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心が柔らかくなる瞬間を。

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写真と言の葉。フォトエッセイ。
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世界が見つけてくる「?」に耳を澄ましていたい。

世界が見つけてくる「?」に耳を澄ましていたい。

ブライドって
傷口に覆うカサブタみたいなものなんだよなぁと思う。

プライドが高いとか
いらないプライドとかって言われたりするけれど
ほんとは、心の弱いところや傷跡、コンプレックスみたいなものを覆っているモノのような気がする。

プライドがなければいいのに。ってだからそんなに簡単な事じゃないんだよなぁ。

きっとプライドと誇りって違うんだ。

プライドで守ってるものを、ちゃんと自分で紐解いて行く事

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月に聴かせるように。

月に聴かせるように。

この世界の生活は
月にとっては一つのおとぎばなしなのです。

昼下がり。
ぱらぱらと頁を捲りながら読んだ本の一節に、はっとする。

その本は、月から見たそれぞれの日常や人生の節々が小さな物語として淡々と語られていた。

そうなんだよなぁ。

月から見たらおとぎばなしにすぎない生活なんだよなぁと、遥かな気持ちになりながら。

だけど
だからこそ
それぞれの物語の中に居るんだよなぁと。

喜劇も悲劇も

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眠れない夜に数えた羊達の群れが夜を渡る。

眠れない夜に数えた羊達の群れが夜を渡る。

自分の事を
悪い人と思いながら生きてるわけじゃないけれど
タイミングによってそうなってしまう事があるよなぁ。

眠れない夜に限ってそんな事を考えてしまう。

きっと
良い人、悪い人がいるのではなく

良い面、悪い面。
良い時、悪い時があるのだなぁ。と、思う。

弁解のチャンスや挽回のチャンスって
そうそうないのが現実だよなぁ。

だからそっと縁を切っていくしかなかったりもする。
切られた縁を結び直

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にっこりと夜空は、笑っていました。

にっこりと夜空は、笑っていました。

月を見上げて
「またなんか笑っとる」と言う少年が居た。

三日月の夜。立ち寄ったスーパーの駐車場。

「ほら早く行くよ。」と少年は、お母さんに手を引かれていく。
その背中をぼんやりと見送って月を見上げた。

ほんとだ。笑ってる。にっこりと。

猫の爪みたいだという人も居る。
同じ月を見上げて
みんなそれぞれの宇宙に居るんだなぁなんてそんな事をぼんやり想うスーパーマーケット。

「子供の感覚があるか

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想い合うってきっと。

想い合うってきっと。

「好き」って、気持ちって。

届くとか届かないとかじゃないんだよなぁって思う。

いつだって一方的で、それを許されているかどうかでしかないんだよなぁと。

お互いに許され合っている事を関係の名前で呼ぶんだよなぁって思う。

だから届いたとか伝わったって思う事が傲慢なのだと思う。

許され合っている。お互いに一方的に。

だからこそ
“想い合う”って、成り立つのかもしれない。

好きじゃない人に好意

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その感受性を子供の心で遣っていたい。

その感受性を子供の心で遣っていたい。

頑張りたい。

それなのに、頑張れない時がありませんか?

