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☆2023年のエッセイ☆

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2023年12月の記事一覧

【連載】「こころの処方箋」を読む~3 100%正しい忠告はまず役に立たない

【連載】「こころの処方箋」を読む~3 100%正しい忠告はまず役に立たない

酒飲みに「酒をやめろ」と言うことほど無茶なことはない。
酒を飲みすぎることが自分にとって良くないことはわかっている。
酒をやめるためにやったほうが良いこともわかっている。
それでもやめられないのだから、「酒をやめろ」と言われてもどうしようもない。

同じようなことはいくらでもあげられる。

「遅刻をするな」
「タバコをやめろ」
「ゲームをするな」
「宿題を忘れるな」
「運動しろ」
「本を読め」

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【連載】「こころの処方箋」を読む~2 ふたつよいことさてないものよ 

【連載】「こころの処方箋」を読む~2 ふたつよいことさてないものよ 

「ふたつよいことさてないものよ」は、河合隼雄を代表する言葉といってもいいだろう。河合はどうやらこの言葉を気に入っていたようで、河合隼雄ファンの間でも印象的な言葉として知られている。

端的に言ってしまえば、禍福のバランスの話なのだが、そこにどのような世界観を見出すかがおもしろいところである。

私が親しんでいるエピソードに、塞翁が馬の話がある。「人間万事塞翁が馬(じんかんばんじさいおうがうま)」と

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クリスマスが幸せな日でありますように

クリスマスが幸せな日でありますように

クリスマスが、なるべく多くの人にとって、幸せなものであったらいいな、と思っている。

なるべく多く、ということは、おそらくこの日を穏やかに迎えられない人も多くいることを思ってのことである。

この日を、貧困や痛みの中で迎える人もきっといる。

クリスマス消費の対象にならないような人は、この時期には見えなくなりがちである。

それでも、今はそんな人達にプレゼントを届ける「サンタ」がいる時代でもある。

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Podcast Weekend と私

Podcast Weekend と私

すっと気になっていたPodcast Weekendに訪れることができた。

昨年からPodcastを始めたので、当然その存在は知っていた。

よく知られたPodcasterさんたちのリアルイベントという認識で、どこか自分には他人事だった。

それでも、知人友人が参加、来訪する予定もあったので、せっかくなので訪れることにした。

実際に訪れてみると、正面ではこの空間の成立にもっとも関わっているといっ

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【新連載】「こころの処方箋」を読む~1 人の心などわかるはずがない

【新連載】「こころの処方箋」を読む~1 人の心などわかるはずがない

「人の心などわかるはずがない」

これは私の教員人生の中でも、特に共感したことであり、同時に繰り返し自分に言い聞かせる言葉でもある。

教師にとって最も大事にされることの一つに「生徒理解」がある。例えば、授業を行うにしても、まずは「生徒理解」から始まる。

2次方程式の単元を扱う際には、まずは対象となる生徒のレディネス、つまりは現段階でどのようなことを学んできていて、そのうちどのあたりのことが理解

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【最終回】「こころの処方箋」を読む生活(pp.106-234)

【最終回】「こころの処方箋」を読む生活(pp.106-234)

何に怒っているのか。

怒りの理由を探ることは、とても興味深い営みである。

一次的には何か不愉快なことがあったからのように思えても、実は背後にもっと別の理由が、それも複雑にこんがらがっていたりする。

僕の場合、まずは空腹を疑う。事実、今スパゲティを食べたら、少し怒りが和らいだ気もするから、それも一因だろう。

そもそも直接の要因としては、職場への不満である。

職場への不満といっても、これもま

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