「ぼんがらだんご」を教えてもらい「だんご」と「屋根」の関係に辿り着いた?!
「ぼんがら」とは
「ぼんがら」とは滋賀県多賀町の方言でサルトリイバラのこと。サルトリイバラの葉に包まれた団子を「ぼんがらもち」「ぼんがらだんご」といいます。「だんご」か「もち」か、呼び名も色々ですが、地元の教えてくださる方の言葉をそのままに記録していきます。
小麦粉の団子
今まで聞いてきたのは、団子生地が小麦粉で出来たもの。団子といえば米粉とばかり思っていたので、団子部分を小麦粉で作るというのが驚きでした。しかもスライムのような粘々のものから、天ぷらの衣のようなサラサラのものまで、家庭によって違う。
小麦粉を使う背景
平野部(多賀町久徳地区)で聞いた話では、屋根の葺き替えに小麦を使っていました。
藁ぶき屋根の藁とは稲藁ではなく麦藁で、屋根の葺き替えのために栽培していたそうです。小麦粉を使う背景には、小麦栽培があったのだと、あたり前のことながらはっと気づきました。
地産素材で屋根を葺く
山間部に行くと茅(かや)葺き屋根。山に各集落の茅場があり、茅を収穫して家の屋根裏のツシにストックして葺き替えに備えます。村の中のさらに数軒の隣組で今年はこの家の屋根を葺き替えすると決めて、順に隣組で協力して屋根の葺き替えをしたそうです。
以下写真は多賀町栗栖で2021年秋に、茅葺き屋根の修繕ワークショップを開催した時のものです。
水辺に近い所は、葦(よし)葺きの屋根。奈良時代かつて東大寺荘園の地、水沼の荘が見渡せる地にある胡宮神社社務所の屋根は葦葺きです。
スライムのような生地の「ぼんがらもち」を教えてくださった人は、琵琶湖近くの生まれで、ぼんがら(サルトリイバラ)の葉が無く、葦(よし)の葉で包む葦まき団子を作ったそうです。
地産素材で建物も食も循環していたことに感動しました。今更ながら地産地消、SDGsがあたり前。
米粉でつくる「ぼんがらだんご」
令和5年5月24日、米粉で作る「ぼんがらだんご」を教えていただきました。
多賀町の犬上川南谷の集落では、米粉を使うと以前から聞いていましたが、作り方を教えていただくのは今回が初めて。
今回教えてくださったのは多賀町大杉出身の方。お菓子作りの先生もされているので計量などはしっかり丁寧にされます。
おばあちゃんが作っていたのを見て覚えたそうで、子どもの頃を思い出しながらの再現。固くならないように、薄力粉を加えるそうです。
ぼんがらだんごを作る日は、米粉を搗きにいくところから始まります。多賀町川相に米粉に挽いてくれる店が2軒あったそうです。今も1軒あります。
子どもの仕事は、ぼんがらの葉を採りに行くこと。甘いおやつがたくさん無かった時代だったので、早く食べたくて楽しみで仕方なかったそうです。
材料
12個分
米粉・・・120g
薄力粉・・・50g
砂糖・・・20g
お湯(約80度)・・・100㏄+20~30㏄(調整用)
餡・・・240g(一個20g)
(餡の分量 小豆250g・上白糖125gきび砂糖125g・塩は入れない)
【作り方】
準備
① 粉と砂糖を合わせてふるう。(ふるっておくとだまになりにくい)
② 湯(80度)を加えてすこしずつこねる(しゃもじでカイカイする。カイカイは方言?掻くこと)
100ccまず入れてあとは調整する。
③ 濡れ布巾をかけて30分寝かせる(昔は一晩寝かせていた)
④ 餡を丸める。生地を12等分にする
⑤ 生地を広げ葉の上におき、餡をのせて包む。上にも葉をかぶせる
⑥ 蒸気の上がった蒸し器の中に並べて20~25分蒸す
梨木香歩さんの小説を連想
雪国らしいしっかりした梁が素敵な昔ながらのおうち。
おくどさんのあるお台所に差し込む新緑の光と、おやつ作りを教えていただく豊かな時間。ぼんがらの葉はお庭から調達。
梨木香歩さんの『西の魔女が死んだ』の素敵な魔女を連想する豊かな緩やかな午後、幸せな魔女時間でした。
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