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レポート:パーパスとマスターピース(最高傑作)を巡る旅路

今回は、MAP U株式会社代表・杉本匡章さん(マサキさん)による、ギリシャで体験したワークショップを振り返るトークイベントに伺った際のまとめです。

当日は、特定非営利活動法人場とつながりラボhome's vi嘉村賢州さんNatural Organizations Lab株式会社吉原史郎さんがゲストに迎えられ、ティール組織や近年国内で広まりつつあるソース原理(Source Principle)といったテーマと重ねながら、ギリシャでの体験やそれを経ての気づきなどがシェアされる会となりました。

3名がギリシャに赴くきっかけとなったのは、2023年6月に開催されたJ.Creationというプログラムです。

本プログラムは、ソース原理の提唱者であるピーター・カーニック氏(Peter Koenig)、彼の協働パートナーであるアレクサンダー・インチボルト氏(Alexander Inchbald)と、賢州さん、史郎さんの4名がコーチとして参加しており、かねてからアレクサンダーと交流のあった宇敷珠美さんが主導して実現されたものです。

今回のトークイベントの主催者である杉本匡章さん(マサキさん)は、アレクサンダーのその人となりや、彼のキーワードである「レインメーカー(rain maker)」にとてもシンパシーを感じていたとのことで、『これは何かあるぞ』と参加を決められ、実際にプログラム内で深い内省を通じて人生のパーパスを再発見されたとのことでした。

また、このプログラム以来、マサキさんはアレクサンダー・インチボルト氏(Alexander Inchbald)が主催するマスターピース活動(人生において各人が自分の「最高傑作」を世の中に残す支援をする活動)の「 #Masterpiece 」のサブソース、日本におけるマスターピース活動「J.Masterpiece」のソースとして活動していくことを決め、今回のトークイベントもその#MasterpieceおよびJ.Masterpieceの活動として位置付けられています。


今回のトークイベントの背景

今回のトークイベントには、キーパーソンであるアレクサンダー・インチボルト氏(Alexander Inchbald)とはどういった人か?をご紹介する前に、さらにいくつかの前提となる情報が含まれています。

以下、関連するトピックについて簡単に紹介した後、トークイベントでの内容に進んでいきたいと思います。

ティール組織(Reinventing Organizations)

『ティール組織』は原題を『Reinventing Organizatins(組織の再発明)』と言い、2014年にフレデリック・ラルー氏(Frederic Laloux)によって紹介された組織運営、経営に関する新たなコンセプトです。

書籍内においては、人類がこれまで辿ってきた進化の道筋とその過程で生まれてきた組織形態の説明と、現在、世界で現れつつある新しい組織形態『ティール組織』のエッセンスが3つのブレイクスルーとして紹介されています。

フレデリック・ラルー氏は世界中のユニークな企業の取り組みに関する調査を行うことよって、それらの組織に共通する先進的な企業のあり方・特徴を発見しました。それが、以下の3つです。

全体性(Wholeness)
自主経営(Self-management
存在目的(Evolutionary Purpose)

この3つをラルー氏は、現在、世界に現れつつある新たな組織運営のあり方に至るブレイクスルーであり、『ティール組織』と見ることができる組織の特徴として紹介しました。

国内におけるティール組織に関する調査・探求は、2016年に開催された『NEXT-STAGE WORLD: AN INTERNATIONAL GATHERING OF ORGANIZATION RE-INVENTORS』に遡ります。

ギリシャのロードス島で開催されたこの国際カンファレンスに日本人としていち早く参加していた嘉村賢州さん、吉原史郎さんの両名は、東京、京都で報告会を開催し、組織運営に関する新たな世界観である『Teal組織』について紹介しました。

その後、2018年に出版されたフレデリック・ラルー『ティール組織』は10万部を超えるベストセラーとなり、日本の人事部「HRアワード2018」では経営者賞を受賞しました。

2019年には著者来日イベントも開催された他、『ティール組織』の国内への浸透はその後、ビジネス・経営における『パーパス』『パーパス経営』などのムーブメントの隆盛にも繋がりました。

フレデリック・ラルー氏は、書籍以外ではYouTubeの動画シリーズを公開しており、書籍で伝わりづらかった記述や現場での実践について紹介しています。

パーパス(Purpose)

フレデリック・ラルー著『ティール組織』において『存在目的』と訳された『Evolutionary Purpose』は、先述のようにティール的段階にある組織における特徴の1つとして挙げられています。

