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経営者とお金の関係性は、組織の在り方に投影される。「ソース原理」合宿で得た気づき。

こんにちは。RELATIONS代表の長谷川です。

今回のテーマは、ズバリ”お金”。お金に関しての経営者の考え方は、組織に様々な影響を与えていくように自分の経験から感じます。

自分自身、そしてRELATIONSでは、どのようにお金に対して向き合ってきたのか。

現在の考えに至った背景や、私なりに考える「経営者としてのお金の捉え方」を綴っていきます。

お金について改めて考えるきっかけとなった、ソース原理の「マネーワーク」との出会い

今年の8月に、令三社さん主催の「ソース原理」の合宿に参加してきました。ソース原理の執筆者のトム・ニクソンが来日し、自然豊かな北海道の美瑛で実施されました。美瑛はちょうど旭川と富良野の間くらいにある、ものすごく自然が豊かな場所で、その中でさまざまなワークを行いました。

ソース原理を知らない方も多いので、少し説明します。

元々はイギリス人のピーター・カーニックという人がお金と人間の関係性について研究や実験をするなかで、「お金に精神を乗っ取られると、創造性が蝕まれたり、やりたいことに対する自分の心の声が聞こえなくなる」という気づきを経て、そこから得られた法則性をソース原理と名付けたという起源があります。(詳しくは令三社の青野さんが執筆されているnoteが参考になります。)

ソース原理では、人のあらゆる活動において「特別な役割を担う1人がいる」という考え方を大切にしています。提唱者であるピーター・カーニックは、この1人のことをsource(ソース)と呼んでいます
ソースの役割は、「根源にはどんな衝動があるだろう?」とつねに自分の内側に耳を傾けながら探求し、少しでも衝動の実現に近づくためのアクションを考え続けることです。

ソース原理については、10月26日に出版された書籍( トム・ニクソン著 / 英治出版 )が参考になるので、読んでいただくと面白いと思います。

今回の合宿では、その原則や方法論、メソドロジーに近いものを、ワークを通して学んでいく場でした。私自身にとって、深く深く自分と向き合っていく豊かな場になりました。

3日間で様々なワークを行なったのですが、その中でもマネーワークは強く印象に残っています。マネーワークはソース原理に深くつながっており、根源にもなっている重要なものです。

経営者とお金の関係性は、組織全体の方向性や、事業の在り方にも大きな影響を及ぼします。

例えば、経営者が、「お金=安定」として意味づけている場合。お金は追い求めるものであり、相手よりたくさんもらって、蓄えておくべきものであるべきだという視点があるとします。そうすると、自然と「稼ぐこと」を最上位に置くようになります。顧客価値よりも、売上を追う組織になります。

一方で、お金を貯めずに散財する経営者もいます。「お金=汚れたもの」として意味づけている場合がその一例です。お金は天下のまわりものであり、自分に留めるのは良くないとして、入ったものをすぐに使ってしまう経営者もいます。

このように、経営者がお金をどう捉えているかで組織の文化にも色濃く影響を及ぼしていきます。

マネーワークにおける基本の考え方

お金は物事の価値の”ものさし”として世界的に活用されており、本来は無機質で、ニュートラルなものとして存在しています。しかし、皆さんの経験からも自明なように、人間の心理に多大な影響を与えています。

お金というワードから想起するものは何?と問われると、安心感や満足感を覚える人もいれば、不安や恐怖というようにネガティブな側面を想起する人もいます。
このようにお金に関する意識的、無意識的な意味づけが、見えないところで様々な影響を与えていきます。

例えば、先程の例のように「お金=安心」と捉えているとします。そうすると、何か本当に挑戦したいテーマが出てきたとしても、「それで自分は食べていけるのだろうか?」という不安が勝り、「やっていきたいという願いはあるけど、食べられなくなるかもしれないから、選択肢としては放棄しておこう。」みたいな思考は、よく起こっているのではないかと思うのです。

ただ、冷静に物事を眺めたときに、挑戦する=食べていくことはできない、と本当に言い切れるのでしょうか?
挑戦と、食べていくという話は本来別のテーマだと思いますし、いまの世の中的にも、Yes or Noの2択ではなく、さまざまな選択肢が用意されているようにも感じます。

マネーワークでは、こういった無意識の思考を明らかにしていくアプローチを取ります。具体的には、自分のお金に関しての信念や意味付けを口に出して、身体反応を細かく見ていく手法で、無意識のうちに信じていたことを明らかにしていくワークを行います。
ここで詳細は取り上げませんが、こちらもソース原理の本に詳しく書かれておりますので、お読みいただけると興味深いと思います。自分自身もこの合宿でワークを受け、目からウロコが落ちました。

