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心が柔らかくなる瞬間を。

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写真と言の葉。どこかにある物語。
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#毎日note

宇宙を漕いでいく。

宇宙を漕いでいく。

星が綺麗だ。と、稲穂の匂いがして
上を見上げた瞬間に
星が似合う夜空になってきた。と、頭の中で聴こえてきて。
冬の夜空を想像した。

AM4:30。
半袖じゃ少し肌寒い。
けれど
夜空に見惚れて
自転車を漕いでいく。

田舎道の幸い。
誰もいないので
おぼつかないハンドルさばきでも
問題なく進んでいく。

自転車で、宇宙を漕いでいく。

うそみたいなほんとう。

ねぇ君だったら何を
信じる?

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ジントニックと煙と月の狭間。

ジントニックと煙と月の狭間。

「誰でもいいなら、誰かで埋めてよ。」

そう言って、彼女はジントニックに口をつけた。

午前2時。
常連客がちらほら残っているだけの店内は、薄暗い。

彼女の隣に座っている僕は、返す言葉を見つけられず、ただ耳を傾ける。

「でも、結局さ、私じゃないとダメな場所なんてないんだよね。誰でもいい場所に、たまたま辿り着いただけ。それを運命だなんて嘯いて、適齢期だからって結婚して、不倫は文化だなんて都合のい

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クロワッサンと夏の日の贈り物

クロワッサンと夏の日の贈り物

8月の上旬。
夏の始まりに心浮かされて。
少し早起きをして、パンを買いに出かけた。

日中に比べると
空気はひんやりと心地よく
街は静けさに包まれていた。
その日は、土曜日だった。

その道中。
開店したばかりの旅行会社の窓口に並んでいるカップルの姿が目に留まった。

こんなに早い時間から
休みの日に、ふたり揃って旅行会社にいる姿を見てなんだかあたたかい気持ちになった。 

幸せって何かを悟るよう

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塩ラムネと夏の空。

塩ラムネと夏の空。

家を出るとご近所さんから飴が沢山入った袋をもらった。塩ラムネ。自分じゃ買わない飴だ。
出かける最中だったので
ありがとうございます。と、言いながら先を急ぐ。

「さっきもらったんだけど食べる?」

友達に渡すと
舌先で転がしながらこれいいね。って。

今度見かけたら絶対買うわ。って。

その言葉を聞いてなんだか嬉しくなり
人が人に出来る事について想う。

大きな事や目立つ事に意味や価値があるような

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空の青に魅入ったり、風に心を委ねたり、雨の音に耳を澄ましたり。

空の青に魅入ったり、風に心を委ねたり、雨の音に耳を澄ましたり。

人間ってすべての事に全力で向き合えるほどの力を持っているわけじゃないんだなぁって。

ついつい運動不足になりがちな日常。
意識して筋トレをしつつ
限界を迎えながら目の前の事だけにしか集中出来なくなってふと思った。
息を止めて、煩悩を棄てるような感覚。

あれしなきゃ、これしなきゃ、あれどういう意味だったんだろ、なんでわかってもらえないんだ、あぁーだめだ、人生失敗してるなぁ。

なんて
大げさだけど

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名前など知らない鳥が告げる朝。一羽ずつに名前をあげたい。

名前など知らない鳥が告げる朝。一羽ずつに名前をあげたい。

白んで行く空は、季節によってその時間帯を変える。

それに合わせて鳴き始める鳥達。

カーテンから差し込む光より先にその歌声が朝の訪れを教えてくれる。

一体どんな鳥が鳴いてるんだろう。
寝惚け眼でぼんやりと考える。

鳥という種類で呼んでしまうけれど
本来は、それぞれに命があるんだよなぁと考えながら。

一羽ずつに名前をあげて暮らしてみたい。

そんな想像をしてみる。

そんな事が出来たら
もっ

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例えばそんな綺麗事が毎日の本当だったりもするこの世界で。

例えばそんな綺麗事が毎日の本当だったりもするこの世界で。

「うまくいかないことばっかり。」って愚痴を溢すバーカウンター。

「でも死んでないならいいじゃん。」って1個上のシングルマザーのお姉さんは言う。
ハイボールを片手に。

確かにな。って、すとんと思った。

誰にでも言えそうな言葉。
でもその人の言葉なんだよなぁって思う。

人ってそういう風に
その人ならではの魔法を遣って生きている。

きっと生きてきたその足跡は、そんな風なひとことに現れたりもする

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イヤホンから流れてくる音楽の匂いが変わった。

イヤホンから流れてくる音楽の匂いが変わった。

夏が近付いてる気がする。

あなたは、それをどんな所で感じますか?