また、この『Evolutionary Purpose』についての源流を遡ると、フレデリック・ラルー氏はHolacracyOne社のブライアン・ロバートソン氏に着想を得たと言います。

そして、そのブライアン・ロバートソン氏はパーパスに関して、以下のようにその質感を表現しています。

どの組織にも、この世界で他の誰よりも発揮し続けることができるような、ポテンシャルやクリエイティブな能力がある。それは、歴史、社員、リソース、創業者、ブランド、資本、つながりなど、組織が活用できるあらゆるものによって実現できることだ。

それが、私が「パーパス」という言葉に込めたもの、いわゆる存在理由だ。

[新訳]HOLACRACY(ホラクラシー) 人と組織の創造性がめぐりだすチームデザインp66

探しているものはすでに存在していて、見つかるのを待っている。子供の人生の目的と同じで、組織のパーパスとは決定される類いのものではないのだ。ただこう自問すればいい。

「この会社が現在置かれている状況や、手元にあるリソースと人材とキャパシティ、提供する製品やサービス、会社の歴史、市場空間などの要素に基づいて、世界のために何かを創り出したり表明したりできるような、この会社が持つ最も深いポテンシャルは何だろう?なぜ世界はそれを必要としているのだろう?」

[新訳]HOLACRACY(ホラクラシー) 人と組織の創造性がめぐりだすチームデザインp67

そして、パーパスとホラクラシー(HolacracyOneが生み出した組織運営法)との関連については、ブライアンは以下のように述べています。

権限分配型のモデルに移行するにつれて、パーパスはあらゆるレベル、あらゆる活動分野において意思決定の拠り所となる。

[新訳]HOLACRACY(ホラクラシー) 人と組織の創造性がめぐりだすチームデザインp68

ホラクラシーの真の狙いは、組織がそのパーパスをよりよく実現できるようにすることにある。

[新訳]HOLACRACY(ホラクラシー) 人と組織の創造性がめぐりだすチームデザインp68

このように捉えてみると、組織のパーパスがなぜEvolutionaryなのか、その変化していくものである、という質感もより具体的に捉えやすくなるように感じます。

また、トークイベント当日では組織のパーパスだけではなく、個人のパーパスについても言及されていました。

ソース原理(Source Principle)

ソース原理(Source Principle』とは、イギリス人経営コンサルタント、コーチであるピーター・カーニック氏(Peter Koenig)によって提唱された、人の創造性の源泉、創造性の源泉に伴う権威影響力創造的なコラボレーションに関する洞察を体系化した知見です。

不動産業界で成功したビジネスマンとしてキャリアを進んでいたピーター・カーニック氏は、クライアントたちとの交渉の中で相手側が不合理な判断・意思決定を行う場面を目にしてきたといいます。

このことをさらに突き詰めていくと、「お金と人の関係」がビジネスにおける成功、人生の充実に大きく影響していることに気づき、ピーターによる「お金と人の関係」の調査が始まりました。

その後、お金に対する価値観・投影ついて診断・介入できるシステムであるマネーワーク('moneywork')が体系化され、その過程でソースワーク(Source Work)が副産物的に生まれてきたとのことです。

マネーワーク('moneywork')は自身の内面を扱うインナーワークに比重が置かれており、ソースワーク(Source Work)はアイデアを実現するためのアウターワークに比重が置かれていると言います。

(ピーターの「お金と人の関係」の研究及びマネーワーク('moneywork')については、以下のインタビュー記事もご覧ください。)

日本においてのソース(Source)の概念の広がりは、『ティール組織(原題:Reinventing Otganizations)』著者のフレデリック・ラルー氏(Frederic Laloux)によって初めて組織、経営、リーダーシップの分野で紹介されたことが契機となっています。

2019年の来日時、『ティール組織』著者フレデリック・ラルー氏によって組織、経営、リーダーシップの分野で紹介されたことが契機となって初めて知られることとなったソース原理(Source Principle)。

フレデリック・ラルー氏もまた、ピーター・カーニック氏との出会い、彼からの学びを通じて、2016年出版のイラスト解説版『Reinventing Organizations』の注釈部分で記載している他、『新しい組織におけるリーダーの役割』と題した動画内で、このソース原理(Source Principle)について言及したということもあり、国内で注目が集まりつつありました。

