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旅のこと(ベトナム以外)

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今あるのは、トルコ、ウガンダ、マダガスカル、カメルーン、ドイツ、フィンランド、イギリス、京都あたり。
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#わたしの旅行記

トルコ、スウェーデンから海士町まで、人生に残る10の海辺ーーいつか海の見える街で

トルコ、スウェーデンから海士町まで、人生に残る10の海辺ーーいつか海の見える街で

師走の慌しさの狭間に、同僚たちと集まった半日の休み。

曇り空、立ち寄った葉山美術館の先に、海が見えた。

少し久しぶりの海だからだろうか。最近ばたばたしていたからだろうか。わぁと心が開いて、駆け出したくなるような気持ちになった。

一番若いマイペースな同僚を先頭に、美術館より先に海を見に行った。とりとめのない話をしながら。

いい海で、いい時間だった。

海を前にすると、心が動きやすくなる気がす

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おしゃべりな引越し屋さん──フィリピンのアナコンダ、本気の缶切りとインドの野良犬

おしゃべりな引越し屋さん──フィリピンのアナコンダ、本気の缶切りとインドの野良犬

「お宅の近くにいるはずなんですけど、建物が見つからなくて……」

そう電話を受けて、家の前の道にでると、スーツ姿の白髪の男性が、家の反対方向に向かって歩いていた。

「あ、後ろです」

「あぁ、そっちでしたか、いやいや、すみません」

「いえ、このあたり、わかりにくいですよね」

引越しの下見。てっきり引越し屋さんスタイルの若い人が来るのかと思っていた。

海外引越しの下見はベテランの仕事なのだろ

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アフリカ、ヨーロッパから茅ヶ崎まで、人生に残る10の窓辺

アフリカ、ヨーロッパから茅ヶ崎まで、人生に残る10の窓辺



1 マダガスカル・アンタナナリボ

絹織物業を営む穏やかな夫婦の家。人生で一番空と緑が鮮やかだった窓辺。

2 東京・岡本太郎美術館

「自分の中に毒を持て」。不思議な像と植物がまざる庭を見渡す窓辺。

3 オランダ・ユトレヒト

大好きな装丁家であり、ミッフィーの生みの親のデイック・ブルーナ。彼が暮らした街のデザイン性の高い窓辺。

4 イギリス・マンチェスター

さすがUKロックの聖地、窓

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大人の確信と、ミコノス島──2人の小説家志望の人に会って、村上春樹のエッセイを読み返した話

大人の確信と、ミコノス島──2人の小説家志望の人に会って、村上春樹のエッセイを読み返した話

どういうわけか、今週は本気で小説家をめざしている人に、2人も会った。

週末のコーヒー屋と、平日朝のコワーキングスペース。別々の場所の関係のない2人だ。これまでもそういう人に会ったことがないわけではないけれど、今週の2人はレベルが違う。かなり本気だ。

今の時代、小説家になるには、SNSで先にバズるか、賞をとるからしい。自分の書きたいものを書きたいからと、2人とも作品を書き上げ、賞に応募しているの

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居心地のよい、居心地わるさ──京都の銭湯⇄トルコのハマムにて

居心地のよい、居心地わるさ──京都の銭湯⇄トルコのハマムにて

銭湯にはよく行くけれど、番台が残っているところは、はじめてだった。

男女別々の入口をはいると、すぐ脱衣所。縦長の空間で、おばあさんが、服をゆっくりと着ている。

男女の脱衣所の境にある、番台の真ん中にぺろりと垂れた布越しに、男湯からおじさんの手がでてきて、ぎょっとする。

「450円です」

なんだか心許ないけれど、番台とはおそらくこういうものなのだ。

バスタオルはレンタルしようと思っていたけ

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誰かと月を見ること──高円寺の天窓とケニアの海辺から

誰かと月を見ること──高円寺の天窓とケニアの海辺から

「あ、月がきれいですよ」

午後10時。コワーキングスペースから帰ろうとすると、そう声をかけられた。

「え、どこですか?」

「そこです。あれ、そっちからは見えないのかな」

指をさす先には、真っ暗な空しか見えない。扉の前から引き返して、彼女のうしろにまわる。私より少し背の低い彼女の目線を追うと、天窓の先に、真ん丸の月が光っていた。

「あ、見えた! いい月!」

「え、どこどこ」

少し離れた

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ヨーロッパでAirbnb泊をする3つの理由

ヨーロッパでAirbnb泊をする3つの理由

3年ほど前からヨーロッパに行くときは、もっぱらAirbnbです。

ホテルより安いというのももちろんあるけど、それ以上にたくさん魅力があるのです。

1. 家主の個性がでるインテリアが楽しいいつも楽しみにしているのが、泊まるお家のインテリア。

たとえば、ロンドンで行ったのは、ちょっとレトロなアパートメントでした。

テーブルは古いスーツケース。タンスの上には、骨董市で買ったという藁でつくった

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