サルにも分かる「物語」シリーズ入門
今回は、アニメ「物語」シリーズについて書こうと思う。
これ、好きなんだよね~。
新房昭之といえば「魔法少女まどかマギカ」を代表作と考える人も多いだろうが、私は「物語」シリーズの方こそ代表作だと思う。
「まどかマギカ」は、どっちかというと虚淵玄の作品だと思うし。
もちろん「物語」シリーズの制作会社はシャフトであり、きっと皆さんの中でも【シャフト=新房監督】というイメージがあるんじゃないの?
事実、シャフト作品における新房比率は異様なほど高い。
いい例が「シャフ度」さ。
これ、どう考えても新房監督個人の演出のクセなのに、なぜか新房氏の名を冠さずに、シャフトという会社名の方を冠してるわけよ。
いかに、【シャフト=新房監督】と世間が認識してるかということだろう。
しかし、そろそろ新房氏も仕事を控えないことには、会社としてはシャフトの世代交代、若手の台頭がうまいこといかなくなってしまうのでは?
ヘタすりゃ、ジブリみたくなっちゃうよ?
さて、本題に入ろう。
「物語」シリーズの中で圧倒的人気なのが「化物語」であって、実際これはシリーズの顔、そして代名詞でもある。
ただ、これだけを見て「物語」シリーズを見た、というふうに思うのだけはやめてもらいたい。
このシリーズは100話以上あり、全走破するのはハードル高いことぐらい私も分かってるさ。
おまけに、テレビ放送順で見ると時系列が意外とぐちゃぐちゃだし、途中で挫折したという人も結構いるんじゃない?
うん、このシリーズは俗にいう「定食」ではなく、フランス料理風の「フルコース」形式だと捉えてほしい。
ちなみにだが、フルコースを簡略化すると以下のようになる。
①食前酒+アミューズ(突き出し)
②オードブル(前菜)
③スープ
④ポアソン(魚料理)
⑤ソルベ(口直し)
⑥ヴィアンド(肉料理)
⑦サラダ
⑧フロマージュ(チーズ)
⑨アントルメ(菓子)
⑩フルーツ
⑪カフェプティクール(コーヒー+小菓子)
この流れを踏まえた上で、私なりに「物語」をフルコースになぞらえて分類してみる。
あ、ちなみにだけど、これはテレビ放送順ではなく、「物語」マニアの私が独断で決めた「おいしく食べる順番」なので、そこはご了承下さい。
【食前酒】傷物語
主人公・阿良々木暦と吸血鬼キスショットオリオンハートアンダーブレード(後の忍野忍)、および羽川翼、および忍野メメの紹介編
【アミューズ】化物語
戦場ヶ原ひたぎ、八九寺真宵、神原駿河、千石撫子の紹介編
【オードブル】偽物語
阿良々木火憐、阿良々木月火、斧乃木余接、貝木泥舟、影縫余弦の紹介編
そう、「化物語」「傷物語」「偽物語」は、ちゃんとした料理に入る前段階のキャラ紹介編、つまりイントロにすぎないのよ。
もちろん、個々に完成度のあるものだから十分味わいはあるものの、シェフにしてみりゃ、ここで「ご馳走様」なんて言われたくないよね。
【スープ】傾物語
これはシリーズの中でも異色のSF的アポカリプス展開で、まさに「スープ」である。
【ポアソン】鬼物語⇒終物語の中から「しのぶメイル」
さて、ここからようやく料理らしくなってくる。
いよいよ、シリーズ一番人気キャラ・忍野忍のメイン回である。
と同時に、作中最強キャラ・臥煙伊豆湖の紹介編。
【ソルベ】猫物語<黒>⇒<白>
羽川翼のメイン回。
時系列では<黒>が「傷物語」と「化物語」の間(ゴールデンウイーク)、<白>が夏休み明けで「しのぶメイル」の裏ストーリーとなっているので、そこは頭を整理してご覧ください。
【ヴィアンド】終物語の中から「おうぎフォーミュラ」⇒「そだちリドル」⇒「そだちロスト」
シリーズ最強ラスボスともいうべき、忍野扇が遂に出てくる!
羽川翼vs忍野扇の対決は鳥肌モノ。
【サラダ】囮物語⇒恋物語
「囮物語」も「恋物語」も阿良々木暦が主人公ではない異色作なんだけど、特に「恋物語」は秀逸。
個人的には、この章が一番好きかも?
