皆さんはペニー・パーカー好きですか?「スパイダーバース」
皆さんは、3DCGアニメに抵抗ありますか?
日本ではセルアニメ信奉がいまだ根強く、3DCGでもわざわざセルルックに加工するなどのひと手間を加えることが多い。
だけど世界の潮流は、確実に3DCGが主流となってきている。
中でも、これの技術水準において頭ひとつ抜けてるのがアメリカかと。
私もたまにそっち系のやつを見たりするんだが、中でも「スゲー!」と感心したのが「スパイダーマン:スパイダーバース」(2018年)である。
もちろん「スパイダーマン」は実写映画が先行して大ヒットしており、その後追いになるアニメ企画というのはちょっとリスクあるよね。
どうあっても実写と比較されるし、こういうパターンは大体が後に回った側がディスられちゃうもんですよ。
ところが、この「スパイダーバース」に限って、そうならなかったんだ。
それもそのはず。
実写と比較しようにも、まず「スパイダーバース」は、主人公がピーターパーカーじゃないんだから。
じゃ主人公は誰かというと、マイルスという黒人少年である。
でもって、ピーターパーカーは映画の序盤でいきなり死んでしまう。
え~っ?って感じ。
だけど、だんだんこのアニメの仕組みが分かってくるんだ。
どうやらこの作品、「ピーターパーカーが死んだ世界」というマルチバースのひとつを描いたものなんだよ。
実は「ピーターが死んでない世界」というのも存在していて、その「死んでない世界」のピーターが「死んでる世界」に来ちゃったりするもんだから、話がどんどんややこしくなっていく。
やがて、色んな世界から色んなスパイダーマンがやってくるという展開に。
上の画の通り、6つの世界のスパイダーマンが同一の世界に並び立つことになった。
左半分の3名は、まだいいとしよう。
左端から順に、主人公のマイルス、ピーターパーカー(中年)、グエンだ。
グエンは、我々の知る世界ではピーターのGFだったと思うが、この物語では別世界のスパイダーウーマンという設定。
それより問題は、右半分の3名。
色々ツッコミどころ満載である。
まず、トレンチコート着て帽子かぶってる奴。
こいつは「スパイダーマン・ノワール」、名前はピーターパーカー。
1930年代ハードボイルド世界のピーターパーカーらしい。
次に、子豚みたいな奴。
こいつは「スパイダー・ハム」、名前はピーターポーカー。
動物キャラクター世界のスパイダーマンらしい。
最後に、アニメキャラ風の女の子。
この子はスパイダーマンというより「スパ//ダー」というパワードスーツの操縦者という設定で、名前はペニーパーカー。
厨二的世界(日本アニメ)のスパイダーウーマンといったところか。
・・まぁ、率直にいってこの3名、世界観に合ってなくて違和感MAX。
でも日本人として、ペニーというキャラの投入はなんか嬉しい。
ただ、日本アニメ的キャラがマーベルの世界に入ると、こんなに浮いちゃうということが露呈した。
で、「スパイダーバース」を一度見てる人も、今度はペニーだけに注目して再視聴してみてほしい。
実はこの映画って、ペニーというキャラに日本のアニメっぽさを演出する為、わざわざモーションを特殊アレンジしてくれてるらしいんだわ。
その「日本のアニメっぽさ」とは、日本的リミテッドアニメーション独特の動きってやつ。
これを細かく説明するとキリがないので要約するが、つまりアニメには
①フルアニメーション(画を全部動かす)
②リミテッドアニメーション(画を限定的に動かす)
という、ふたつの考え方があるのね。
アニメの元祖というべきウォルトディズニーは、①の形でアニメを開発していったわけよ。
しかし日本では、②の形が普及。
一説には②の導入をしたのが手塚治虫らしく、その導入の理由は虫プロなりの経費節減だったとのこと。
「虫プロがそうするなら」と周りもみんなそれに倣って、気が付けば日本はリミテッドを前提にした演出をする感じになったんだ。
たとえば、出崎統の止め絵などは象徴的なものだし、あと動きの「タメ」もそういうもののひとつだし、ようはリミテッドアニメーションのガラパゴス進化といったところか。
我々は普段からそれを見てるから特に意識することもないにせよ、この日本独特の味を海外アニメはなかなかうまく出せないものらしい。
しかし、この「スパイダーバース」は、ペニーというキャラの為、わざわざ日本的リミテッドっぽさをCGで再現してくれたんだな~。
逆に、それをちゃんとした形で再現できる、アメリカのCG水準は大したものともいえるが。
改めて、ペニーのニュアンスを見てくれ↓↓
ペニーは吹替が高橋李依だから、かわいくってしようがない。
そういや、「このすば」のめぐみんに少し似てるね。
あと、皆さんは「RWBY」シリーズって見てる?
