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「やりきる」を目標にしよう! 書籍「あなたの不安を解消する方法がここに書いてあります。」 #全文公開チャレンジ 第32回

こんばんは。ニッポン放送・アナウンサーの吉田尚記です。

#ふあかい 全文公開の第32回。本日も前回に引き続き「メソッド3」の実践編をお送りします。

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メソッド3 “深刻ごっこ”禁止

実践編④ 悩むの禁止

 ちょっと話が壮大になってしまいましたが、ごくごくシンプルに言うと、人生を楽しく過ごそうと思ったら「悩むの禁止」なんです。悩まないなんてできないって? いいえ。そんなことはありません。それは、悩みがない人って、なんだか軽い人間のように思えるからじゃないですか?
 でも、それってメソッド1でお話ししたプライドともつながる話。
「何悩んでるの、それって人から重要だと思われたいんだ?」
「何か意味がある人生を送っている人だと思われたいんでしょ?」
 ちょっといじわるな言い方かもしれませんが、どうでしょう? ちなみにぼくは今現在まったく悩んでいません。人から重要視されたいと思っていないからです。

 ぼくは人生に意味があるかないかは考えてもわからないと思っているし、人を思い通りにできるとも思っていません。何か予想外のことが起きたとしても、不安じゃなく、好奇心の方が動きます。だから悩まない。
「え? どういうこと?」って心が動くことが純粋に楽しいんです。自分の人生を喜劇だと思えば、予定にない出来事は大体笑える出来事です。思い通りにならなくて、当たり前! 深刻になる必要なんて、まったくなし!

実践編⑤ やりきることを目的にする

 悩みなく、毎日を本当の意味で気ままに過ごせていたら、それが一番です。ただ、それが出来る上等な人ばかりじゃない。特に私なんか、気ままに過ごしていると不安になっちゃう、貧乏性です。承認欲求を捨てられてない、ってことなんでしょうね。
 では、人間である以上ごく自然な感情である「承認欲求」に対処するには、どうすればいいのでしょうか? 
 ここ最近になって、やっとわかってきたのですが、他人からの評価は目的に出来ないんですが、「やりきる」ことを目標にすることはできるんです。それが対処法。
 評論家の宇野常寛さんは、かつて、仮面ライダーと村上春樹を同じ俎上に並べて時代を評論した『リトル・ピープルの時代』(幻冬舎)という本で、一気に注目されました。 
*9 宇野常寛|1978年生まれ。評論家。『ゼロ年代の想像力』(早川書房)でデビュー。『リトル・ピープルの時代』(幻冬舎)『母性のディストピア』(集英社)などで注目を集めた。ラジオ、テレビなどの討論番組にコメンテーターとしても出演。吉田との共著に『新しい地図の見つけ方』(KADOKAWA)。
 仮面ライダーと村上春樹。確かにどんな本なんだろう? と気になりますよね。
 なぜ、宇野さんはそのふたつを本の中で同列に扱おうと思ったのか。実は、村上春樹を持ち出したのは、もちろん好きでもあったからだけど、言ってしまえばギミック、仕掛けだったそうなんです。本当は、大好きな仮面ライダーの話を思いっきりしたい。でも仮面ライダー論だけだと興味を持ってくれる人はファンに限られてしまう。もっと広い範囲に届けるためには、何かひとつフックが必要だと考えた、と。
 そこまでして、宇野さんが仮面ライダー論をみんなに聞いてほしかった理由はなんだったのでしょうか? 評論家として認められたいから? 違います。「仮面ライダーの素晴らしさを広く世界に伝えなければ、俺は死ぬって思った」からだそうです。だからやりきった。

 少女漫画家の竹宮惠子さんの作品で、『風と木の詩』(小学館)という、BL漫画の金字塔があります。設定、展開ともに今読んでも斬新な漫画ですが、当時はBLという言葉はおろか、少年同士の恋愛漫画なんていうもの自体、存在しなかった時代です。評価どころか、批判される恐れだってあったわけです。リアルタイムの読者は相当度肝を抜かれたと思います。
*10 竹宮惠子|1950年生まれ。漫画家。1967年に漫画家デビュー。萩尾望都(はぎおもと)、大島弓子(おおしまゆみこ)、山岸凉子(やまぎしりょうこ)ら、同時代の新しい感覚を持つ少女漫画家とともに「24年組」と呼ばれた。
*11 『風と木の詩』|1976年~84年に連載された漫画。19世紀フランスの寄宿学校を舞台に、奔放なジルベールと誠実なセルジュというふたりの少年の運命を描く。同性愛、近親相姦(そうかん)など当時のタブーに切り込んだ意欲作。
 実は竹宮先生は、その話を思いついてから実際に漫画に起こすまで数年間温めていたのだそうです。そして、その間に別の作品を連載されています。
「はっ、思いついた! この話をどうしても世に伝えなければ!」となったところから、いったん脇において別の作品を連載したのはどうしてか。それは、今の自分の力では、この物語の面白さは伝えきれないと思ったからなのだそうです。ほかの作品でもっと技量を磨いてからじゃないと、と考えた。そして、数年経った後に、満を持して『風と木の詩』を手掛けたそうです。その「やりきる」ことへの情熱。圧倒されませんか。
 竹宮先生はどうしても自分の物語を世に出さないことには気がすまなかった。そこには承認欲求なんて小さなものはまったく存在していません。その結果、歴史的な名作が誕生したんですね。やりきったことで、評価がついてきた。