その注目度の高さは、本邦初のソース原理に関する書籍の出版前、昨年8月にトム・ニクソン氏の来日が実現する、といったことからも見てとれます。(オンラインでのウェビナーの他、北海道・美瑛町、東京、京都三重屋久島など全国各地でトムを招いての催しが開催されました)

2022年10月、ピーター・カーニック氏に学んだトム・ニクソン氏(Tom Nixon)による『すべては1人から始まる―ビッグアイデアに向かって人と組織が動き出す「ソース原理」の力』が出版されて以降も、ソース原理(Source Principle)に関連したさまざまな取り組みが国内で展開されています。

今年4月にはソース原理提唱者であるピーター・カーニック氏の来日企画が実現し、システム思考・学習する組織の第一人者である小田理一郎さんや、インテグラル理論・成人発達理論の研究者である鈴木規夫さんとの対談、企画の参加者との交流が活発に行われました。

日本での流れに先立ち、ソース原理(Source Principle)が世界で初めて書籍化されたのは、2019年にステファンによる『A little red book about source』のフランス語版が出版された時でした。

その後、この『A little red book about source』は2020年に英訳出版され、2021年3月に『すべては1人から始まる』の原著であるトム・ニクソン著Work with Sourceが出版され、本書が『すべては1人から始まる』として日本語訳され、英治出版から出版されました。

『すべては1人から始まる』は日本の人事部「HRアワード2023」の入賞も果たし、ビジネスの領域においての注目も高まっていることが見て取れます。
このような背景と経緯の中、ソース原理(Source Principle)の知見は少しずつ世の中に広まりつつあります。

ソース(Source)

トム・ニクソン『Work with Source(邦題:すべては1人から始まる)』を参照すると、ソース(Source)とは、1人の個人が、傷つくかもしれないリスクを負いながら最初の一歩を踏み出し、アイデアの実現へ身を投じたとき、自然に生まれる役割を意味しています。

The role emerges naturally when the first individual takes the first vulnerable step to invest herself in the realisation of an idea.

Tom Nixon「Work with Source」p20

An individual who takes the initiative by taking a vulnerable risk to invest herself in the realisation of a vision.

Tom Nixon「Work with Source」p249

ステファンの書籍においては、この役割を担うことになった人について、特に「ソース・パーソン(source person)」と呼んでいます。

A source is a person who has taken an initiative and through that has become the source of something: we can call this a "source person".

Stefan Merckelbach「A little red book about source」p17
Stefan Merckelbach「A little red book about source」
Tom Nixon「Work with Source」

トム、ステファンの両者が著している様に、ソース(Source)は特別な人だけがなれる役割ではなく、誰もがソース(Source)である、というものです。

アイデアを実現するために一歩踏み出すことは、社会を変えるような大きなプロジェクトの立ち上げに限りません。

友人関係や恋人関係、夫婦関係などにも、誘ったり、告白したり、プロポーズしたりと主体的に関係を結ぼうと一歩踏み出したソース(Source)が存在し、時に主導的な役割が入れ替わりながらも関係を続けていく様子は、動的なイニシアチブと見ることができます。

さらに、自身の研究課題を決めること、就職を思い立つこと、ランチを作ること、休暇の予定を立てること、パートナーシップを築いていくこと等、日常生活の様々な場で誰しもが何かのソース(Source)として生きていることをトム、ステファンの両者は強調しており、日常生活全般にソース原理(Source Principle)の知見を活かしていくことができます。

This applies not only to the major initiatives that are our life’s work. Every day we start or join initiatives to meet our needs, big and small.[…]Whether it’s making a sandwich or transitioning to a zero-carbon economy, we start or join initiatives to realise ideas.

Tom Nixon「Work with Source」p30

We take initiatives all the time: deciding on a particular course of study, going after a certain job, starting up a business, planning a special dinner. I can initiate a friendship or partnership, change my housing situation, make holiday plans, decide to have a child. Or I might step forward to join a project sourced by someone else.

