「俺は全てを【パリイ】する」は、日曜朝に放送すべきアニメ
いわゆる「覇権アニメ」とはまた別モノとして、毎クール大穴といえる良作は存在するものである。
今クールもまたそれは例外ではなく、意外と良作が多い。
その代表格として挙げるのは、まず「ラーメン赤猫」。
これはギャグが基本線の作品だと思うが、爆笑系ではなく、どっちかというとクスっと笑える程度のユルいやつだね。
まぁ、人によってはこういうのを退屈に感じるだろうけど、味付けが薄味な分、逆に素材の味がじわじわ効いてくるんだよ。
この物語を端的にひと言でいうと、
「これまでずっと幸薄かった女性が、猫たちに救われ、ちょぴり幸福になる」
といったところだろう。
上の画のメガネの女性がヒロインの珠子なんだが、彼女について「前の職場は辛い思いをして辞めた」という軽い説明があったものの、それの具体的な過去回想シーンは一切なく、ある程度見る側の想像に委ねられている形。
だけど気の弱そうなオンナノコなので、これまで周りの男性たちにいいように使われてきたことは容易に想像できる。
そんな彼女が、新職場「ラーメン赤猫」で少しずつ仕事にやり甲斐を感じていく過程は、見ててほっこりするんだよね。
というか、涙が出てくる・・。
これは今、仕事で悩んでるOLさんにこそ見てほしいアニメだわ。
じゃ、次ね。
次の作品は俗にいう「なろう系」なんだが、「俺は全てを【パリイ】する」というやつです。
上の画を見ての通り、タイトルには副題「~逆勘違いの世界最強は冒険者になりたい~」が付いてて、まぁ、この副題通りの内容なんですけどね(笑)。
おそらく映画通の人はよくご存じだと思うが、「長めの副題が付く作品は、大体が駄作」という傾向がある。
少なくとも、映画はそうさ。
で、この「パリイ」も駄作といえば駄作の範疇に入るんだろうけど、しかし私に言わせると、これは「良い駄作」である。
じゃ、この作品の内容について語ろう。
まず、私は「パリイ」という語彙の意味が分からなかったのね。
後で知ったが、どうやらこれはゲームの用語らしくて、相手の攻撃をいなすスキルのことを指してるらしい。
申し訳ない。
私はゲームとか全然やらない人なので、正直、今もパリイの意味がきちんとは分かってません。
基本、防御のスキルと解釈すればいいのかな?
とにかく、基礎的なスキルなんだと思う。
教練において、一番最初に学ぶ初歩のステップなんじゃないか、と。
ボクシングにおいては、ストレートやフックやアッパーよりも先に、まずはジャブをマスターすることが先決だと聞く。
多分、パリイはこのジャブに相当する扱いのものなんだろう。
ジャブは、いわゆるフィニッシュブローとはなり得ないものなので、誰しも軽視しがちな過程である。
ストレートやフックを極めれば世界タイトルも見えてくるのに対し、ジャブを極めたところで世界タイトルなど見えてこないから。
「世界一のジャブの使い手」とか、今まで聞いたことないもんなぁ・・。
ただ、この作品の主人公・ノールは不器用なタイプなのか、初歩のスキルであるパリイしかマスターできなかった人なんだ。
いわゆる大技を一切マスターできなかった、という人。
ボクシングでいうなら、ジャブしかマスターできなかったというボクサーだね。
普通、それならボクシングそのものをやめるじゃん?