つい
頑張れる。と、思ってしまう。

でも
頑張れない時があるよなぁ。

いつの間にか頑張る為の芯みたいなものが折れてしまってたり、拗ねてしまってたり、現実を知りすぎてしまったりする。

大人になるほどに
先読みして考えてしまう。
これが一体何になるのか。
先読みしてだいたいの事の予測をつけてしまう。

それが良い風に働く時もあれば
頑張

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寂しさにある豊かさってきっと。

寂しさにある豊かさってきっと。

「季節外れの雪が降ってる。」

ファストファッションブランドのお洋服屋さんから、不意になごり雪のカバーが聞こえてきて、涙腺が緩んだ。

仲良くしていた大学生の子が卒業するのでギフトを探して、ショッピングセンターをウロウロと。

春になっていく季節をとどめるように雪が降る。その情景に、感情移入をしてしまう。

人と人との関係にも終わりってあるんだよなぁ。
距離や時間って思っているよりも正直だ。
その

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その名前には、知らない意味がそっと宿ったりするみたい。

その名前には、知らない意味がそっと宿ったりするみたい。

「ねぇ別れの時期を春に持ってくるのって不適切じゃないですかー?!」

そんな事を言いたくなる。
この春特有の気候やそれぞれの生活の変化。

いつも通りであればあるほど
心に風が吹き抜けていくような気持ちになる。

別れのない出逢いが欲しい。
そんな事を考える夕暮れ時

自転車に乗って
図書館に寄った帰り道。
日暮れが綺麗でシャッターを切った。

たまたま通りかかった人がそれを見て
自転車から降りて

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きっとあなたの言葉が鍵になる人が居る

きっとあなたの言葉が鍵になる人が居る

「本が鍵だとするなら
その鍵でひらくドアが自分の中にあったという事。」

銀色夏生さんの本を読んでいて
目から鱗が落ちる瞬間と出逢う。

好きな本って自分の心の辞書をひくようなものだよなぁと思う。
今何を感じているのか。
そこに綴られた言葉が教えてくれる。

同じ本を読んでいても
違う一節に心を惹かれる。

「本が鍵だとするなら
その鍵でひらくドアが自分の中にあったという事。」

きっといつの間に

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きっとそれはこの星に生まれたルールなのかもしれない。

きっとそれはこの星に生まれたルールなのかもしれない。

自分でなんとか出来る事と
自分じゃなんとも出来ない事があるよなぁ。

木枯らしだった枝からポツポツと桃色の花びら。

花だって
「今すぐ咲け!」と言われて咲くわけじゃないんだよなぁと開きかけた花弁を眺めながら思い耽る。

自分の力だけじゃなんとも出来ない
水や、光や、土や気候や空気や時間や。

この星の色んな作用に助けられて芽吹くのだよなぁと。
きっとそれはこの星に生まれた命のルールなのかもしれな

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あの頃より美しく見える空の話。

あの頃より美しく見える空の話。

窓越しに、ふと空を見上げて
心が少し軽くなった気がした。

それからぼんやりと雲の流れを見ていた。

家の契約更新の為郵便局へ。
この家に来た日の事を振り返りながら自転車を漕ぐ。

町を眺めていると
卒業式を終えたばかりの学生が溢れていた春の日。

校門の上に登って
証書を片手にポーズを決める女子高生達。
それを今日だけは仕方ないかって感じでにこやかにスマホで写真を撮る親御さん達。

そんな瞬間に

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無意味に意味が生まれて。

無意味に意味が生まれて。

「意味ばかりを人は求めるけれど他人から見て無意味な事に人って救われるよね。」

そんな言葉を聞く。
推し活とかって流行ってるよなぁと思う。

全ての人と共有できるわけではないけれど
自分にとって
夢中になれる時間って充実してるよなぁと想像する。

夢中になるって簡単なようでいてなんだか難しい。

意味ばかりを求めてしまう。
この時間が何になるのか。
そんな事ばかりを考える。

頭で全ての事がわかる

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ひとり旅のすすめ。

ひとり旅のすすめ。

ひとり旅が好き。

知らない街をふらふらと思いのままに歩き出す。

全てのことが新鮮で
意識の向かないところまで細胞が何かを感じようとしている。
そんな体感を得て楽しい。

九州に住んでいるけれど
先日関西でライブをする為に
たまたま神戸三ノ宮に立ち寄った。

今日は、直感で飲む会を開催するぞと思い立ち。
ふらふらと飲み屋街を歩く。

ここには、何があるんだろう。
どんなお店がどんな価格帯でどんな

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身体という船は、ひとつの心しか乗せられない造りだもの。

身体という船は、ひとつの心しか乗せられない造りだもの。

「心の疲労の蓄積って見えないよなぁ。」

「ほんとですよね。気付いたら理由のわからない体調不良になってたりしますよね。」

「心と身体って繋がってるよな。」

「…ですね。」

そんな話を初めて会った人としている。
例えばバーカウンターで。
ぽつりぽつりと話しながらいつの間にか深く話をしている。

次にいつ会うのかも分からない人とそんな話になるのだから不思議だ。

夜には、街が森のように深くなる。

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