Stefan Merckelbach「A little red book about source」p17

ソースとサブソース(sub source)

ソース原理提唱者であるピーター・カーニック氏には、世界に何人ものサブソース、スペシフィックソースが存在します。

ソース原理においては、ソースが活動を始めると、サブソース(sub source)またはスペシフィック・ソース(specific source)という役割を担う人が現れます。

サブソース(sub source)またはスペシフィック・ソース(specific source)とは、あるソースのビジョンや価値観に共鳴し、あるソースの活動の特定の部分において、ソースへの深いリスペクトをしつつ、創造的に取り組むようになったパートナーと言える存在です。

現在、日本においてもソース原理に関しては複数名のサブソースが活動しており、『すべては一人から始まる』翻訳・監修を務めた青野英明さんは『マネーワーク』をはじめとするプログラムの提供を行なっている他、今回のゲストである吉原史郎さんもピーター・カーニック・システム・プラクティショナー(PKS)のプロセスを提供されています。

アレクサンダー・インチボルト氏(Alexander Inchbald)の創始した #Masterpiece活動に関して、マサキさんはサブソースであり、#Masterpieceという大きな枠組みの中で独自に「J.Masterpiece」を創始されたという点で、マサキさんは「J.Masterpiece」のソースである。そのような位置付けとなります。

アレクサンダー・インチボルト氏(Alexander Inchbald)

アレクサンダー・インチボルト氏は、ソース原理を自身の活動の中に取り入れながら活動しているエクストリーム・アーティストであり、創造と革新を専門としたリーダーシップ・コーチである人物です。

アレクサンダーもまた、ピーターの人生の目的である活動Create love in business等において彼のサブソース(sub source/specific source)として活動する傍ら、アレクサンダー自身が立ち上げたイニシアティブである #Masterpiece等においては、ピーターが逆に彼のサブソースとなる形で共同し、コラボレーションしています。

2020年以降、アレクサンダーはオンラインまたはリアルで日本と縁を持つようになり、一度は富士山の絵を描いたこともあるとのことです。

今年2023年3月には、彼の提唱する #Masterpiece について学ぶ招聘企画が『すべては1人から始まる』翻訳・監修のお一人である青野英明さん主催で実施されました。(その際のイベントについては、以下の記録もご覧ください)

当日のトークセッションから

以下、当日のトークセッションの中で扱われたテーマを抜粋して紹介します。

1時間という限られた時間の中ではありましたが、さまざまなテーマが扱われると同時に、一人ひとりの生き方・あり方についてメッセージが投げかけられるような、そんな時間となったように思います。

ギリシャを経ての変化を分かち合う

冒頭、お話しいただいたのはギリシャのプログラムに参加されていたというある女性の後日談からでした。

マサキさんから投げかけられたその方は、ギリシャのプログラムに訪れるまではエナジードリンクやコーヒーを常飲する食生活を送っていたものの、帰国後はそれらが美味しく感じられなくなり、水を飲みながら生活されているとのことです。さらに、以前までよりも自然体の自分で過ごすことができるようになり、心身ともに充実しているとのことでした。

それ以前はがむしゃらに頑張って自分の生き方を正当化、正しいんだと奮い立たせるように生き、エナジードリンクやコーヒーなどでエネルギーの前借りもしながら生きていたものが、自然体に、「自分の人生、心から愛してやまないことをやろうよ」と大きな変化が起こったとその方は仰います。

自身のパーパスを見つめることで、内面と繋がり、心身に自覚的になり、大切にしようという大きな変化が起こりうるという、そのような可能性を感じるエピソードのシェアからトークイベントは始まりました。

フレデリック・ラルー氏の語るパーパス

「存在目的」と訳されたEvolutionary Purposeについて、フレデリック・ラルー氏はどのように捉えているかについて、賢州さんからお話し頂きました。

まず、フレデリック・ラルー氏は個人のパーパスについて、書籍中では以下のように述べています。

個人の目的と組織の目的
個人の目的と組織の目的には、密接な関係がある。お互いに相手に成功してもらう必要がある。今日のほとんどの組織は、自己防衛と利益のことばかりを考え、社員が各自の使命を模索するための適切な環境をほとんど提供していない。(中略)これに対して、社員が働く仲間として組織の存在目的に耳を傾けるように求められると、社員の側も「自分が人生でなすべき使命は何だろうか」と考えるはずだ。 この会社の存在目的は私と共鳴するものだろうか?私はこの会社で働くことを自分の使命だと感じているか?私の人生において、今この瞬間に本当にそうすることが自分の使命だと感じる事はなんだろう?この職場はありのままの自分を出せるだろうか?ここで私は成長できるだろうか?