カーテンから差し込む青い光が。
聴こえて来る鳥の鳴き声が。
少しずつ朝の時刻を早くする。

青い空と白い雲。
その立体感や色合いに季節の移り変わりを感じる。

スーパーの入り口に並び始めた手持ち花火。
半袖で、出歩く時間が多くなる。
今年初めてのアイスを買う。
冷たさの中にある甘さ。

今年の夏は、何をしますか?

まだ梅雨も訪

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世界が見つけてくる「?」に耳を澄ましていたい。

世界が見つけてくる「?」に耳を澄ましていたい。

ブライドって
傷口に覆うカサブタみたいなものなんだよなぁと思う。

プライドが高いとか
いらないプライドとかって言われたりするけれど
ほんとは、心の弱いところや傷跡、コンプレックスみたいなものを覆っているモノのような気がする。

プライドがなければいいのに。ってだからそんなに簡単な事じゃないんだよなぁ。

きっとプライドと誇りって違うんだ。

プライドで守ってるものを、ちゃんと自分で紐解いて行く事

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月に聴かせるように。

月に聴かせるように。

この世界の生活は
月にとっては一つのおとぎばなしなのです。

昼下がり。
ぱらぱらと頁を捲りながら読んだ本の一節に、はっとする。

その本は、月から見たそれぞれの日常や人生の節々が小さな物語として淡々と語られていた。

そうなんだよなぁ。

月から見たらおとぎばなしにすぎない生活なんだよなぁと、遥かな気持ちになりながら。

だけど
だからこそ
それぞれの物語の中に居るんだよなぁと。

喜劇も悲劇も

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眠れない夜に数えた羊達の群れが夜を渡る。

眠れない夜に数えた羊達の群れが夜を渡る。

自分の事を
悪い人と思いながら生きてるわけじゃないけれど
タイミングによってそうなってしまう事があるよなぁ。

眠れない夜に限ってそんな事を考えてしまう。

きっと
良い人、悪い人がいるのではなく

良い面、悪い面。
良い時、悪い時があるのだなぁ。と、思う。

弁解のチャンスや挽回のチャンスって
そうそうないのが現実だよなぁ。

だからそっと縁を切っていくしかなかったりもする。
切られた縁を結び直

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にっこりと夜空は、笑っていました。

にっこりと夜空は、笑っていました。

月を見上げて
「またなんか笑っとる」と言う少年が居た。

三日月の夜。立ち寄ったスーパーの駐車場。

「ほら早く行くよ。」と少年は、お母さんに手を引かれていく。
その背中をぼんやりと見送って月を見上げた。

ほんとだ。笑ってる。にっこりと。

猫の爪みたいだという人も居る。
同じ月を見上げて
みんなそれぞれの宇宙に居るんだなぁなんてそんな事をぼんやり想うスーパーマーケット。

「子供の感覚があるか

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想い合うってきっと。

想い合うってきっと。

「好き」って、気持ちって。

届くとか届かないとかじゃないんだよなぁって思う。

いつだって一方的で、それを許されているかどうかでしかないんだよなぁと。

お互いに許され合っている事を関係の名前で呼ぶんだよなぁって思う。

だから届いたとか伝わったって思う事が傲慢なのだと思う。

許され合っている。お互いに一方的に。

だからこそ
“想い合う”って、成り立つのかもしれない。

好きじゃない人に好意

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その名前には、知らない意味がそっと宿ったりするみたい。

その名前には、知らない意味がそっと宿ったりするみたい。

「ねぇ別れの時期を春に持ってくるのって不適切じゃないですかー?!」

そんな事を言いたくなる。
この春特有の気候やそれぞれの生活の変化。

いつも通りであればあるほど
心に風が吹き抜けていくような気持ちになる。

別れのない出逢いが欲しい。
そんな事を考える夕暮れ時

自転車に乗って
図書館に寄った帰り道。
日暮れが綺麗でシャッターを切った。

たまたま通りかかった人がそれを見て
自転車から降りて

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