この作品もアメリカの3DCGアニメなんだけど、これを企画した人が日本のアニメが大好きで、「ああいうのをアメリカで作りたい」というコンセプトから始まってるらしい。
それゆえ、3DCGをちゃんとセル画アニメっぽくアレンジしてくれてるんだよね。
日本アニメの「萌え」「タメ」「ケレン味」みたいなものも表現してくれているっぽい。
まさか、そこまで好きでいてくれるとは、こっちとしては悪い気しねーな。
正直、序盤はそのへんがかなりチグハグな印象も受けたんだけど、最近ではだいぶ馴染んできたのか、さほど違和感を感じなくなってきた。
「RWBY」、皆さんもご覧になってみてください。
ダークファンタジーとして、普通に面白いよ。
ヒロインの吹替が早見沙織というのもいい。
その一方、これまでアニメの日米合作という試みも幾つかあったんだ。
有名なところでは、マーベル+マッドハウス。
これ、さすがに見てる人は少ないんじゃないかな?
私はマーベル映画のファンなので、見ちゃったけど。
で、内容は普通に面白いんだが、何かグッとくるものがない。
というのも、やはり画風だな。
画をアメリカのコミックス風に寄せた感じで、ちょっと劇画チックになっている。
日本でいうなら、「ゴルゴ13」って感じ?
まぁ、それはそういうコンセプトなんだろうから致し方ない。
ただし問題なのが
「出てくるオンナノコがみんなかわいくない」
ということ。
正直、これだったら実写版のスカーレットヨハンソンの方がいいでしょ?
何で、こうなるかなぁ・・。
ひょっとして、アメリカではこういうオンナノコの方がウケるとか?
そもそも、なぜマッドハウスが日米合作に絡むことになったかを考えてみてほしいんだけど、多分理由は、これまでマッドハウスがアメリカで数多くの実績を残してきたからだと思う。
マッドハウスの看板には川尻善昭さんがいて、なぜかこの人の作るアニメはアメリカで軒並みヒットするのよ。
川尻さんは、アメリカでは明らかに巨匠扱いである。
その一方、日本国内では「知る人ぞ知る」で、巨匠扱いまではされてない。
その一番の理由は、
「川尻さんの描くオンナノコは、大体がかわいくないから」
じゃないかな、と私は考えている。
逆にいえば、川尻作品がアメリカで売れるってことは、向こうじゃこういうキャラが受け入れられてるということ。
だいぶ、萌えキャラからは遠いよね。
ひょっとして、向こうの人たちの感性は「萌え」を受け入れない系?
・・どうだろうなぁ。
見ての通り、アメリカには昔からかわいいキャラがちゃんと存在するんですよ。
でも、その一方でアメコミのヒロインは大体こんな感じ↓↓
なるほど、少し分かってきた。
基本、アメリカの基準はオッパイなんですね?
ということを踏まえた上で、話をまた「スパイダーバース」に戻すんだが、改めてペニーパーカーのキャラ造形を見てほしい。
ペニー、オッパイないですね・・。
ポイントは、そこかもしれない。
アメリカ人にとっては、
微乳=児童
である。
おそらくペニーパーカーが微乳である以上、彼女が「スパイダーバース」でメインヒロインになることは100%あり得ず、あくまでも脇役、ネタキャラである。
私が思うに、そこがアメリカの限界というものだろう。
あいつらは、ボリュームがあればいいと思ってる。
「奥ゆかしさ」の美点を理解しようとしない。
まずは、アメリカ人に微乳の価値を教えるところから始めるべきだよな。
そしてきっといつか、ペニーパーカー主人公の映画がハリウッドで作られる日がくることを私は信じている。
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