見出し画像

大学院レベルの公共政策とは何なのかを御厨政治学から振り返ってみる?

昔の課題の消化モード

ちょっと前ですが、こんなことをつぶやいてました↓

とはいえ、私の性格ともいうべきか、このまま放ったらかしにするのも癪なので、とりあえず、現時点での備忘録を起こすことにします。

今回は放送大学大学院「公共政策('17)」の講義の備忘録です。主任講師は政治学者・御厨貴先生です。

理系出身の山田(仮名)が御厨政治学に挑めるのか? 誰得な内容となりますことをご容赦ください。

講義の構成

全15回のラインナップはこちらになります。この講義は御厨先生のほかに、官僚から知事、そして総務大臣を務めた片山善博増田寛也の両名、気鋭の政治学者・砂原庸介手塚洋輔の5名で行われます。

1.史観・安全安心論(御厨)
2.史観・開発政治論(御厨)
3.史観・国土計画論(御厨)
4.鳥取県知事として-現場主義と公正で透明な行政(片山)
5.総務大臣として-官僚主導から政治主導へ(片山)
6.公共政策と自治体のこれから(片山)
7.東日本大震災からの復興と政策形成(増田)
8.社会保障と税の一体改革(増田)
9.地方創生とは何か(増田)
10.公共政策と統計-証拠に基づく政策をめぐって(砂原)
11.政策の調査立案-「原案」は7分の利(手塚)
12.利害調整としての政策形成 -政策は「会議室」で決まっている?(手塚)
13.公共政策の手法(1)-政府の介入(砂原)
14.公共政策の手法(2)-市場をつくる(砂原)
15.縮小する国家-公共政策の現在・未来(手塚)

御厨先生がいわゆる総論的な内容、片山先生・増田先生は経験からの講義、砂原先生・手塚先生が政策理論の講義という感じです。

シン・ゴジラと田中角栄と古川ロッパの共通項?

第1回の講義は放送大学のOCWで聴講は可能なので、聴いていただくとわかりますが、シン・ゴジラの解説でもやっているのか?と誤解しながら45分が終わります。2回目も田中角栄の話で45分、3回目は昭和の喜劇人・古川ロッパの日記の話で45分…。

シン・ゴジラ田中角栄古川ロッパを使って、1900年代から現在までの現代史、そして安全安心のための政策、開発政治の必要性、荒廃した国土を再建するための政策の背景を御厨先生が講義で語っておられたと思います。しかし、印刷教材を読んでから放送授業を聴いても、またその逆を行っても、見事に肩透かしを喰らいました。

多分、教養としての現代日本政治史を知らないとダメだったと思います。

総務大臣経験者のコマは至ってオーソドックス

片山・増田の両氏の放送授業は印刷教材以上にオーソドックスでした。どちらも官僚から知事、そして民間人として総務大臣を経験した方ではありますが、片山氏が自治体の今後について論じ、増田氏は地方創生を論じています。どちらも、このままの公共ではまずいと考えるヒントを与えてくれるものでした。

印刷教材と片山善博が論考を積み上げていく形式であるのに対し、増田寛也がデータで論じていく形式であるのは、片山氏が自治官僚、増田氏が建設官僚だった背景が影響しているかも知れませんが、そのあたりを対比していくことも、地方行政・中央行政の要職を経験した者のダイナミズムを疑似体験できるかもと思いました。

2人の政治学者のシンプルな講義

砂原庸介手塚洋輔の両氏は御厨貴の門下生ということもありますが、前半の9コマ分の講義ではほとんど説明がなかった行政・政策の理論、学問的意義を補足的に示したといえます。行政の意思決定や経済政策に関心がある方、政治学や行政学を過去に学んだことがある方なら、割と頭に入りやすいはしやすいかなと感じました。

実は一番大変なのは…

御厨先生の放送大学での単位認定試験は「…について述べよ。」で統一されています。そして、(放送大学に学籍があれば確認できる)解答例を見ると当然のように模範解答はありません。

したがって、

シン・ゴジラ、田中角栄、古川ロッパ、県知事、総務大臣、地方の課題、行政学、政治学から公共政策を自分の頭で考えて、〇〇字の答案にする

ことが単位認定試験に求められます。

ただ、この講義も2021年の2学期をもって閉講になります。もし、興味がある方はまずは印刷教材を、できればradikoで10月から放送される講義を視聴いただくと御厨政治学の一端に触れることができると思います。(了)

この記事が参加している募集

最近の学び

忘れられない先生

最後までお読みいただき、ありがとうございます。よろしかったら、「いいね」やフォローもお願いします。