コノハナサクヤ 九
「地元(東京)なんだから私より詳しいでしょ、浅草」
「地元は世田谷だよ」
「三社祭って入れ墨のひと多いらしいけどなんで?」
「そういうひとのお祭りだからじゃない?」
「神様のお祭りでしょ」
「確かに」
いつもの黒の上下ジャージに穴の空いたランニングシューズを履きながら、今にも走り出しそうな相変わらずの人と新宿のサブウェイ前で話していた。
一人だと一生行かなそうなので、一緒に新しい靴を買いに付き合ってあげたのに、今日も穴の空いたシューズで出てきたみたいだった。
視線をそちらに向ける。
「この前のは?」
「足痛くて」
「ちゃんと試着してランニングマシンに乗って気に入ってたじゃん」
「こっちのほうがいい、走りやすい」
「…そうなんだ。」
走る事はやめないらしい。陸上部の時からずっと。
格好いい訳ではないけど、木花咲耶姫が産土神様の恩恵による(?)謎の爽やかさは認めざるおえない。
「いるよ。地元で、そっちに行ったやつ。」
「うちの地元も多かったよ、でも入れ墨は入れてないひともいたよ。絵柄で意味があるんでしょ。」
「験担ぎ的な意味があるらしいよ。」
「弁財天様なイメージ…金運かな。女神様だと華があるからかな…」
「昇り鯉は立見出世とかあるね。」
「詳しいね、強いのがいいよねぇ。。虎とか一休さんの屏風の話にもあるし。偉い人の背景のイメージ」
「…。不動明王は短命になる、らしい。」
「どうして?」
「わからない、そう言われてるらしい」
「龍は?」
「龍はやめたほうがいい」
「かっこいいのに?」
「強いものを入れると喰われるって言うんだよね」
そうなんだ…。
「まぁ、俺は入れないけど」
「龍、入れてみて(冗談)」
「やだよ 笑」
自分には余りにも非現実な「入れ墨」という芸術に、興味のまま想像を膨らませる。
梵字を入れるのは良くないとは昔から知っていたけど、いろいろと調べてみたところ、神様は入れないほうがいいらしいです。
背中一面に美しい白狐や
木花咲耶姫もまたいい。
読んでくださりありがとうございます ♡ ゆかこ💌🖋🧸