 ちょっと大きな話が続きましたね。大きすぎて自分事ととらえにくいかもしれません。もう少し身近な話をしましょうか。ぼくが以前、京都に行ったときのこと。
 SNS映えする赤い鳥居で有名な、伏見稲荷神社を訪れた際、その裏手にある稲荷山に、何の気なしに登ってみたことがありました。
 せいぜい500mくらいかなと思って登りはじめたら全然違って、登れども登れども、頂上にたどり着かない。あんまり眺めがいい山でもない。途中までの道程ですでに、頂上まで行ってもおそらく小さなお社があるだけという予感がよぎります。周りの観光客が途中であきらめてどんどん降りて行ってしまう中、ぼくは意地になって頂上まで登ったんですが……予想通り、やっぱり何もなかった!
 結果3時間くらいの山登りとなってしまったんですが、まあ、それで特に何か〝成果〟
があったかというと、もちろんそんなものはないわけです。でも、ぼく自身は「やりきった」という満足を得られたから、それで全然OK。成果じゃない。ただの山登りでしたが、自分にとっては最高の体験でした。
 そう、こんなことで十分なんです。

 この世には、求めて、自分の努力次第で確実に得られるものと、残念ながら求めても得られるかどうかはわからないものがあります。
「やりきった」という達成感は、自分の努力次第でどうにでもなる。でも、他人からの評価は求めても得られるかどうかはわからない。だったら、求めて確実に得られるものの方を目標とした方が精神衛生上いいですよね?
 だから、目標はやりきることに絞る。承認欲求はあったとしてもいったん脇に置いておく。その結果、運がよければ承認欲求もついでに満たされるかもしれない。承認欲求とはそのくらいに考えておくべきものです。
 これって、メソッド2のコミュニケーションでお話ししたことと同じということにお気づきでしょうか? 他人は自分の期待通りにはならないことを前提として動く。

 そしてこの話ってメソッド1の「セルフエスティーム」の形成にもつながります。
 とにかく挑戦する、やりきる。その積み重ねが、謎の「自分は大丈夫感」につながっていきます。誰にも褒められないことをやりきったときの謎の誇らしさが、セルフエスティームです。

もくじ

はじめに
メソッド1
「不安」の正体を明らかにしよう
 -不安はどこからわいてくる?
 -不安は社会の原動力

 -不安の先には、死しかない
 -コミュニケーションからの完全な断絶が、死

 -「不安」はまったく役に立たないもの?
 -不安への対症療法は、「これからどうするか」

 -とりあえず、具体的にやってみる
 -具体化って超大事

 -「なんか大丈夫」感=セルフエスティーム
 -考えるよりも、行動しよう

 -人生で一番役に立たないプライドの話
 -手っ取り早くセルフエスティームを上げるには
 -COLUMN① パソコンは生産の道具、スマホは消費の道具
メソッド2
知らない人に話しかけてみよう
 -「モテたい!」は、叶うのか?
 -コミュ力は才能じゃない

 -知らない人に話しかけるために必要な持ち物
 -コミュニケーションとは、協力型のゲームだ
 -聞いたらダメ、やったらアウトってなんだろう?
 -人に好かれる方法はない
 -彼氏・彼女がほしい! だったら知らない人に話しかけよう
 -実践編① コミュニケーションに最も必要なのは「質問力」
 -実践編② 質問はWhyよりも、Who・When・Where・What・Howが有効
 -実践編③ 会話のきっかけ「木戸にたちかけし衣食住」
 -実践編④ 会話を「えっ!」でトラップする
 -実践編⑤ 間違った情報でもぶつけてOK
 -実践編⑥ 自分の気持ちを表現する=説明力
 -実践編⑦ あいさつをしよう、時間を守ろう
 -実践編⑧ 大きな声が出せていれば、なんか大丈夫
 -COLUMN② 「集中力」は「無視力」
メソッド3
“深刻ごっこ”禁止

 -悩みは自分に何をもたらす?
 -「みんな悩んで大きくなった」はウソ

 -深刻さとはエンタメである
 -決断だけが、人を成長させる
 -承認を目的とすることはできない
 -きみが不機嫌になるのはなぜ?
 -実践編① バンザイして悩んでみよう
 -実践編② 悩みから「暗くなる」をとっぱらってみる
 -実践編③ 適度に“深刻ごっこ”を楽しむ

 -実践編④ 悩むの禁止
 -実践編⑤ やりきることを目的にする

 -実践編⑥ 他人に期待しない
 -実践編⑦ 愛嬌最強説
 -COLUMN③ 引き出しを増やす方法
メソッド4
「面白そう!」さえあれば、人生は大丈夫
 -「夢を持て」って言うけれど
 -100個やって、どれか1個ハマればラッキー
 -今しかできないことをやろう
 -〇〇をやりたいのか、〇〇家になりたいのか
 -楽しむってなんだろう?
 -完全な自由はないけど、どの不自由にとらわれるかを選ぶ自由はある
 -結論。不安を解消する方法=知らない人に話しかける
おわりに

というわけで、今日はここまで。明日もよろしくお願いします!

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ニッポン放送アナウンサーの吉田尚記ですー。

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