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四年目

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2022年の詩まとめ
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2022年1月の記事一覧

1月の短歌

1月の短歌

あなたから年賀状が届いてる 手書きの よろしく そっと撫でる

色白のあなたが吐いた白い息 ちゃんと生きてると安心する

ババ抜きのカードを選ぶ指先がわたしの心乱してくるの

読書する君の横顔が覗き見る世界を見守る天使のよう

ゆっくりと膨らんでいく切り餅を見つめながら頬を膨らませ

夢をみる あなたはいつも笑ってる 良かった むこうじゃたのしそうで

丁寧にフォークでケーキ崩してく ちょっぴり悪

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色白の君

色白の君

ふれたら消えてしまいそうな君の横顔が月光に照らされる、まろやかな肌に寒さで紅がさす、体温を感じられない君が深く息をする、闇に広がる白い息、ほんのすこし温度を感じた、相変わらず指先は冷たくて、わたしがふれると困ったように手をひっこめる、ちゃんと生きているとそのかじかんだ指をみて、安心する、君は好きな人の話をするとき、とても可愛くてきらきらしていて清くて、尊いなぁとお日様の光を浴びるように聴いているよ

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すきのはなし

初対面の人とか、それほど親しくない人との会話で話題に困ったときに「好きなもの」の話をふられると困る、自分の好きなものはあまり大衆向けでないことを理解しているし(オタク気質もある)、それを好きだと告白すると、どうして?どこが?きっかけは?と入社面接の如く質問されるのでとても困る、そして普段から好きなものを自ら語るタイプでもない(好きなものの話をする人はきらきらしていて尊いなぁ、と思いながらただ聴く

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0115

誰かの何者かになっている時の自分の輪郭が、とてもふらふらしていて気持ち悪くなる、都合よくわたしを当て嵌めること、役割を与えられることがしんどくて、同じ場所に留まっていられない、逃げられなくなるから、その「役」が染みついていくことが怖い、未来を愛せない、それでもお互いの不確定な未来を当たり前に話せる人のことはその時点ですきで、安心できる、あなたは裏切らないでね、とかそういう依存ではなくて、ただ安心で

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0111

自分という存在が許せなくて、終日気持ちが溺れていた、息をする度にしんどくて、真冬の空気の冷たさで肺がスースーする、空気の新鮮さが怖い、わたしたちを受け入れている地球は神様より神様だけれど、予告もなしに人類を災害だとかウイルスだとかで消してしまう、それをわたしたちは都合よく運命とか言ってしまう、許されるために、誰かのせいにしたら安心するね、きっと誰もが誰かから許されたくて生きている、自分が自分を許せ

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13:30

13:30

駅の改札前で待ち合わせをするとき
きみが先に到着していて
人混みにiPhoneをいじっている姿をみつける
改札をぬけるときSuicaのタッチ音がやけに響いて
はやく顔をあげて見つけてほしいのにひっそりと近づいて
おはよう、
きみの瞳がわたしにピントをあわせるとき
僕ときみの世界が繋げる

透明

透明

あなたは水
誰の領域にも違和感なく入り込んでくるのに
なにも残してくれない
掴ませてくれない
忘れてしまうほど無色透明無味無臭
ずるい、
満たされるのはわたしばかりで
溺れてみたい
あなたの濁ってしまった感情に