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書籍「あなたの不安を解消する方法がここに書いてあります。」 #全文公開チャレンジ 第3回

こんばんは。ニッポン放送・アナウンサーの吉田尚記です。

#ふあかい 全文公開の第3回は「メソッド1」のつづきからお届けします。

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メソッド1  「不安」の正体を明らかにしよう

不安の先には、死しかない

 まず明らかにしておきたいのが「不安」の正体です。先ほど、不安を感じるときのパターンを考えてもらいましたが、共通点があることに気づいたでしょうか。
「明日の日本史の中間テストまであと8時間しかないのに、まだ出題範囲の半分しか終わってなくて不安」、「自分が参加していないグループLINEが存在して、そこで陰口を言われてそうで不安」、「自分が立派な大人になれないかもしれないから不安」。
 ヒント。時系列でいうと、いったいどのタイミングを見て不安を感じているのでしょうか? 過去? 現在? 未来?
 そう、未来です。人間は「未来」のことを考えると不安になってしまうんですね。そして、人間以外の動物は〝不安〟という気持ちを持っていなそうです。うちの犬は不安が強すぎて夜も寝られてないぞ、なんて姿はあまり見たことがないですよね? 人間は、未来のことを予測する動物だから、不安になるらしい。
 では、なぜ未来のことを考えると不安になるのか。なぜなら未来はわからないから。どうやら「不安」は「わからない」とセットらしい。
 でも、それって本当に「わからない」のでしょうか? うやむやにせず、いったん「わからない」の先の先のさらに先を考えてみたいと思います。

 たとえばあなたの不安のひとつに、「明日の日本史の中間テストまであと8時間しかないのに、まだ出題範囲の半分しか終わってなくて不安」があるとします。もし、出題範囲の勉強が結局終わらなかったらどうなるでしょうか? テストの成績が悪くなる。成績が悪いとどうなるでしょうか? 偏差値のいい高校に進学できないかもしれない。偏差値のいい高校に進学できないとどうなるのでしょうか? 有名な大学に進学できないかもしれない。有名な大学に進学できないとどうなるのでしょうか? 給料がいい会社に就職ができないかもしれない。給料がいい会社に就職ができないとどうなるのでしょうか? お金に困ってしまう。お金に困ってしまうとどうなるのでしょうか? お金がないと住むところがなくなるし、食べ物にも困るし、難しい病気になっても治療ができなくなってしまう。住むところがなく、病気になってしまうとどうなるのでしょうか? 死ぬ。

 もうひとつ考えてみましょう。「自分が参加していないグループLINEが存在して、そこで陰口を言われてそうで不安」。
 もし、LINEで陰口を言われているとしたらどうなるでしょうか? なんとなくクラスでこっちを向いて笑っている人たちが目につくようになる。だんだん学校がつらくなる。学校生活がうまくいかなくなって、学校へ行けなくなってしまう。学校へ行けなくなるとどうなるのでしょうか。進学が難しくなり、いい会社に就職ができなくなってしまう。おや、ここで先ほどの「テストでいい点がとれるか不安」とつながりましたね。つまり、結果、死ぬ。

 どんな不安も、想像しきると最終的に行き着くのは「死」なんですよね。

 それがすべての不安の根本にある問題。みんな目の前のイマ・ココの問題について不安に感じているようでいて、どうやら実はその問題のずっとずっと先にある死の予感を嗅ぎとったところから、不安を感じている。
 死ぬのは怖い。だから不安。

 でも、ですよ? よく考えてみてください。この世に死なない人間なんていませんよね? 不安を感じようが感じまいが、最後は誰もが結局死ぬんです。
 逆にいうと、今何をしようが、どんな失敗をしようが、不運に見舞われようが、死ぬこと以上の悪い結果にはたどり着かない。
 だとすると、現状、ぼくの結論としては「結局、死ぬだけか」なんですよ。
 どれだけ不安な毎日を過ごしていても、現在のぼくのように不安とはまったく無縁の日々を過ごしていても、遅かれ早かれ人間の命の火はいつか消えるわけです。死ぬことは悲しいことだけれど、人生の終幕は誰にでも訪れる。
 だったらそのことにクヨクヨして不安を感じている時間なんて、もったいなくないですか? 「今」という瞬間が楽しくないなんて、つまらなくないでしょうか?

