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【コラム】マネジメント層に求められる総合的思考力・判断力

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はじめに

一般的なベンチャー企業と大手企業との最大の違いは人員の数だろうと思います。

大手企業は人が余るほどいて、何人か退職しても大して支障なく業務が進んでいきます。
また、毎年のように大量の新卒が入ってくるので作業員及び未来の幹部候補の補充もあまり苦労はしません。

一方でまだ小規模のベンチャー企業においては、基本的に人が足りませんし、お金も潤沢にあるわけではありませんから採用も最低限の人数で抑えられています。
それゆえ、若くして管理職を任せられることが多くなり、20代前半で部長職になることも珍しいことではありません。

ただ、大手の管理職と異なり、ベンチャー企業の管理職は原則としてプレイングマネージャーです。
自分自身も大量の作業をこなしつつ管理職の役割も果たすことが求められます。

そういう環境で生きていると、若いうちに総合的な思考力・判断力を身につけないと生き残れなくなっていきます。
ベンチャー企業では、ほぼ全員が忙しい状態なので、手取り足取り教えたり、研修制度を組んでくれたりはしません。
自分で考え、自分で行動し、自分で仲間を募って問題を解決し続ける能力が必要です。

しかし、それを自然に身につけられる可能性はかなり低いです🤔
その結果、ベンチャー企業の離職率は高くなりがちで、適応能力がない人は徐々に淘汰されていきます。
1年以内離職率が60%を超える会社もあるくらいです。

私はこの問題について悲しみを感じています。
ベンチャー界隈が、若い世代にとってもっと成長できる場所であってほしいです。

そこで今日は、総合的な思考力・判断力を自発的に鍛えるために役に立ちそうなことを書こうと思っています。
私のようなポンコツおっさんの話が役に立つかはわかりませんが、何かのヒントになれば幸いです。



1.総合的思考力・判断力とは

まずは総合的な思考力・判断力を定義しましょう。
マネジメント層にとって必要な総合的思考力・判断力とは、多角的視点に基づいた思考と判断だと思っています。

物事を判断する際に、自分の立場・部署の視点からだけ発言したり、判断する人はなかなか経営層に上がることができません。
なぜなら、そういう人の判断は全体としてみると間違っていることが多いからです。

特定の人、部署にだけ利益となる判断は、通常誰かがその分の損失を負担します。
その結果、会社全体で見ると不合理、不適切、不均衡な意思決定となりやすいのです。

マネジメントの重要な役割としては、部署内外の負担を分散するという点が挙げられるため、視点が単一の人だとその役割を果たせないのです。

そのため、マネジメント層の役職者には多角的視点が不可欠です。


ちょいと身内の話を例示として聞いてください。

WARCの創業者はこのnoteでお馴染みの山本彰彦さんです。

👇この人ですね。

山本彰彦CEO


この方、長いこと私の上司をしてくださってまして、前職からずっと一緒です。
私のような社会不適合者を飼い慣らせるのはたぶん山本さんくらいしかいないです🙄
いつもnoteでフリー素材としていじってますが、私にとっては大恩のある方です。

そんな私から山本さんを観察したとき、山本さんのマネジメント能力の最大の長所は、視点の豊富さだと思うのです。
山本さんはもう10年くらいカオスなベンチャー業界で働き続けている公認会計士で、元々超カオスな会社でCFOをやっていた人です。

私もあのカオスを経験できたおかげで若干変化耐性は高くなりましたが、山本さんと比べると月とスッポンくらい違います。
この5年間、山本さんがオロオロしている姿や焦ってヒーハー言うてる姿を一度も見たことがないです🤔
私は年に1~3回はヒーハーいうてます。

この違いがなぜ生まれるのかについてちょいと考えてみましょう。

山本さんはCFO時代に経理・財務だけでなく、人事・法務・総務・IRなど管理部門のほぼすべてを一人でこなしていました
その経験があるからだろうと思いますが、山本さんは視点の切り替えがめちゃくちゃ早いです。
複数の視点から物事を捉えていて、どの解決策が全体として適切なのかという視点で発言をします。

もっというと、山本さんは何が小さい論点で、何がクリティカルヒットを食らう論点なのかを瞬時に見抜いて、小さい論点をスパッと切り捨てられるのです🤔
これ、実際に経営する立場になるとわかるのですが、本当に難しいことです。
全体が見えていない経営者・マネージャーの多くは、大きな論点を小さな論点と誤認して失敗することが多いので、この判断が正確かどうかは経営にとって極めて重要です。

私の思考速度を1だとすると、その2~3倍くらいの速度で全体を理解して結論を出してきます。
どういう思考回路でその結論が導き出されるのか、若い頃は謎でしたが、今思うと視点の豊富さから来るものだなと思っています。

山本さんは会社を全体としてみて様々な部署の利害関係を熟知しているので、会社としての全体最適はどこなのか、落とし所や仕組みを常に考えています。

マネジメント層に求められる総合的思考力・判断力は正しくこれだと思うのです🤔
会社を全体としてみる。
カッコイイ言葉でいうと「俯瞰してみる」ということだと思います。

