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よすけの短編小説まとめ

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書いた小説を投稿した順にまとめています。短いのから長いの。暗いものから明るいものまで。ほっと一息つけるように。
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#ひとりごと

【短編小説】かけら

【短編小説】かけら

938文字/目安2分

 気晴らしにベランダに出ることにも、寒さのせいで身構えるようになってきた。
 だけど、部屋の中にずっといたら自分が腐っていく気がする。わざわざコートなんかを着て、マフラーもして、淹れたばかりのコーヒーを片手に窓を開け外に出た。

 冷たい空気が、ぴしぴしと体にあたる。
 ほう、と息を吹けば、白く舞い上がって風に溶けていく。
 目の前に高い建物はない。町を見渡せるこのベランダ

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【短編小説】漂

【短編小説】漂

535文字/1分

 ここのところ、かなりメンタルがやられている。そう思えるくらいには正常。でも、普段ほとんど浮き沈みがないから、落ちた時の戻り方がわからない。

 一日終える時の疲労感が半端じゃない。

 休んでも休まらない。考えていないのに頭がまわっている。心がずっとざわざわしている。意識してしまうと一気に疲れる。

 全部置き去りに、ただ息をして朝と夜を繰り返すのが楽。なかなかできることじゃ

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【短編小説】坂道のひとりごと

【短編小説】坂道のひとりごと

1,687文字/目安3分

 家の近くにものすごい坂道がある。

 自転車に乗ったままじゃまず登れないし、押して登ってもかなりきつい。昔はこの坂を途中で降りずに登れるかっていうのを何度もやっていたけど、ダメだった。下る途中でつまづいたらそのまま下まで転がっていっちゃうような、そんな坂。車がなんとかすれ違って通れるくらいの広さ。急ってだけでなんでもないただの坂だけど、私にとって馴染みの深い坂。

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【短編小説】ただいま

【短編小説】ただいま

458文字/目安1分

 今日も一日働いた。

 業務がかなり立て込んだ。クレームが起こってしまった。後輩の尻拭いをした。非を認めないあいつ。いろいろなことが重なった。それでも期日は迫ってくる。
 休日の仕事も覚悟しないとかなと思いながら、それでもなんとかする方法を考える。

 とにかく、疲れた。

 心は体にも影響する。動き回る仕事じゃないのに、体が重くなる。ため息が増える。
 だからといって辞

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【短編小説】百秒のひとりごと

【短編小説】百秒のひとりごと

567文字/目安1分

 歩く時、最初に右足を出すか左足を出すか迷う時がある。誰も見ちゃいないのに、周りの目線がやたら気になる。休むことも大事だともっともらしい理由をつけて、今日の残りの予定を全部すっぽかす。
 やることは多いのに、まるで手につかない。時間はたっぷりあるはずなのに、いつの間にか一日が終わっている。
 すべてを無駄にせずにいられたら、もっといろいろと手に入れられるのだろうか。

 忘

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【短編小説】晩酌

【短編小説】晩酌

1,387文字/目安2分

 今週は特に疲れた。
 毎週毎週思うことだけど、毎週毎週それが更新されていっている気がする。月曜日から金曜日まで、一日の時間を全部使うわけじゃないのに、それがすべてのことのように追われている。
 今の仕事が嫌いなわけじゃない。むしろ好き。会社の人たちだってみんないい人。嫌な人なんてほとんどいない。わたしなりに、会社を大きくするためにどうしようか。どうしたら今よりよくなる

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