。私も確か10代の頃に、高松の映画館のリバイバル上映でこの映画を観ました。大抵の映画が二本立てだった頃のお話です。グレン•ミラー役を演じた俳優ジェームズ•スチュアートがハハのお気に入り。スラリと長身の、やさしげで、どこか飄々とした風貌… 私も、彼のファンになりました。いい映画なんです。グレン•ミラーの音楽が素晴らしい、のみならず、素敵な夫婦愛の、そして、やがて切ないストーリーです。 ハハと私は、案

          月光の恋歌 〜 Moonlight Serenade
〜

          思いやりを、少しでも 〜 try a little tenderness 〜

          Otis Redding のソウルフルな歌唱で知られるこの曲、私はてっきり、彼 Otis がオリジナルだと思っていました。が、ある時 Sinatra のヴァース(言わば "語り")付きのバラード•ヴァージョンを聴いてびっくり。Otis を遡ること20年前、1946年の Sinatra のデビューアルバムでも、この "Try a little tenderness" は歌われていたのでした。最初の楽曲リリースは1933年。様々な歌手にカバーされているこの曲ですが、Otis 前後

          思いやりを、少しでも 〜 try a little tenderness 〜

          いま両側から見つめていること(邦題『青春の光と影』) 〜 "Both Sides Now" by Joni Mitchell 

          Grammy Awards 2024 のショート動画が SNS で流れてきて、大きなソファに座って歌う Joni Mitchell の姿をしばらく無音のままで眺めていたら、Joni の背後でピアノを弾く Jacob Collier 君らしき姿が見えて、驚いて動画を観かえした。 Joni は アルバム "Joni Mitchell at Newport Live" でフォーク•アルバム賞を受賞したのだった。現在80歳。闘病中でもある。この日(そして受賞したライブ•アルバムの中

          いま両側から見つめていること(邦題『青春の光と影』) 〜 "Both Sides Now" by Joni Mitchell 

          ささやかな憂鬱くん 〜 "little blue" by jacob collier 〜

          今朝目を覚ましたら、jacobくんの新作 "little blue" の MV がリリースされていました。彼のサウンドはもちろんのこと、歌詞も動画の世界観もとても素敵で、やさしくて、包み込むような愛に溢れていて。 "little blue" の歌詞は、2d animation と併せて、Marie Lavis さんという方の作のようです。最近は、音楽視聴はほとんどが配信だったりサブスクだったりで、外国語の歌詞和訳や解説をライナーノーツで知る機会がごく少なくなっていますよね。

          ささやかな憂鬱くん 〜 "little blue" by jacob collier 〜

          Change the World 〜 でもあえて、クラプトンではなく 〜

          Babyface がプロデュースして Eric Clapton が歌った "Change the World" は96年のリリース。日本でも大ヒットして、今でも人気の曲です。私も大好き。特に、Babyface らしさが際立つ、中盤のコーラスワークとベースラインなんて、たまりません! この曲の歌詞を味わっていて、ハッと気付きました。"Star" "Sun(light)" "King" "Queen" "Fool" "Love(rs)" そして "World" …この曲に出て

          Change the World 〜 でもあえて、クラプトンではなく 〜

          残りの人生をあなたはどうやって生きていくの? 〜 what are you doing the rest of your life? 〜

          ミシェル•ルグランが作曲し、映画の劇中歌として歌われ、ジャズ•スタンダードにもなっているこの美しい曲、邦題は『これからの人生』となっていますが、私は敢えて逐語的に "…残りの人生を…" と訳したくて。ひとの一生は、長いように見えて、過ぎ去ってしまえばほんとうに短い… それを感じるいまだから("残り" をどうやって生きるか? 誰と共に過ごすのか?)を自分自身に問いかけながら、私も歌います。 短調/マイナーの曲ですが、猛烈な本気のラブソングです。残りの人生すべてを賭ける、全世界

          残りの人生をあなたはどうやって生きていくの? 〜 what are you doing the rest of your life? 〜

          ハハとむすめたちと着物

          ハハよ…。よくもまあこんなにバランス良く、むすめふたりに着物を準備してくれていたものだと思う。着物の種類、TPOとしての “格” や産地や、とにかく着物について知れば知るほど、手が出せる範囲でそれなりのものを、まんべんなく、いざという時に困らないように、バランス良く揃えてくれていたものだと感心する。例えばこのあいだ(雨が降りそう、どうしよう…)と思い、折り畳んでカバンに入れられる軽い簡便な着物用雨コートを慌てて買ったのだけれど、実家へ帰ったときに改めて箪笥を検分したら、大島紬

          ハハとむすめたちと着物

          もう恋なんてしないつもり 〜 i'll never fall in love again 〜

          (あゝかわいい!)としか言いようがないこの曲『I'll never fall in love again』も、バート・バカラックとハル・デヴィッドの共作。まだ幼い女の子同士の、恋バナの情景が思い浮かびます。失恋経験も含め、ちょっとだけ恋愛経験でリードした女の子が、恋の真っ只中にいる友だちに「恋なんて!」と忠告している… けれど結局のところ、明日になったらまた恋しちゃうかもしれないことを白状してしまっている… そんな、あどけないかわいらしさ。 (それにしても <男の子とキスし

          もう恋なんてしないつもり 〜 i'll never fall in love again 〜

          雨つぶが あたまのうえに ずっと降ってて 〜 raindrops keep fallin' on my head 〜

          今年2月に世を去った音楽家バート・バカラックと、作詞家のハル・デヴィッドが共作した数々の名曲のなかでも、最も有名なのがこの『Raindrops keep fallin' on my head』かもしれません。 1969年の映画「明日に向かって撃て」の挿入歌として大ヒットしました。 曲はもとより、その歌詞を味わえば味わうほどに(あゝなんていい曲なんだろう)と感じ入り、《超•ゆき訳》を付してみました。 この歌詞のなかで一番重要なのは、雨が、僕のあたまのうえに降り続けている、と

          雨つぶが あたまのうえに ずっと降ってて 〜 raindrops keep fallin' on my head 〜

          クリスマスのうた 〜 the christmas song 〜

          街のあちこちでクリスマスの飾り付けを目にする季節になりました。私は冬生まれということもあって、この季節はワクワクと心踊り、と同時に、胸をキュンと締めつけられるような、郷愁にかられるシーズンでもあります。 クリスマスの歌はどれもこれも素敵ですが、なかでも、素晴らしいジャズシンガー Mel Tormé が書いた "The Christmas Song" は、私の中で三本の指に入る best of the best christmas songs です。 美しく展開するメロディ

          クリスマスのうた 〜 the christmas song 〜

          ただ二人だけで 〜 just the two of us (あるいは『クリスタルの恋人たち』) 〜

          言わずと知れた soul/R&B の名曲(どころか "世界遺産" と呼ぶひともいる) "just the two of us"。ワケあって(そのワケは、いずれ)いまこの曲が脳内ヘヴィロテしていて、歌詞を日本語訳してみようと思いたち。 Bill Withers が歌うヒット曲は、"lovely day" 然り "lean on me" 然り、柔らかく優しく思いやりのある曲が多いですよね。決して楽な人生を歩んできたわけではないはずの Bill Withers(2020年没) の

          ただ二人だけで 〜 just the two of us (あるいは『クリスタルの恋人たち』) 〜