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書きたい気持ち

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書きたいように書いたちょっとした小説を まとめていきます。
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心地好い風

心地好い風

著:ユキヒロ

僕は誰かにとって心地好い風でありたい

春に吹く柔らかい風のように

夏に吹く涼しい風のように

秋に吹く少し切ない風のように

冬に吹く透き通った風のように

心地好い風でありたい

誰かが新しいことを始めるとき

僕が居ることで心地好い風を感じたときのように少しリラックスできるような

誰かが楽しい時間を過ごすとき

僕が居ることで心地好い風がその場を少しでも心地好い場所にでき

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もしね

もしね

もし、もしね

誰かに怒りを向けられたり

ものすごくショックな出来事があったりして

ふとした日常で

マイナスに引き込まれそうになったとして

自分はここにいていいのかな?

自分は何をしているんだろう?

生きていてすいません

なんて思ってしまうときがあったとしたら

どうかお願い

その時、その空間が

自分の全てじゃないことを思い出して

誰かがあなたを傷つけたり

誰かがあなたを否定

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飲み込んだ言葉

飲み込んだ言葉

元気を出して

そう伝えたくてたまらないのに

どんな言葉で伝えるのって

臆病なこころが邪魔をした

環境がかわって

本当にやりたいことができなくて

我慢して

我慢して

どんなに楽しくても

どんなに明るくても

表現できない感情が

ふとした瞬間に襲ってくる

そんな日々がわかるんだ

言わなくてもわかるんだ

うん

言えないことこもわかるんだ

だから僕は

その強がりをそっと支え

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恋ごころ

恋ごころ

夢をみた

声しか知らないあの人と

笑って

泣いて

切ないくらい恋をして

幸せになる

そんな夢をみた

朝起きて

ベッドから起き上がり

歯を磨き

もう掴めない夢を思い出す

あぁ好きなんだ

鏡の中の自分を見つめながら

そんな夢に教えられるように気づく

ありえないくらい小さな

恋心

おしまい

愛なんて知らないけれど

愛なんて知らないけれど

愛なんて言葉を。

辞書で調べたことなんて一度もないけれど。

この想いが愛ならいいなって思うんだ。

君が落ち込んでいるのなら。

君を笑わせるために僕はどこにだって行くよ。

君が悩んでいるのなら。

僕はいつだって君の話を聞きにいくよ。

君がとても幸せなら。

それより嬉しいことなんてこの世にないんだ。

僕が世界を平和にできないとしても。

僕が君を幸せにできないとしても。

君が幸せで

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夏の怪談 嘘つき

夏の怪談 嘘つき

▲音声版です。

私は怪談師というものをやっております。

怪談とは不思議なもので、怖さだけを追い求めてもだめなんですね。
それでは人の興味を引くことは出来ない。
興味を引かせるためにはやはり話術が必要になってくる、怖さだけを追い求めてしまうと痛い目にあう。

ましてやそれに欲が絡んでくるとまぁー大変だ。
今日お話するのは、そういった類いの話です。

去年の夏頃のことです。
私はとある怪談LIVE

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夏の怪談 BBQ

夏の怪談 BBQ

著:ユキヒロ

雰囲気を出すために、音楽を聴きながらというのは如何でしょうか?

ではでは、はじまりはじまり。

これは、居酒屋で偶然仲良くなった男性から聞いた話です。
怪談でよくあるように、その男性をAさんとします。書きやすいですからね。

Aさんは少し特殊な仕事をされている方でした。
身寄りのない人が亡くなった際に、その人が住んでいた家や部屋を綺麗に掃除するという仕事です。
その仕事がない時は

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梅雨のはなし 著:ユキヒロ

梅雨のはなし 著:ユキヒロ

6月5日 雨ときどき曇り。

近所にある喫茶店の中から私は窓を見つめている。
窓をつたって下へ落ちていく雨の雫を目で追いながら、私の意識は別の場所にある。

梅雨。
私はどちらかと言えば梅雨は嫌いなほうだ。
けど、そんな梅雨にも憎めない部分がある。

雨が降った後に架かる虹。
水色や紫色の紫陽花。
傘から聴こえる雨音。
雨が降る前の匂い。
そして雨が降り止んだ後の匂い。

どんなに嫌っても、梅雨は

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記憶の旅のはて 著:ユキヒロ

記憶の旅のはて 著:ユキヒロ

ガタンゴトン。ガタンゴトン。

私の名前はわかりません。
気付けばこの列車に乗っていました。
どうやらここは宇宙のどこかのようです。
窓の外には暗闇が広がり、遠くを見つめると無数の星たちが煌めいています。
「ふぅー」
窓の冊子に肘をついて、手のひらに顔を乗せながら深いため息をつきました。
私にはどうやら記憶がないようです。
それにしては心が落ちついています。
しばらくの間、ぼーっと窓の外を眺めるこ

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少年と月 著:ユキヒロ

少年と月 著:ユキヒロ

分厚い雲で覆われている灰色の夜空を見上げながら、少年は問いかけました。
「ねぇ、今日はどこへ行ってしまったの?」

この街には年の暮れになると長い長い雨季が訪れます。
それまでの晴れ続きが嘘のように雨の日が続くのです。
少年の名はハミルといいます。
ハミルはひとつ前の雨季が過ぎ去ってからこの街で暮らしはじめたため、雨季を経験するのは初めてでした。

ハミルが探しているのは夜空に浮かぶ1つの月です。

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