だけどノールの面白いところは、パリイしかできないならとその後もパリイをひたすら磨き続け(十数年間毎日欠かさず訓練)、パリイがトンデモない水準にまで到達しちゃってるんだよね(笑)。
ボクサーでいうなら、ジャブしか打てないボクサーがその後ジャブを極め、今はジャブ一発で誰でもKOできるようになった、という感じだろう。
つまり、ノールは今かなり強くなってるんだけど、ただ本人的には「自分はパリイ以外何もできなかった劣等生」という自覚がある為、恐ろしいまでに自己評価が低いんですよ。
よって、冒険者として最弱のFランクに身を置き、ドブさらいのような雑事に従事する毎日なんだが、本人はそれを嫌がるどころか、Fランクとはいえ冒険者として皆の役に立てることをめっちゃ喜んでるんだよね・・。
うん、話の流れはテンプレといえばテンプレなんだが、でもノールの強さの根拠となってるものは、「なろう」にありがちな「与えられた特殊スキル」ではなく、「日々継続してきた地道な努力」であることを理解してほしい。
こういうノールの真摯さに触れてると、いまどきの「異世界ファンタジー」を見てるというより、昭和の「まんが日本昔ばなし」や「世界名作劇場」を見てるような感覚に陥るのよ。
挫折を経験し、自分の限界を知って、それでも腐ることなく「自分にできること」を日々継続して努力し、謙虚、かつ前向きに生きているノール。
それこそ宮沢賢治「雨ニモ負ケズ」じゃないが、人としての理想というべき規範をノールは無自覚に体現してるのよ。
だから、見ててホント気持ちがイイ。
私、ぶっちゃけ思ったんだよね。
「これ、深夜に放送じゃなく、日曜の朝に放送するなどスケジュールを調整して、子供たちにこそ見せるべきアニメじゃないか?」と。
いやホント、これめっちゃ情操教育にイイよ。
それこそ、「アンパンマン」とか見てる子たちにもイケると思う。
誰しも、
なろう系アニメ=深夜アニメ=アニオタ向けアニメ
という思い込みをしてるが、いやいや、中にはこの「パリイ」みたく小学生にもイケそうなのが結構あるよ。
でね、このノールは戦闘スタイルもまたサイコーなのさ。
基本、パリイの一点豪華主義だし、技名を叫んでフィニッシュを決める大技とか特にないんだよね。
そのへんが、一般的な主人公最強系アニメ(一発で簡単に決めちゃう系)とは趣きが違う。
敵の攻撃を、ただひたすらパリイで凌いでいく。
それも
「パリイ! パリイ!」
と攻撃を弾くたび、ちゃんとスキル名を唱えるという生真面目さがいい。
私は、この主人公最強系にあるまじき、妙に実直な戦闘スタイルが大好きでね。
いまどき超絶な技で相手を一発で沈めるとか、ありがちすぎて新鮮味がないでしょ。
むしろパリイみたく、卓球でいう「カットマン」みたいな戦闘スタイルは逆に新鮮である。
こういうのは実戦的だし、おそらく子供たちの間でも絶対流行ると思うよ。
「パリイ!」
そのうち、「パリイ」ブーム、くると思う。
そもそも、いまどきの小学生たちは一体どんなアニメを見てるんだろう?
ベタなところでは、日曜朝の「ワンピース」だろうか。
そうそう、最近の「ワンピース」、作画が神懸ってきてるの知ってる?
もはや東映アニメーションの3DCG水準がトンデモないレベルにまでなってきてて、今は「エッグヘッド編」というのをやってるんだが、その1112話、1114話あたりの作画はトンデモなく神懸ってたよ。
これ、アカンって・・。
こんな超絶に高カロリーなアニメを幼少期から見て育った子なんて、過剰に眼が肥えすぎちゃうでしょ?
そんな子がオトナになったら、「マズいモノは一切食べません」的な偏食になっちゃうよ。
だから、もっと低カロリーで、質素なアニメを見せなきゃ。
・・低カロリー?
・・質素?
ああ、それなら私、いいアニメを知ってますよ。
「俺は全てをパリイする」というやつなんですけど。
もうね、最近の私は「パリイ」が好きすぎて、部屋のドア開ける時ついつい「パリイ」と言っちゃうんだよね・・。
そんなわけで、この作品、まだ未見という方には是非視聴をお薦めしたい。
もし小さなお子さんがいらっしゃる方なら、一度録画して、是非お子さんと一緒にご覧になっていただきたい。
視聴のコツは、ただ「見る」のではなく、「参加する」こと。
作中、ノールがパリイするたび、一緒に「パリイ!」と叫んでください。
私の視聴スタイルは、もっぱらこんな感じである↓↓
パリイ! パリイ! パリイ!
私は深夜にひとりでこれをやってるが、あとで冷静になった時に自己嫌悪に陥ることがあるので、あまりお薦めをしない。
できることなら、こういうのは誰かと一緒にやった方がいいだろう。
パリイ! パリイ! パリイ!
さあ、皆さんもご一緒にパリイしましょう!
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