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あなたの食生活が日本の「食の変遷」であり「未来」になる【八百屋から見た“食”no.44】

「りんごが減ったのはなんで?美味しいのに。」という会話をちょくちょく聞きます。

霜害の不作や台風の落果。凍結・降雹・異常開花。
2018年長野千曲川氾濫・2022年青森岩木川氾濫による埋没や流出。
表年裏年等、生産者(供給側)の状況は店でもこれまでしてきました。

今回は、逆の視点から。
つまり消費者(需要側)の状況説明により、よりリアルに考察します。

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皆さんに質問です(._.)

ご自身が今年に入って(1月+2月)【リンゴを生で何回食べたか・食卓に出てきたか】思い返してみてください。

お子さんは給食で食べる機会があったかもしれませんが、ご自宅で食べる機会は、多分片手で足りた方が多いはず。「(生では)1回も食べてない」方も結構いるかと思います。

リンゴを切る・皮を剥く・食べる回数が減り
家族で集まって食べる回数が減り
そもそも家で食べる・調理する回数が減りました。
※コロナ禍の巣ごもりで一時的に増えたかも(でも元通り)

個食が増え
今まで食べ切れたものが食べきれなくなる状況が増え
今まで食べれたものが食べれなくなる状況が増えています。

仮に、あなたが
数年前と比べてりんごを買う(≒食べる)回数が50%減ったならば
現在の生鮮売場でりんごが買える/売れる機会が、当時比50%減になった。
今後の生鮮売場でりんごが買える期待値も50%近く減るのでしょう。

統計上はもっと精密な値が出ています。※2018年→2023年
果物全体 71231g→64626g
りんご  10363g→ 9085g
みかん  9476g→ 8237g
いちご  2242g→ 2011g
バナナ  18448g→18537g(参考)

出典:e-Stat「家計調査 家計収支編」表番号4-1 二人以上の世帯(全国) 総務省統計局

覚えておいてもらいたいのは、ワタシやアナタの現在の食生活&食品購入生活は、確実に将来の食品製造・原料製造・農産物生産に影響するということです。あなたの食生活が日本の食生活の中央値。私が食べなくなっただけ、日本全体でみた未来の消費量も減り、生産量も減る(増えても続かない)可能性が高い。全員が当事者であり、日本の未来の食の姿。リンゴや果物はその一例です。

今後、人口構成に今までにない変化が起きます。すでに始まっています。
40代を過ぎた皆さんは(もちろん私も含めて)、ご本人、ご両親や祖父母の5年後、今と同じ量を食べることはまずありません。
30代20代10代は、年代別人口が減り続けます。

大局的には、胃袋が縮小し、人口も減る近未来。
【生産拡大・消費拡大】がどれだけ絵空事で現実を見てない掛け声かがわかります。

農業は生産現場だけの問題ではありません。食べ続けることで、生産&製造が継続できる一面もあります。

食べるたび、買い物するたびにそのことを想うのはしんどいです。
買い物が未来をつくること。食生活が未来の生産/製造とリンクすること。たまに思い出してくださいね。


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↓過去投稿:食に無関心でいると、5年経たずに大きな竹箆返しが来る

↓続けたい店は値上げする。売り続けたい商品は値上げする話

↓美味しいくだものは流通しにくい

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↓2024年頭所感

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