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チームの多様性を最大限に発揮させるには? 【読書ノート】多様性の科学

みなさんこんにちは!

ようやく読み終えたこちらの本について、感想などを書きたいと思います。

■本書の指し示す「多様性」とは?

本書冒頭部分に、こんな一節がありました。

2001年、ミシガン大学の社会心理学者、リチャード・E・ニスベットと増田貴彦の両氏の研究。

その研究内容は、
日本人、アメリカ人の2グループに水中の様子を描いたアニメーションを見せ、そのあと各被験者に何が見えたかと質問する
といったものです。

結果、アメリカ人は手前や中心にある「もの」に視点を置き、対して日本人は「背景」に視点を置く傾向があることがわかりました。

ただ「見る」という単純な行為だけでも、それぞれの文化の違いによって視点が違うことに驚きました。

逆に考えると、アメリカ人と日本人が協力して考えを共有できれば、それぞれの欠けている視点を補うことができる、ということでもありますよね。

つまり、価値観、考え方が違う人が集まり考えを共有した方が、新たな視点、問題解決に繋がるということになります。

この、ものの見方や考え方が異なることを
「認知的多様性」といいます。

本書が主としてテーマに掲げているのがこの、認知的多様性です。


■多様性が失われる場合とは

抑圧される環境下

抑圧された環境下では、せっかくメンバー皆が違う考え方を持っていたとしても自分の意見を言えずに我慢したり、自然とその支配者の考え方に寄っていってしまいます。

するとメンバーはリーダーの意見に合う情報ばかりを共有し始め、反論材料となる情報は無意識のうちに蓋をされて、多様性は失われます。

こうした現象は「情報カスケード」〔集団の構成員がみな同じ判断をして一方向になだれ込んでいく現象〕と呼ばれるそうです。

これ、きっとみなさんも経験があると思います。

組織風土に順応するうちに、個々の個性が埋没していく

それぞれ違った背景を持ち、さまざまなアイデアに溢れた新入社員たちは、組織文化に「適応」しようと次第に型にはまっていく。

そうすると、次第にその枠組みの中でしか物事を考えられなくなっていく。

そんな傾向にあると本書では指摘しています。

確かに、組織にどっぷり浸かってしまうと、視野が狭くなっているなぁと感じます。

だからこそ、新入社員や組織外からの意見は大切にしなければならないと思いました。


■チームの認知的多様性を引き出すにはどうすれば良いか

Googleは以前、特定のチームがほかのチームより優れた結果を出す要因を突き止めるため、自社の社員を対象に大規模な調査を行ったそうです。

その結果、チームに成功をもたらすもっとも重要な要素が判明しました。

それは、心理的安全性です。

心理的安全性のある環境とは、他者の反応に怯えることなく、自分の意見を自由に言える環境を指します。

このGoogleの調査結果により、支配型の環境下では、多様性が失われ、生産性が落ちるということがわかります。


■さいごに。わたしにできることは?

本書を読み、仕事で多様性を発揮させるために一番重要だと感じたこと。

それは、『共感力』 です。

わたしは係長として、数人のメンバーと仕事をしています。

係長という立場で、どう振る舞うべきか。
リーダーたるもの、どうあるべきなのか。
日々悩みながら仕事をしています。

リーダーには、必ずしも絶対的な能力はいらないと思います。
むしろ、先入観が無い方が良いかもせれません。

大切なのは、メンバーの意見を尊重し、なんでも自由に発言していいんだという空気感を作ること。

そして、メンバーの意見に対し、否定しないで傾聴する。

良いと思ったら、
「どんどんやってみよう!」
の精神でアイデアを採用する。

そうすれば、メンバー皆の多様な考え方を最大限に引き出せると考えています。

たとえ失敗しても、そこから学べばいいんだというスタンスで取り組めばいい。

それを、今後もメンバーに強く言い続けていきたいと思います。


ということで、まとめますと、

認知的多様性による集合知を得るには、共感する力が大事!

これが本書から学んだ、一番大事なことかなぁって思います。


まだまだたくさんの気付きがあり、本書は面白いですよ。

9.11同時多発テロの背景にあった多様性の欠如、エベレスト登頂事故の背景にある共有の欠如 など、とても読み応えがあります。

みなさんもぜひ、本書を読んでみてはいかがでしょうか?

オススメです!



【余談】

先日、NHKのeテレで放送された、おさるのジョージ「雪のレインボー・ヒル」という回を観た。

おさるのジョージ公式Twitterより

雪山で自分たちでソリのコースを作り、滑って遊ぶといった内容です。

集まったジョージの友だちみんなが、それぞれ違う意見を出し合って、どんどんそのアイデアを実行していきます。

最終的に、複数のカーブや虹のトンネル、ジャンプ台など、子どもが作ったとは思えないほどのすごいコースが出来上がりました。

これぞ、まさに多様性だなぁって思いました。

子どもの頃の純粋な心っていいですよね。

大人になって凝り固まった心と頭、これこそが多様性に蓋をする原因となります。

自分には見えていない部分もあるんだ、ということを忘れないように、この先も生きていきたいと思いました。


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