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哲学:専門的な内容

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学問としての哲学の、専門的な記事です
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『はじめてのスピノザ』(國分功一郎著)の要点やおもろい内容を紹介

『はじめてのスピノザ』(國分功一郎著)の要点やおもろい内容を紹介

本noteでは、國分功一郎『はじめてのスピノザ 自由へのエチカ』(講談社現代新書、2020年)を解説します。

『はじめてのスピノザ』はどのような人におすすめ?本書は、以下のような方におすすめです。

・スピノザって、汎神論の人でしょ?(それしか知らない…)
・最近人気らしいね、スピノザ(それしか知らない…)
・スピノザって、あのモジャ毛の人でしょ?(それしか知らない…)

つまり、「スピノザって

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【ざっくり解説】カントについてのnote一覧

【ざっくり解説】カントについてのnote一覧

本ページでは、私が執筆したカントについてのnoteが一覧できます。

『判断力批判』

『判断力批判』では「美とは何か」と「崇高は何か」といったトピックが扱われます。そのため美学に関心がある方が読むことになる本でしょう。

加えてタイトルの通り「判断一般」についての考察も展開されるため、「判断とは何か」というトピックに関心がある方も参照することになるのではないでしょうか。ただし判断一般の理解につい

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「問うこと」の意味とは?──『存在と時間』における「問い」──

「問うこと」の意味とは?──『存在と時間』における「問い」──

「なんだろう?」と問うこと、これは人間にとっていかなる意味があるのでしょうか。

もしかすると、行動せずに立ち止まって疑問に思うことには「すぐに行動すれば結果が得られる」という意味では「ムダ」な側面があるかもしれません。けれど、有用かどうかは別にして、「本当に向き合わなければならない問い」が差し迫ったものとして現れてきたなら、それは「重大な問題」として「この自分」が応答しなければならず立ち止まって

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「美的判断は主観的であるが普遍的である」とはどういうことか:イマヌエル・カント『判断力批判』

「美的判断は主観的であるが普遍的である」とはどういうことか:イマヌエル・カント『判断力批判』

本記事は、ドイツの哲学者カントの『判断力批判』における美的判断(趣味判断)の議論をまとめたものです。正直、難しいと思います。

1. はじめに 音楽を聴いて、「この曲はいい曲だ」と思う(判断する:urteilen)ことがある。この「いい曲だ」という判断は、カントの言う美的判断(趣味判断)のように思われる。ここで判断の対象となっている音楽は、初めから「いい曲」だと定まっていたわけではない。またこの判

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崇高とは何か?イマヌエル・カント『判断力批判』における崇高論

崇高とは何か?イマヌエル・カント『判断力批判』における崇高論

1. はじめに 「崇高なもの」——畏怖の念を抱かせるもの——に出会ったとき、人は自らの存在の危機を感じるだろう。崇高なものは、想定を超えるような「力」、物理的に身体を一瞬で無に帰してしまうような「力」を持つ。

 本稿では、カントの『判断力批判』における崇高の議論をもとに、崇高の分析を試みたい。とりわけ、崇高は人間を打ち負かすような力を有するという点に注目する。

 本稿の構成は、以下のようになる

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ハイデガーの生い立ちと学生時代

ハイデガーの生い立ちと学生時代

本記事は、僕の卒論のためのメモです。

高田珠樹『ハイデガー 存在の歴史』の第1章から重要だと思った箇所をピックアップします。第1章では、ハイデガーの幼少期~二十代前半の出来事と思索が解説されています。

ハイデガーファミリーマルティン・ハイデガーは、1889年9月26日、ドイツのバーデン州、現在のバーデン=ヴュルテンベルク州のメスキルヒという町で生まれた。ドイツでもあまり知られていない、現在人口

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