俯瞰(ふかん):高い所から見おろすこと。



2.多角的視点の学び方

上記のような多角的視点を身につけるためには、「経営」というものを理解しないといけません。

会社経営がどのようなプロセスを経て行われるのか。
そして、会社の経営成績がどのようにして数値として記録され、財務諸表に落とし込まれるのか。

そういう会社全体のオペレーションを理解すると、他部署がどのような役割を担い、何を行っているのかが見えてきます。
それを深く理解すればするほど、相手の立場に立って考えることができるようになり、他部署との円滑な連携を図れるようになっていきます。

他部署のことを正確に理解していれば、自分の意見が自分本位の意見かどうかを判断できるようになるはずです。
そういう客観的視点を持ち合わせていれば、徐々に発言が精錬されていき、多角的視点に基づいた意見が言えるようになっていくと思います。

これを若いうちからできる人はけして多くありません。

ただ、近道もあります。

まずやった方が良いことは簿記2級までの勉強です。
なお、簿記には商業簿記工業簿記がありますが、両方必要かどうかは勤める会社・勤めたい会社の事業次第です。
私はIT企業にいることが多いですし、今後もIT企業以外に勤める予定はないので、商業簿記だけで十分です。
一方で、製造業等の工業簿記分野も必要となる会社に勤めている人は、工業簿記まで学んでおきましょう!

簿記の基礎がわかっていると、会社のお金の流れや会計処理がある程度わかるようになります。
自分で行っている事業活動の一つ一つがその会社の会計帳簿に結びついていくのだということを実感できるはずです。
そういう会計的思考ができるようになることがマネジメント層の第一歩だと思います。

そもそも経営の基礎は会計なので、まずは会計というビジネスの共通言語を学びましょう。
若いうちにマスターしておけば、後がすごく楽です。

その上で、管理部門の簡易的な書籍を読んでおくと良いと思います。

・経理
・財務
・IR
・広報
・人事
・労務
・法務
・総務
・内部監査
・経営企画

などの部署がどのような仕事を行っているのかについて、基礎的な勉強をしておくと良いと思います。
経営における「売上」を作るのは営業部ですが、そのお金を「管理」したり、人材を獲得してきたり、労務管理を行ったり、契約書を作成したりするのは管理部門です。
経営の根幹は管理部門が担っているので、その部署の知識がないのはマネジメント層としてはかなり危険です。
最低限、どの部署がどのような役割を担っているのかくらいは知っておきましょう!

書籍は何でもいいのですが、例えば以下のような書籍を読んでおけば概要はわかるようになると思います。



それぞれの部署に関する基礎的な書籍があるはずなので、本屋で安いものを買って、読んでおけば足ります😁

この時大切なことは、他部署の大変なところを理解し、共感することです。

日々の業務に追われていると、ついつい他部署が楽をしているようにみえることがあります。
自分の部署が一番大変で、他はみんな楽して儲けているような気持ちになる瞬間が誰にでもあるものです。

しかし、他部署には他部署の大変さがあります。
特に専門職だと毎日勉強をし続けないと業務で使い物にならなくなりますから、勉強に時間と費用をかけないといけません。

隣の芝生は青く見えるだけで、どの部署も長所短所があるものです。

そういうことを理解した上で、相手に共感を示し、上手に連携する能力がマネジメント層には必要です。
そのためにも、基礎的な経営知識を得ておくと良いでしょう。

なお、絶対にやってはいけないことも示しておきます。
他部署の基礎的な知識を得ただけで自分がその仕事をこなせるという趣旨の発言は絶対にしてはいけません。

たまにいます😱

簿記2級を取っただけで「俺は経理もできる」と公言してみたり、ビジネス実務法務検定2級を取っただけで「俺は契約書も見れる」と言ってしまったりするのは痛すぎる発言なので絶対に辞めましょう。
若い勝ち気な性格の人に多いので、ここは注意が必要です。
とんでもなく大きな黒歴史を作ることにつながるので、謙虚さを忘れないようにしましょう。

それぞれの部署の専門知識を本気で学ぼうと思うなら、最低でも10年はかかります。
2~3年学んだだけでは表層部分すらも怪しいです。
他部署の勉強は、あくまでも、他部署の大変さを学ばせていただくための勉強です。
これを忘れてはいけません。


3.多角的視点の身につけ方

会計の基礎と経営管理部門の概要を理解した後は、多角的視点を実践レベルで身につけるために、日々訓練を積んでいくことをオススメしたいです。

訓練は、寝ている時間以外はいつでも実践可能です。
今回は2つご紹介します。


(1)問を立てる訓練


まずは、問(とい)を立てる癖をつけましょう。
日々の業務の中、生活の中に問は隠れています。
毎日読む新聞やニュースなどからも問は立てられます。


  • ここ数ヶ月で日経平均株価が20%下がっているが、その原因は何か

  • 自社の事業部の売上が前月比98%で推移したのはなぜか(前月を超えられなかった原因は何か)