とにかく三木眞一郎、スゲーよなぁ・・。
【フロマージュ】憑物語⇒暦物語
ここにきて、斧乃木余接メイン回。
と同時に、手折正弦の紹介編。
斧乃木余接は、早見沙織史上最も奇怪なキャラなのは間違いない。
「暦物語」は閑話休題的位置付けだが、最終話だけは超重要。
【アントルメ】終物語の中から「まよいヘル」⇒「ひたぎランデブー」⇒「おうぎダーク」
いよいよ、最強ラスボス・忍野扇との決着がつく回。
忍野扇vs羽川翼の知能対決は、羽川の勝利ってことでOK?
【フルーツ】続・終物語
これは、最終対決の後日談的内容。
まさかのSF的パラレルワールド展開。
【カフェプティクール】花物語
これはスピンオフというべき、阿良々木らが高校を卒業した後の神原駿河のメイン回。
沢城みゆきの神原駿河は、これ以上ないハマリ役だよなぁ・・。
「物語」シリーズは俗にいうハーレム系美少女作品と解釈する人が多く、まぁ特にそれは否定しないものの、ただし「物語」ファンとしては美少女キャラ以上に注目してほしいところが、「大人キャラ」の存在感である。
普通、このての青春モノは若者が美化されて描かれる一方、対する大人の方は醜悪に描かれがちなものだ。
しかし、「物語」シリーズは明らかに違う。
大人キャラがちゃんとオトナとして描かれ、むしろ阿良々木らがオトナたちの掌の上で躍らされてる感すらある。
なんと濃いオトナたち・・。
上記5名全員、同じ大学の同じサークル(オカルト研究会)だったらしいが、そんなサークル嫌だなぁ(笑)。
クセが強く、主義も違う5名ゆえ、コイツらお互いに全然仲が良くない。
皆が臥煙先輩には逆らえない上下関係はあるみたいだけど。
この中で一番人気は、やはりダントツで忍野メメだろう。
セクシー度の次元が違う。
これは櫻井孝宏のセクシー度ともいうべきかもしれんが、作品のオーディオコメンタリーで共演声優の女性陣が口を揃えて絶賛していたのが「化物語」における「するがモンキー」のこのシーン↓↓
阿良々木「世話かけるな」
忍野メメ「・・・いいよ」
このシーンの「・・・いいよ」が、女性陣にとってはタマらんそうだ。
私は一時期「化物語」のDVDを毎日のように見て研究を重ね、苦労の末に「・・・いいよ」をマスターしたんだが、実戦で使ってうまくいった試しがない。
そうこうしてるうちに、やがて櫻井孝宏が不倫騒動で炎上してるのを見て、無念だが私の「・・・いいよ」は永久封印されることになった。
アニメファンの中でも、「ハーレム系は苦手」とする人は案外数多く見受けられる。
まぁ、その心情は分からんでもない。
私もどっちかといえばそうだし、ハーレム系の何がイヤかって、なんか男女がオス・メス化してて頭悪そうになってるところさ。
しかしそんな私でも、「物語」シリーズは全然OKなんだ。
なぜなら、これは西尾維新の会話劇であり、その語彙の知的センスやら情報量やらに圧倒されるあまり、ハーレムのオス・メス臭なんて吹っ飛んでるんだよね。
いやホント、これほど会話の知性で魅せるアニメも珍しい。
こういった会話劇で西尾維新に対抗できるのは、森見登美彦(「四畳半神話大系」「夜は短し恋せよ乙女」「有頂天家族」etc)ぐらい?
そうそう、「ハーレム系」ならぬ「逆ハーレム系」の西尾作品を知ってる?
「美少年探偵団」さ。
うわ~、イケメン系の乙女アニメはさすがに無理やわ~、と思う人もいるだろうが、そこは心配ご無用。
主人公は女性ながら男装しており、そのへんは「桜蘭高校ホスト部」っぽさがあるものの、本作はそういう系統のやつと会話の知性が圧倒的に違うんだから。
ジャンルとしては、謎解きミステリー。
逆ハーレムなのにオス・メス臭が微塵もしない、稀有な作品である。
ハーレムの「物語」、その裏バージョン・逆ハーレムの「美少年探偵団」。
どっちの作品にも言えるのが、会話に含まれた語彙の知的センスと情報量が凄い!ってこと。
多分、西尾先生ってめちゃくちゃ頭のいい人なんだろうなぁ・・。
いつの日か、私もこういう会話をできる人間になりたいもんだ。
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