 かくいうぼくだって、不安を感じていようがいまいが仕事で失敗してしまう可能性とは常に隣り合わせです。実際、これまでたくさんの失敗を重ねてきていますが、どれだけ失敗しても、せいぜい会社をクビになる程度です。アナウンサーができないんだったら、別のことを仕事にすればいいだけ。ぼくはもともとコンピュータ雑誌の編集者になりたかった人間だし、書くことも好きなので、そういう方面で執筆したりするのも楽しいだろうな、なんて思ったりします。
 大きな失敗をしなかったとしても、病気にかかったり事故にあったりして仕事が続けられなくなってしまう可能性だってあります。このご時世、会社自体に何か起きないとも限りません。最終的に何もかもうまくいかず、結局死んでしまうかもしれない。でも、そんな何千通り、何万通りも存在する「もしも」を不安に感じて、人生が不安で埋めつくされて今がつまらなくなってしまう方が、ぼくはよっぽど嫌です。
 不安だからみんな何かする。老後に2000万円必要だから、お金を貯める。でも、不安で動くのって全然楽しくないし、それはなんだかとっても不健全な気がする。しかも、たとえひとつの不安が解消されても、この世に不安の種は山ほどある。次から次へとわき上がる不安に対応していかなければなりません。
 これでは、不安に対応するだけで人生が終わってしまいます。
 だから対症療法じゃダメなんです。どうやら体質自体を変えないと、不安は克服できないようです。
*2 対症療法|原因そのものではなく、起きている症状に働きかける治療法。

 では、不安を感じないようにするための体質改善方法とは?
 ぼくは、その答えはコミュニケーションにあると考えています。

コミュニケーションからの完全な断絶が、死

 先ほど、不安の行き着く先にあるものは「死」だけとしました。
 その上でちょっと考えてみてほしいんですが、例に挙げたふたつの不安、端的にいうと「成績が悪ければ、死ぬ」「友達から仲間外れにされたら、死ぬ」って、確かに不安なことですが、なぜ「死」は不安なのでしょうか?
 まだ「死」の前の段階で、考えなければいけないことがある気がします。

 中学校時代ずっと成績が上がらなかった結果、偏差値の高い高校に入学できなくても、何も死ぬことはない。たとえば勉強以外の時間で友だちと動画を作ってYouTubeで配信してスキルを磨き、高校卒業後には動画編集会社に就職する。なんだか楽しそうですよね。
 たとえば、将来会社をクビになってお金に困ってしまったとしても、誰かとシェアハウスして一緒に暮らしたり。これも楽しそうです。そこから何かが生まれそうな気もするし。
 ここでは、自分以外の人間の存在が鍵になっています。誰かに頼ることができたら、コミュニケーションがうまくいっていたら、何か失敗や不幸があったとしても「死」まで一直線にたどり着くことはないはずなんです。

 お金持ちは銀座のクラブや六本木のバーで散財したりしています。私はあんまり興味ありませんけど。彼らがそこで何をしているかというとホステスやホストと会話したり誰かを口説いたりしている。つまりコミュニケーションです。結局どんなにお金があっても、有名だったとしても、人が最後に求めるのはコミュニケーションなんですね。
 余談ですが、漫画『ONE PIECE』(尾田栄一郎著/集英社)にこんなセリフがあります。

「人は いつ死ぬと思う…? 心臓を銃で撃ち抜かれた時… …違う 不治の病に冒された時… …違う 猛毒キノコのスープを飲んだ時……違う!!! …人に忘れられた時さ…!!!」
(Dr.ヒルルク/『ONE PIECE』16巻より)
*3 『ONE PIECE』|1997年から『週刊少年ジャンプ』(集英社)で連載されている人気ファンタジー・バトル漫画。海賊王になることを夢見る少年が仲間とともに冒険を繰り広げる。Dr. ヒルルクは、主要キャラクターのひとり、船医チョッパーの育ての親として登場。

 さきほど、「死ぬのが怖いから不安」って言いましたけど、「死」はなぜ怖いのかというと、すべての存在とのコミュニケーションの断絶を意味するからじゃないでしょうか?
 人間が最後の最後、究極的に求めているのは、コミュニケーションです。それはどんなにお金持ちになろうが、貧乏になろうが、健康だろうが、病気だろうが、どうやら変わらない。

 逆にいうと、コミュニケーションさえとれれば、お金なんかなくても地球上のどこでも生きていける。コミュニケーションとは、究極のサバイバル術でもあるわけです。
 先ほど挙げたピダハン族を見ても、彼らの社会に通貨はありませんが、コミュニケーションは存在します。