  • 今日総務から届いた付箋とジェットストリーム(ボールペン)の会計処理はどう行うのか

  • 先週壊れたPCはまだ買ってから2年程度だったけど、減価償却資産の残額処理はどうすればいいのか

  • 現在発生している部署内の対人関係トラブルについて、自分が取締役だったらどういう解決策を採用するか

  • 現在の当社の主要事業における競合はどこか

  • その競合に負けている(勝っている)理由は何か

  • 自分の部署のオペレーションの中で明らかに不合理・非効率と思われる手続があるが、これがなぜ採用されたのか

  • 毎月の月次決算が遅れがちだと聞いたことがあるが、事業部としてどういう活動をすれば月次決算をスムーズに行えるようになるか


上記はただの思いつきの問ですが、日々ビジネスに関する問を自分に対して立てる癖をつけておくと、咄嗟の論点が飛び出してきたときに少しだけ思考速度が早くなります。

また、日頃から他部署又は他人の視点で物事を考える癖をつけておくと、相手の立場に立った発言ができるようになっていきます。
そして、そのような習慣をつけておくと、相手の次の発言を予測できるようにもなってきます😏

身近な人が何を考え、次にどう動くか、それが手にとるようにわかるようになると、マネジメントしやすくなると思いません?
もちろん他人を完全に理解することは不可能ですが、ある程度予想できるようになると、先手を打てます。

若いうちから問を立てる癖を付けておくと得が多いです。
中年以降になると、思考や価値観が凝り固まってしまってなかなか思考訓練ができなくなることが多いので、若いうちに習慣化してしまう方が良いと思います。

問を考えるのも難しい


(2)他人の思考を読む訓練


多角的視点を持つためには、自分以外の誰かの視点に立って考えられる能力が必要です。
そして、その能力は一朝一夕で身につくものではありません。
日頃から他人の思考を読む訓練を意識・無意識的に行っている人にだけできる芸当だと思います。

そこで、若い世代の皆様には是非とも他人の思考を読む訓練を積んでほしいと思っています😁
心理を読むと言い換えても良いです。

他人の言動に着目し、その言動をなぜ行ったのか、どういう心理でその言動に至ったのかについて考えるのです。
日頃からそういう事を考えておけば、自分の中で仮説が大量に立てられるようになっていきますし、その中に正解がある確率が高くなります。

例えば、朝の会議でAさんがソワソワしていて、なぜか結論を急いでいる感じがしたとします。
なぜAさんはソワソワして急いでいたのでしょうか。


  • 何度も繰り返し議題に上がる論点だったので辟易していた

  • 朝、配偶者と喧嘩してしまったから苛立っていた

  • 💩がもうすぐそこまで来ていた

  • 自分の部署に関係がない論点だったのでさっさと終わってほしかった

  • 昼までに終わらせないといけない仕事があって焦っていた

  • 元々そういう人

  • コミュ障で人前で発言するときだけ攻撃性が出ちゃうタイプ

  • 論点に関連した自分の失敗が暴かれることを恐れていた

  • もっと話したい論点が別にあった

など、色々考えられます。


身近な親族・友人等であれば答え合わせもできるでしょうから、回数をこなしていくごとに精度も高まっていきます。
数年間他人の言動の裏にある思考や心理を読み続けると、かなりの精度で他人が次にどう動くのかという点について仮説が立てられるようになります。

その仮説の一つ一つが新しい視点であり、思考力・判断力の基礎となります。

マネジメントにおいても、他人の気持ちをよく理解した上で発言するようになるでしょうから、極めて有益な訓練だと思います。

ただし、悪用は厳禁です!

人間の心理を深く理解できるようになると、それを悪用して他人を誘導したり、洗脳したりすることができるようになります。
非常に恐ろしい活用法なので辞めておきましょう。

あくまでも、他人の視点に立って考える能力を身につけるための訓練です。
詐欺師になるための訓練ではないのでご注意ください。

騙すのも騙されるのもダメ!


おわりに

ということで、今日はマネジメント層に求められる総合的な思考力・判断力について見解を述べてみました。
私の考えを要約すると、総合的な思考力・判断力の基礎は、多角的視点であり、その多角的視点は日々の訓練で磨くことができるというものです。

若い頃は思考も柔軟ですし、記憶力もまだ衰えていないと思うので、たくさん学んで、たくさん訓練して、良いマネージャーになっていただきたいです。

問を立てるのが上手になると、論点の本質をいち早く見抜くことができるようになっていきます。
また、他人の考えを読むことができるようになると、他人の未来の言動を予測できるようになるので、自分自身の感情のコントロールもしやすくなります。

一石三鳥くらいあると思うので、若手の皆さんは是非お試しあれ!

ではまた次回😁


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この記事は、株式会社WARCの瀧田が担当させていただいております。
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【著者情報】

著者:瀧田 桜司(たきた はるかず)
役職:株式会社WARC 法務兼メディア編集長
専門:法学、経営学、心理学
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