過去の「お金の捉え方」

前述したマネーワークを通じて、私自身が感じた気づきをこれから書いてみたいと思います。
私は以前、お金に対してこんな意味づけをしていました。

お金=安心
お金=意図せず関係性を悪化させるもの

これらが自分の衝動に蓋をする要素になっていたように思うのです。
なんでそう考えてしまうのだろう?と振り返ってみると大きく2つの要因があったように思います。

1つ目は、父親の会社の倒産です。不動産業を営んでいた父が、私が大学生の時に倒産し、当時住んでいた家を売り払って、一気に生活が変わりました。その際に、お金がなくなるとひもじい思いをするんだ、という風に解釈をしたこと。また同時に、父の会社に勤めていた人とも関係が悪化したという話を何度か聞き、お金は人間関係も悪くするものなんだ、という思い込みを持ったと思っています。

2つ目は、RELATIONSが創業間もない時、当時株式を保有していた創業メンバー数人で、株をめぐって揉めたことです。元々、契約関係をきちんとせずに経営を進めてしまったことにより、それぞれの認識が実は違ったことに気づいた、という初歩的なミスでした。この出来事が私にとっては、お金は人間関係を悪くするんだ、という意味づけをより強くしたように感じています。

こういった体験から、私はお金に対して2つの像を作り上げていきました。
1つは、「お金=安心」から生み出される、売上を急拡大することが経営者の役割であるという信念です。
もう1つは、「お金=関係を悪化させる」から生み出される、お金や感情が絡む要素には踏み込まない方が良いという信念です。

とくに後者の信念が、自分の衝動と現実の分離をより加速的に広げていったように感じています。お金への無自覚な意味づけが元になって、“メンバーから見えている経営者としての長谷川像”と“本来の私”に大きな差分を作ってしまっていたのかもしれないな、と思います。

衝動に正直になったタイミング

前章で書いたように、私は無意識的な信念から本来の自分の声を押さえつけていた訳ですが、今から3年ほど前、それが極限まで行ったタイミングがあります。

当時の自分は、経営そのものが楽しくなくなり、パワーも落ち、投げやりにもなっていた状態でした。周りはそんな状態を理解していて、いろんなメンバーから、ちゃんと想いを吐き出してくださいよ、と言われたりしてました。

水道管の結節部を思い浮かべてほしいのですが、少しのズレが生じると、水がズレた隙間から漏れていきます。必死で手で止めて漏れを抑えようとしても、その横からジワジワ漏れてきます。そして気が付いたら、下に置いたバケツにたくさんの水が溜まっていっている状態になっている。

やはり、結節部のズレ自体を整えることが大切ですし、溜まった水も外にかき出す必要があります。私の場合、2年半前に創業メンバー間でシステムコーチングを実施したことがきっかけになり、そういったズレに気がつくことができました。

システムコーチングを経て、少しずつ自分に素直になれましたし、自分が何を大切にしていきたいのか、という自分の衝動に初めてまっすぐ向き合えたように思います。
そこからは事業整理を行い、RELATIONSの体制も変えていくというステップを歩んでいくことになります。詳細はこちらの記事をご覧ください。

今回のマネーワークは、その根源である「無意識的に生み出された自分の信念」を発見する良い機会でした。またそれを認知することで、少しずつでも自分を変容させていくことができるんだな、という気づきもありました。


これまでの自分の「お金にまつわる歴史」をふりかえって

お金に対する価値観は、一足飛びには変わらなくて、徐々に変化していくものだと思っています。私も経営者になってから、そしていまも、ずっと悩み続けてきているテーマの1つです。

一方で、衝動と向き合って一歩ずつ確実に進んでいけば、最適な方向へ自然に変化していくんだな、ということも強く実感しています。
概念が深まっていく感覚というか。例えば、5年前の自分に、いまの自分の考え方を話したら、「いや、なに幻想言うとんねん。」っておそらく言われると思うんです。(笑) 
時間はかかりますが、確実な変化を実感しています。

経営者って、お金に関する決済権も大きいので、その分判断が難しい役割だと思います。ただ、何よりも1番大切なのは、自分の気持ちに素直に向き合い続けることだと思います。そこさえブレなければ、大きな決済が伴う判断も、スッと行っていくことができるようになっていくのだと思います。

辛いことや痛みを伴うことだとも思うのですが、そこから目を背けてしまうと、すべてはストップしてしまうので。私も向き合い続けていきたいと思います。

それでは、今日はこんなところで。
ええ一日にしていきましょう。


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