 実際、コミュニケーションは大人の世界でもとても大事なものとして扱われていますよね。
 書店に行くと、店頭には、コミュニケーションに関連する書籍がたくさん並んでいます。タイトルを見てみると「コミュニケーションで金と人脈を引き出そう」なんて書かれていています。下品なタイトルだなあ、なんて思いながらも、コミュニケーションがいかに強い影響があるかということがわかる。
 でも、コミュニケーションの目的とは、別にお金を稼ぐためのものでも人脈をつくるためでもありません。
 コミュニケーションの目的は、コミュニケーションそのものです。人に受け入れられたら、うれしい。人を受け入れようとしている人は、尊い。
 コミュニケーション力を磨く目的は、あくまでコミュニケーションのため。なぜならぼくたちは最終的にコミュニケーションを目的として生きているからです。

 不安=死の恐怖を消す根治療法は、コミュニケーション力を磨くこと。
*4 根治療法|症状の原因そのものに働きかける治療法。
 コミュニケーション力、いわゆる世間で言われるところの〝コミュ力〟ってやつです。「コミュ力ゼロで、不安もゼロです」って人も、もしかしたらこの世のどこかにいるのかもしれませんが、少なくともぼくは見たことがありません。
 そして、「はじめに」でもお伝えした通り、コミュ力は習い事と同じで、練習すればするだけ必ず上達します。コミュ力は磨ける。ただし、コミュ力は「よし! コミュ力を上げるぞ」と決意して明日にでも爆上がりするものではありません。その方法については次章メソッド2で具体的に説明していきます。でも目の前に差し迫った不安は次々とやってくる。どうすればいいのでしょうか?
 そこで、根治療法、コミュ力を上げる練習と、対症療法、不安に食い殺されない努力を同時進行で進めていく必要が出てきます。

もくじ

はじめに
メソッド1
「不安」の正体を明らかにしよう
 -不安はどこからわいてくる?
 -不安は社会の原動力

 -不安の先には、死しかない
 -コミュニケーションからの完全な断絶が、死

 -「不安」はまったく役に立たないもの?
 -不安への対症療法は、「これからどうするか」
 -とりあえず、具体的にやってみる
 -具体化って超大事
 -「なんか大丈夫」感=セルフエスティーム
 -考えるよりも、行動しよう
 -人生で一番役に立たないプライドの話
 -手っ取り早くセルフエスティームを上げるには
 -COLUMN① パソコンは生産の道具、スマホは消費の道具
メソッド2
知らない人に話しかけてみよう
 -「モテたい!」は、叶うのか?
 -コミュ力は才能じゃない
 -知らない人に話しかけるために必要な持ち物
 -コミュニケーションとは、協力型のゲームだ
 -聞いたらダメ、やったらアウトってなんだろう?
 -人に好かれる方法はない
 -彼氏・彼女がほしい! だったら知らない人に話しかけよう
 -実践編① コミュニケーションに最も必要なのは「質問力」
 -実践編② 質問はWhyよりも、Who・When・Where・What・Howが有効
 -実践編③ 会話のきっかけ「木戸にたちかけし衣食住」
 -実践編④ 会話を「えっ!」でトラップする
 -実践編⑤ 間違った情報でもぶつけてOK
 -実践編⑥ 自分の気持ちを表現する=説明力
 -実践編⑦ あいさつをしよう、時間を守ろう
 -実践編⑧ 大きな声が出せていれば、なんか大丈夫
 -COLUMN② 「集中力」は「無視力」
メソッド3
“深刻ごっこ”禁止
 -悩みは自分に何をもたらす?
 -「みんな悩んで大きくなった」はウソ
 -深刻さとはエンタメである
 -決断だけが、人を成長させる
 -承認を目的とすることはできない
 -きみが不機嫌になるのはなぜ?
 -実践編① バンザイして悩んでみよう
 -実践編② 悩みから「暗くなる」をとっぱらってみる
 -実践編③ 適度に“深刻ごっこ”を楽しむ
 -実践編④ 悩むの禁止
 -実践編⑤ やりきることを目的にする
 -実践編⑥ 他人に期待しない
 -実践編⑦ 愛嬌最強説
 -COLUMN③ 引き出しを増やす方法
メソッド4
「面白そう!」さえあれば、人生は大丈夫
 -「夢を持て」って言うけれど
 -100個やって、どれか1個ハマればラッキー
 -今しかできないことをやろう
 -〇〇をやりたいのか、〇〇家になりたいのか
 -楽しむってなんだろう?
 -完全な自由はないけど、どの不自由にとらわれるかを選ぶ自由はある
 -結論。不安を解消する方法=知らない人に話しかける
おわりに

というわけで、今日はここまで。続きはまた明日!

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ニッポン放送アナウンサーの吉田尚記ですー。

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