フレデリック・ラルー『ティール組織』p369-370

また、アイデアや創造性、パーパスそのものがある組織・ある対象者を見つけ、自らを表現する存在として選び、自身(アイデア、創造性、パーパスetc)を表現させようとしている・現れようとしているとも、ラルー氏はビデオシリーズの中でも語っています。

両極性を扱うこと・健全に問うこと

ティール組織を志向することに関連して、賢州さんは自身の経験も振り返りながら、男性性と女性性、PowerとLoveといった両極を扱うことについてお話しされていました。

ソース原理提唱者ピーター・カーニック氏が来日し、対面しながらセッションをしていた時のこと。

ピーターは賢州さんに、「君が本当に実現したいことや熱意が全然、伝わってこないよ」と話しながらワークの中で胸を突き飛ばし、「こんな初老の男性に突き飛ばされるようでは、君の本当に実現したいことも実現なんてできないよ」という一幕があったそうです。

賢州さん自身もその体験から内面に向き合う中で、また、ティール組織を志向する人々の傾向として、アンチヒエラルキー…権力や階層構造、男性性への忌避としてフラットな組織構造や対話、内面を重んじる組織、女性性へと向かう傾向もあったということが発見されたと言います。

また、男性性と女性性、PowerとLove、このほかにも世の中にはさまざまな二極の対立構造が見られる場合がありますが、どちらかだけに傾倒、固執するだけではなく、両極をバランスよく見て、扱うことのできる視座を持つこともまた大事であるとの気づきがあったとお話しされていました。

この点に関して、トム・ニクソン氏は『すべては1人から始まる』の中で、対極思考(opposable thinking)の機会だと捉えることについて提案しています。

こうした思考によって、対立関係によって捉えるのではなく、共通の方向性を見出し、より大きな意味が立ち現れる可能性を開くことができる。
さらに、チームが複雑な環境下で前進しながら、無数の相反する視点やアイディアを保っておくことにも役立つ。このような考え方は、分断がますます進む世界で極めて重要になってくるため、より詳しく知りたい人に向けて、有益なアプローチを付録でいくつか紹介している。

トム・ニクソン『すべては1人から始まる』p52-53

加えて、史郎さんは、ある価値観や方法論が絶対視され、ドグマ化(教義化)されていないかを『健全に問うこと』についてもお話しされていました。詳細については『ダウト思考』として以下のリンク先でも紹介されています。

起こるべくして起こる出会い

もう一つ、当日のトークセッションの中で興味深かった点としては、マサキさんから賢州さん、史郎さんへと投げかけられた問いからのお話でした。

私たちはこれまでもパーパス探求をずっと続けてきている感覚ではあるのですが、今回のピーターやアレクサンダーとの出会いや巡り合わせでは、今までと何が違ったのでしょう?

これに対して賢州さんは、来春に予定している国内外のソース原理実践者の大型来日企画の打ち合わせの際にピーターがOSTについて語っていたというエピソードについて言及されました。

OSTとはオープン・スペース・テクノロジー(Open Space Technology)の略称であり、5〜1000人までを対象とできる対話の手法の一つです。

現在は『ティール組織』の人として知られるようになった賢州さんも、それ以前はまちづくりや組織変革における大規模ダイアログの実践者であり、OSTはその時に活用していた手法でもあります。

また、ピーター自身もOSTという手法に共鳴しており、来春の来日企画の際にはメインコンテンツとして推薦しているとのことです。

賢州さんは、OSTもティール組織も、ソース原理も、人の潜在的なものに焦点を当てていること、そして、意図的な操作をしようとしなくとも、起こるべき時に起こるべきことが起こるといった哲学、価値観が共通しているように感じられる、と言います。

ご自身の旅路を振り返りながら、パーパス探求を続けてきた中で、その時そのタイミングで必要な、大切なご縁や巡り合わせがあったのではないか?と語られている賢州さんの姿が印象的でした。

今回、最後までこの記録をご覧いただいた皆さんと私もまた、もしかしたら何かしらのご縁があるのかもしれません。

あるいは、今回の記録の中で触れられたテーマと皆さんの中でも、何かしらの巡り合わせがあるのかもしれません。

またどこかで、人生の旅路が交わった際にご一緒できることを楽しみにしております。

さらなる探求のための関連リンク

レポート:嘉村賢州がギリシャとスイスで学び・探求してきたことを分かち合う報告会【第2回 ティール組織ラボ ゆるトーーーク】

ソース原理基礎講座 番外編 ソース原理の源を訪ねて ~日本人旅行記~

吉原史郎さんにステファンワークショップについて聴いてみよう!の巻

レポート:ソース原理基礎講座番外編『A little red book about Source』著者ステファン・メルケルバッハ講演会


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